始
治安警察本庁爆破作戦開始ー
ヨハン「さて、今回隊員一同に集まってもらったのは他でもない、治安警察本庁爆破作戦についてである。ここで皆に再び総括してほしいのだが、我々扶桑民族を現在縛り付けているのはブリテインだ。しかし、奴ら侵略者に加担している売国扶桑国民がいることは紛れもない悲しい事実である!!治安警察は公安隊と本隊に二分化されている」
ここでヨハンの眼は一層血走り、憎しみを露にした
「特に公安隊は、実質のブリテイン秘密警察である‼︎これは政治の矛盾だ!しかしながら思想の自由や言論の自由を認める与党第一党、、自由ブリテイン党政権は情報統制により有益な情報を流すようメディアを買収したのだ!!ブリテイン本国でもここまでの人民弾圧はしていない!!何故か!我々が別の民族であり植民地奴隷だと見做しているからである!」
隊員の中には眉間に皺を寄せ、酷く憤怒する者や歴史を悲しむ何とも言えぬ顔をする者など様々であった。
ヨハンは続ける
「そして、その弾圧機関の最高指導部が公安隊である!奴らを潰すことは扶桑人民解放、洗脳解除、果てはブリテイン資本主義廃絶に繋がる大きな一歩である‼︎」
ヨハンは隊員に語りかける。そして口調は少しばかりか重くゆっくりと話を続ける、それはまるで隊員の決意を再び促しているように見えた
「奴らは狡猾で冷酷だ、我々も属するパルチザン連合(地下組織革命同盟)の発表によると捕まれば拷問されることは必至らしい。。キャリア派で占められているだけ捜査能力も隠蔽工作も本隊よりある。」
再び眦を決し、隊員に渡した資料を叩いた
「本作戦は資料通りである。。トップの首を刎ね我々は即撤退す。また公安隊トップではなく本隊トップの首を刎ねる。これは心理戦でもあるのだ、公安隊トップの首を刎ねても士気を高めてしまうに過ぎない。であれば公安隊と主導権争いをしている治安警察本隊トップを潰す。これにより情報撹乱、士気分散など最も治安警察に致命的なヒビを入れることができる。」
隊員は資料を見ながらついに来たかと表情を険しくし、次の言葉、、つまり命令を待った
「内部に潜入しているキアが提供した資料の車種、ナンバーの本隊総監葛原満秀送迎車を狙撃し、同時に治安警察本庁を爆破する。よって現時刻より各班は命令通り動くように、、!」
ヨハンは表情をまた暗くし、無表情に近い顔になった。これは隊員も理解する、隊長ではなく決死隊命令であると
「狼班は本庁爆破に取り掛かれ」
狼班「了解、定刻より本柱及び間柱を爆破する」
「大海の波班は電波ジャックにより三十分間前放送局を占拠せよ、またその際に政治の汚職、乱用、弾圧などの事実を流すこと」
大海の波班「了解、公平放送の基本を見せてやろう」
「葛原満秀暗殺はスワロフ、ナカムラに一任す。狙撃ならばなんでもよい、足はバンを使うこと」
スワロフ「了解、しかしこの車種は穴だらけだな、、フフ」
ナカムラ「了解した。使命、決死の覚悟で全うすることを約束する」
ヨハンは右手を広げて斜めに上げて
「革命開始」
そう叫んだ。その姿はさながらゲルマン第三帝国総統を想起させた。
隊員達は凄まじい怒号と共に各々作戦に走り出す
こうして治安警察本庁爆破作戦の火蓋が切られたのだ
その頃治安警察本庁では指定暴力組織の議題が連日持ち上がっていた。
治安警察本隊員「山内組の東北アジトを発見したものの、押収した銃火器は山内自決のトカレフ一丁か、、」
本隊員「ま、ヤクザも最近じゃおとなしくなっているし平和になったものだよな」
本隊員「戦前なんてライフルだの、マグナムだの、しまいにゃ爆弾なんて持っていたからな。そんな組織扶桑にゃあもうねぇべ」
昼下がり、食堂で毎日定位置、同じメニュー、そして必ず一人で食べる警察隊員がいた。
彼の聴覚、記憶力は非常に優れ、食堂内の音を全て分析し脳に刻み込んでいた。長年の諜報活動をこなしてきた腕を今見せてやろうと。この私服警察隊員は他の治安警察隊員らの憧れの的でもあった。
数々の指定暴力団を解体してきた功績と、決死の覚悟で本部に突入し、瞬時に制圧する機動力。故に彼は信頼され、また公安隊と本隊を唯一兼任できる地位にいた。
特別捜査官である。ブリテインが主導する治安警察隊は、かつて扶桑の「警察組織」とは違い徹底的に
扶桑国民一般犯罪
扶桑国民組織犯罪
扶桑国民思想犯
を許さず、刑罰も在扶桑ブリテイン人より過度な重さであった。公安隊は組織犯罪や思想犯、本隊は一般及び公安隊の補佐として位置しているのだが。死刑囚や終身刑を一方に任せることを治安警察上層部は嫌い特別捜査官を配置した。基本はブリテイン治安部隊から派遣されるのだが、この警察隊員は組織の中で二人目の扶桑人特別捜査官であった。
彼の名前は明智正成。治安警察隊屈指のキャリア派実力隊員だ。
彼は毎日食べている味噌ラーメンを食べ終えると、トイレに向かう。三年以上同じ動作を繰り返しているため誰も気にかけなかった。
彼はその日珍しく、個室に入ると
口に手を入れ歯型の通信機を押した。
暫くしてヨハンの元に直通信号が入る
『カミ カクシ』
すぐさまヨハンは狼班に無線通信する
「ホシにはバレていない、アカホシをともせ」
狼班から打電で返ってくる
『サクラ マウ』
次の瞬間、偽善を貫き慢心した治安警察本庁は如何なる耐久性を誇る建造物をも粉砕する膨大な爆発に襲われ半壊状態になった。周辺にあるブリテイン資本の象徴たる高層ビルはガラス窓が割れ、街歩くセレブや資産家は衝撃波に吹き飛んだ。
時は遡り、キアが食堂で最後の治安警察密偵をしていた頃である。
スワロフとナカムラは小型バンをとあるマンション下につけて張り込んでいた。
スワロフ「そろそろだ、やつは必ずこの時間に黒ベンツに乗り治安警察本隊本部へ向かう、ナンバーも1か月変えていない。抜かりはない」
ナカムラ「出てきたぞ、あれだ。飛ばすぞ、パイソンの準備は良いか」
スワロフ「万全だ、遂行する」
ナカムラはベンツを別ルートで追い越した。このマンションから本部に行くためには必ず線路を越えなければならない。しかし頻繁に電車が通過する上、道幅が狭いため渋滞が起こりやすい場所だ。
スワロフ「線路脇の小道につけたら、窓を開けろよ」
ナカムラ「わかっている、悲願が達成されるのだ。決死隊と名前は変われど我々は旭日義勇隊、失敗はない。。開けるぞ」
カンカンカン
踏切の音が鳴り響く、何故か懐かしくもあるその音はすぐに電車の通過する爆音へと変わり果てた。それはまるで戦火に巻き込まれた扶桑国民の怨念が突如具現化したような悲しい叫び声にも聞こえた。
スワロフは息を少し吸い込み、止めて、吐き出した
刹那
【パシュッ】
踏切では渋滞が巻き起こっていた。前のベンツがクラクション鳴らしても発進しない不審な様子に後続車は見に行った。
3時間後、かつてのクーデター、ニ・ニ六と同規模のパルチザン連続事件が速報にてニュースで流れることになる。速報であるとニュースではテロップを出しているが、テレビを観ていた人間は誰しもが2時間59分間の間戦後から現代までの政治家の汚職、自由ブリテイン党の情報統制や洗脳技術、権力者の暴力団癒着問題、貧富格差被差別問題などを本当のニュースだと思って観ていた。ニュースキャスターが専門家と自称する男と対談という形で執り行われた「決死隊放送」は多くの人間の心を動かした。放送局も高度な電波ジャックでありまた戦後国内初であった為対応に約三時間を要する羽目になった。
こうして治安警察本庁爆破は成功、葛原満秀治安警察本隊総監並びに秘書であった田中康弘は射殺され、真実をテレビ局は無理矢理国民に発信する前例なしの大規模テロが起きたのだ。
巨大な嵐が遂に上陸した瞬間であった
この作品はフィクションです。実在する団体や名称とは何ら関与しませんので悪しからず
小説書くのって難しい、、