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 銀水兄妹と庶民ツアーの約束をした後、そういえば今はお茶会の真っ最中だったわと思い出し、慌てて真冬の方へ視線を向ける。

 綾小路君は、希空と話しており、真冬はお菓子をちびちび齧っていた。

 いかん! 闇堕ちしてしまう!

 同時に、話しかけるチャンスだ。

 俺は、真冬へ話しかけた。


「真冬さん、楽しめてる?」

「はい、咲也さん。それと、この前はデュランタのお花をいただき、ありがとうございました」

「メールでもたくさんお礼の言葉はもらったし、大丈夫だよ。喜んでもらえたみたいでよかった」

「はい。毎日水やりの時間が楽しみなんです」


 心から楽しそうに言う彼女を見て、ほっとした。喜んでもらえて本当によかった。

 あらためて、強引な方法をとったと反省してます。今になってじわじわと、恥ずかしさが湧き上がってきました。それくらい、あの時の俺はアクティブだった。

 本来の目的である、平穏な生活を送るための行動をすっかり忘れていた。最近、なんだか気が抜けてきてるなあ。

 ともかく。


「そう言ってもらえると、悩んだ甲斐があったよ。こちらこそ、いつもメールがくるのを楽しみにしてるんだ」

「そうなんですか?」

「うん、真冬さんの書いたメールは面白いから」


 これは本当。

 俺たちのメールでのやりとりは、「今日はこんなことがあった」みたいな内容が多いのだが、彼女は読み手のことを考えて、起承転結を意識して文章を書いてくれるから、物語を読んでいるようで面白いのだ。

 一方、俺は思いついたことを書き散らしていますがね。


「ありがとうございます。なんだか恥ずかしいです」


 真冬は、照れて顔を赤く染める。褒められ慣れていないのだろう。

 俺は畳み掛ける。


「本当に面白いと思ったよ。何なら、将来は良いエッセイストになると思ったくらい」

「そんな、褒めすぎですよ」

「過大評価じゃないと思うけどね。真冬さんの作品集が出たら、保存用と観賞用と布教用で三冊は買うと思う」

「あなたは一体何を言ってますの」


 さすがに言いすぎたか。横から亜梨沙のツッコミが飛んできた。


「思ったままを言っただけだよ」

「たしかに真冬は国語が得意ですし、そっちの才能があるのかもしれませんけれど」

「だろ? 玲明の作文コンクールとかに是非応募して欲しいと思ってるんだよな」

「それは良い考えですわね! きっと、皆はそこで真冬の才能を目の当たりにして驚くことでしょう!」


 諌めようとしてきた亜梨沙と意気投合した俺は、口々に真冬を誉め立てる。

 でもこれ、亜梨沙は半分楽しんでるな。


「二人とも、真冬さんが困ってるから。そろそろやめてあげなよ」


 義弥からストップがかかる頃には、真冬の顔は茹でダコのように真っ赤に染まっていた。


「褒められるのは嬉しいですけど、あまり言われると恥ずかしい……っ」

「あら、真冬。私は冗談でからかったわけではありませんわよ」

「嘘だ。亜梨沙は真冬さんの反応を楽しんでいたじゃない」


 俺は違いますよ。

 でも、ちょっと褒めすぎたかな。

いつもありがとうございます。評価、ブックマークをいただけると嬉しいです。

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