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 悶々と一人で考えていたら、隣に座る希空が、窺うような表情で尋ねてきた。


「咲也様、大丈夫ですか?」

「え?」

「何だか怖い顔をしていましたよ」

「ああ、ちょっと考え事をしてた」


 そんな怖い顔してたのかな。気をつけないと。ますますクラスで友達が出来なくなってしまうね。

 いや、気をつけても出来ないだろ。


「考えごと?」

「いや、何でもないよ」

「あら。もしかして真冬のことですか?」

「え、違うますよ」

「本当ですか〜?」


 カモを見つけた時のような意地悪げな顔で、希空が追及してくる。

 いつもこういう時は亜梨沙がからかってくることが多いのに、今日のような流れは珍しい。なんだか調子が狂う。


「ところで、綾小路君は随分真冬さんにお熱みたいだな」

「ふふ。真冬は結構モテるみたいですしね?」

「……そうみたいですね」


 くそう。話題をそらそうとしたのに、逃げられない。

 自然と渋面になっていく俺を見て、希空は楽しそうに目を細めた。


「少しからかいすぎましたね。でも、綾小路様は咲也様とはどこか違うような気がいたしますね」

「ふうん。違うって?」


 これ以上は俺が怒るかもと、うまく話題を変えてきた。全く、いい性格してるよ。

 それに、俺の問いかけに対して「うーん」と人差し指を顎に当てて考える仕草は、何とも見る者を釘付けにする魅力がある。

 俺も毒気を抜かれてしまった。

 何か閃いたのか、「あ」と希空が呟いた。


「言葉にしづらいのですけど、あの方の表情からは、単なる好意以上の感情は見えないのです」

「そうなの?」

「ええ、間違いありません。乙女の勘は当たりますよ」

「ふうん。まあ、俺には関係ないけど」


 嘘です。強がりました。

 いや、強がる必要もないんだけど。

 乙女の勘ね。

 綾小路君が、単に恋愛的な意味で真冬に近づいているわけではなさそうだという、俺の考えとも一致するし、信じちゃうよ?


「それに、真冬は、今日咲也様から何をいただけるのか、結構楽しみにしているみたいですよ」

「えっ!」


 そうなの?

 これは朗報ですよ。

 実は、無理矢理だったし、迷惑がられて終わりかなとか思っていたのだ。


「ええ、食事の時なんかも、あの子は咲也様の話をするんです。たしかに少し強引でしたけど、これくらいの方があの子には印象に残っていいのかもしれません」

「そう、なんだ」

「はい。ですから、胸を張ってください。今は渡せそうにありませんし、この後に少し時間をとりますから、そこで渡しましょう?」

「ノアえもん……」

「え?」

「何でも」


 危ない。小二と思えぬ包容力と、頼もしさに、つい口を出てしまった。だって、脳裏使っていないはずなのに、後光が見えるよ。

 ちなみに、この世界にドラ◯もんは存在していなかった。

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