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騒がしい昼、やかましい放課後

 「大和くんは、お昼学食?」

 4限目の授業が終わるとすぐ俺の席へ来てそう桜井はきてきた。

 「いや、弁当を持ってきている。いつも、太一と瞬と三人で食べいるぞ」

 ここで出てきた、瞬というのは太一同様中学からの友人である。

 「そうなんだ!どこで食べてるの?私たちも一緒にいいかな?」

 「ああ、構わないぞ。いつの屋上前の階段の踊り場で食べている。俺たちは先に行ってるからな」

 「うん!わかった。」

 そういえば、俺は太一と瞬に確認することを忘れていたがまぁあの二人は嫌だとは言わないと思い踊場へ向かった。太一と瞬は購買へかいに行っているので一人で向かう。

 一人寂しく待っていると、太一と瞬がパンを持ってやってきた。

 「今日からは多分、桜井とかも一緒になると思うがいいか?」

 遅い確認をとってみると

「大歓迎よ!」

と二人とも快く承諾してくれた。太一は、イケメンで一年生ながらにサッカー部でスタメンのスポーツマンだ。瞬は名字が森川、とても元気なムードメーカー的な子供っぽいアホだ。

 三人で雑談して待っていると桜井と青木さん、金子さんがやってきた。

 「お待たせ〜」

 「やっと来たか桜井」

 桜井と一緒に来た青木さんは青木凛。黒く美しいロングヘアーがトレードマークかつクールで大人しい桜井の幼なじみである。金子さんは、金子涼風。いつも笑顔で若干茶色い短めな髪の小さい子だ。

 金子さんが、ニヤリと口角を上げながら桜井と俺に

「ホントは、二人きりでお昼食べたかったよね〜ごめんにー」

などと言っている。そりゃ金子さん含めみんなは、俺と桜井が実は偽物のカップルだなどと思わないもんな。これは仕方のないことだが、みんなに嘘をついているので少し申し訳なく思う。

 「まさか本当に、大和くんと付き合うことになるなんて思いもしなかったわ」

 そう言って青木さんが、感心したように櫻井を見ていた。

 ん?どういうことだ、青木さんは俺と付き合うことになることを事前に知っていたということなのだろうか。

 「青木さんは、俺と桜井が付き合うことを知っていたのか?」

 「ええ、日向から随分と相談されていたからね」

 「凛ちゃん!そんなこと言わなくていいなに!」

 桜井が頬をぷくっと膨らませながら、青木さんの頭をポカポカ叩いている。なんだか微笑ましい。

 「でも、桜井さんから告白とかジョークだと思った」

 「そうだよな!俺も聞き間違いかと思ったもん」

 そう太一と瞬が頷き合っている。その意見期は俺も同意見である。なぜ、俺に告白してきたのかわからない。普通話したこともない相手に告白なんてしないだろう。

 「確かに、俺なんかのどこに好きになる要素があるんだ?」

 自分で言って悲しくなる。

 「そんなの、かっこよくて優しいからじゃん」

 「話をしたな話したの昨日が初めてなのにか?」

 そう俺が言うと、何やら桜井と青木さんが二人で俺らに聞こえないよう小声で会話し始めた。

 すると

 「やっぱり、大和くんは覚えていないようね」

 何やら気になることを、青木さんが残念そうな顔で言ってきた。

 「…どういうことだ?」

 つい聞いてしまった。俺以外の三人も気になるようでコクコクと頷きながら話の続きを促していた。

 「私たちは、以前大和くんに助けてもらったことがあるのよ」

 「…え。」

 全然覚えていない。

 「い、いつのことだ?」

 「私たちが中学2年の時の、お祭りの時よ」

 中2の時の祭り?何かあっただろうか。しばし考えて、思い出した。

 「もしかして、ガラの悪い男たちに絡まれていた二人か?」

 「そう!やっと思い出したあの!?」

 桜井が嬉しそうに、笑顔で肯定した。なるほど、あの時は俺も怖くて助けた二人の顔まで見る余裕がなかった。でも、それってもう2年も前のことだよな。

 「そうなると桜井さんは2年前から、大和ことが好きってことになるよな?」

 俺の疑問を太一が聞いていた。

 「そうだよ。大和くんもうめっちゃかっこよかったんだから!」

 「ええ、そうね。あの時は確かにかっこよかったわね」

 「今もかっこいいもん!」

 そんな恥ずかしい会話で盛り上がらないで、恥ずかし死しちゃうよ。しかも、ただかっこいいと言われるのも恥ずかしいのにこんな可愛い美女二人からだなんて。

 俺は、冷静にその当時のことを思い出してみた。

 確かに、顔は見ていないがショートとロングの髪型のコンビだったように思う。その時も確か、ショートの方が泣いているのかはわからないが鼻をすすっていたように思う。そりゃ俺もビビるくらいのがらの悪さだったしな。まぁ、その時の二人だとわかってやっと納得できたからよしとしておくか。

 そんな雑談しながら、騒がしい昼休みはすぎていった。


 そして、そのお昼を挟んで放課後になり俺は蹴りの支度をしていると

「大和、一緒に帰ろうぜ」

太一と瞬がやってきた。

 「ああ、今準備してるから少し待ってくれ」

 帰り支度を済ませて帰ろうとしたら、桜井たちも

「私たちも一緒に帰るー」

「大和くんご一緒しても?」

お昼のメンツだ。

 そうして、6人で帰ることになった。いつもなら、瞬は部活があるが今日はオフの日らしい。

 6人で、ぞろぞろと玄関まで行くと桜井がこんなことを言い出した。

「せっかくだからさ、寄り道しない?」

「どこにだ?」

 すると、桜井がうーん。と眉間に皺を寄せながら考え始めた。少し考えてから、あっ!と手をポンっと叩き

「ゲームセンターで、プリクラを撮ろう」

そんなことを言い出した。

 プリクラとか撮ったことがない俺は、少し考えてから桜井の顔を見たら目をキラキラさせながら俺らを見ていたので断るという選択肢が取りづらい状況になっていた。仕方ないか。

 「わかった。せっかく太一も部活が休みなんだしな」

こうして、寄り道先も決まり学校を出た。

 学校近くのゲームセンターに着くと、瞬と金子さんがわー。とか言いながらUFOキャッチャーの方へいちもくさんに駆けて行った。ほんとに元気な子供のような二人で少し微笑ましいな。

 桜井も遅れて青木さんの手を引いてどこかへ行ってしまう。俺と太一は取り残されてしまった。

 「大和じゃなくて、青木を連れて行ったな。どんまい」

 太一は、ニヤリと口角を上げて行ってきた。

 「いや、幼馴染なんだしいいじゃないか」

 「負け惜しみかー」

太一は、そんなこと言いながらケラケラと笑っていた。

 さて、プリクラを撮るためにここへきたことをあの4人は忘れていないだろうか。

 そんなこと考えていると、UFOキャッチャーの陰からひょこっと桜井が可愛く出てきた。なんか巣穴から出てきた小動物みたいだな。

 「大和くんたちもきて!」

 「はいよー」

そして、初めてのプリクラを撮った。

 プリクラを撮り、帰る頃合いかと思ったら金子さんと瞬が

 「「お腹すいた!!」」

そう大きな声で言った。息めちゃくちゃぴったりだな。

 それじゃあご飯行くか。ということになり、ファミレスに向かう。

 その途中で、金子さんが桜井に突然

「日向っちは、大和っちのどこに惚れたの?」

首を傾げながら聞いていた。俺と太一は、そんな二人の少し前を歩いていたから太一は興味深そうに後ろへくるりと体を向け会話に参加した。

 「確かに、それ気になる。金子ナイスな質問だ!」

 「気になるよねん」

それでみんな桜井に注目する。俺も気になるが、興味津々に思われたくなくて聞き耳を立てて聞いていた。

 「それは、やっぱり…やさ」

そこまで聞こえたが、俺の目の前をボールが転がり道路へいきそのすぐ後に子供が飛び出してきた。子供はそのまま道路へ飛び出し、ボールを掴む。だが、ボールしか見ていなかったため車が来ているのに気づいていなかった。俺の体は、勝手に走り出し子供の元へいきその子を抱え反対側の歩道へ走り抜けた。

 「はぁはぁ、怪我はないか?」

子供は、何が起きたのかわかっていない様子で目を丸くしながら

「大丈夫」

そう言った。それに安心していると、反対側の歩道からみんなが走ってやってきた。

「大和くん!」

桜井はとても心配そうな顔をしていうたが、俺も子供も怪我がないのを見てホッとしながら子供に

「道路に飛び出したら危ないんだよ」

そう優しく笑いかけながら言った。

 それでようやく子供も事態の把握ができたようで、うわーん。と泣き始めた。桜井は優しく抱きしめながら頭を撫で続けた。

 泣き止んだ子供に

「気をつけて帰るんだよ?」

そう優しくいい別れた。

 桜井は突然、みんなへ向かって

「こういう、困ってたり危険な時に体が勝手に動いちゃうくらいお人好しな優しいところが大好き!」

今までで一番の笑顔でいった。

 色々あって、ファミレスにつきわいわいとご飯を食べて長い長い彼氏役初日は終わった。

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