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第9話「初めてを受け取って……」

明日9月18日は、

月刊Gファンタジー10月号の発売日です!

⛤『魔法女子学園の助っ人教師』◎コミカライズ版

最新話が掲載されております。

ぜひ読んでみてください!


⛤特報! 

『重版』決定!!

⛤『魔法女子学園の助っ人教師』◎コミカライズ版コミックス第3巻

《スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス》


皆様のご愛読と応援により

『重版』が決定致しました!

ありがとうございます。

既刊第1巻~2巻も大好評発売中!

書店様で、ぜひお手にお取りください。


※宜しければ原作の小説版《ホビージャパン様HJノベルス刊》

こちらも大好評発売中の第1巻~7巻もあわせてお読み下さい。

 創世神の神託により見出された『救世の勇者』ダンが、見事に魔王を倒した。

 だが、素晴らしい褒美を受け取るどころか……

 いきなり追放され、その理由、原因を誰も知らなかった。


 知っているのはダン本人と追放を命じた王リシャールのみである。


 しかし……

 ネガティヴな考えを言葉にし、表向き王国から失踪したダンに、

 悲壮な影はなかった。


 そう、ここは大陸最大の未開地『魔境』

 ダンが移り住み、生涯を終えると宣言した地である。


 今や『想い人』となった亡国の美少女、自動人形スオメタルと、

 ダンは先ほどまで楽し気に、畑仕事に勤しんでいた。


 この畑を開く作業が予想以上の短時間で終了した。

 何を植え、どのように育て、収穫し、

 結果、どのような料理、そして保存食を作るのか、

 今夜、ダンとスオメタルの会話は盛り上がるに違いない。


 さてさて畑仕事が終わればふたりにはに次の予定が入っていた。

 敷地の外へ探索に出かけるのだ。

 

 その間、城は留守となる。

 当然招かれざる客は不要である。

 不要と言っても、そのような『客』は悪意や害意を持ち、勝手に侵入して来るのが常だといえよう。


 不要な客をシャットアウトする為、ダンとスオメタルは特殊な魔法錠で、

 城の出入り口をロックした。

 

 更に魔力で特別なパスワードを入力、城を覆っていた魔法障壁を一旦解除。

 そして敷地内から出て、魔法障壁を再びセッティングし、歩き出したのである。

 

 ふたりとも作業着を着替え、革鎧を着込み、

 腰からダン自作のスクラマサクスを提げていた。

 当たり前のように、手をつないでいる。 


 城の周囲は広い草原となっており、ところどころに雑木林が点在していた。

 ダンは旧い獣道を整地し、人間が数人通れる城専用の私道としている。

 城へ来る時、通って来て、人狼に襲われた道だ。

 

 その私道からそれ、奥へ入ると、雑木林が徐々に深い森となり、

 生い茂る樹木で、四方の視界が極端に悪くなる。

 魔境の森は、方向感覚も失くすような影響があるらしく、

 常人なら、あっという間に魔物、獣の餌食となってしまうのだ。


 木々から小鳥のさえずる声がする。

 

 ダンとスオメタルが気配を感じ、足を止め見やれば……

 草の間で、何か小動物が動いている。


 茶色の体毛をした、耳の長い生き物――兎である。


「おお、ウサギが居るな」


「うふ可愛いでございます。そして凄く美味しそうでございます」 


「おいおい、可愛いと凄く美味しそうの両方かい、スオメタルは典型的肉食系女子だな」


「はい、両親や周囲から良くそう言われてました。お肉大好きですっ!」


 ちょっと意味が違う?

 

 微笑んだダンが深呼吸すると……

 相変わらず空気が美味しい。

 

 見上げると、真っ青な空が大きく広がっており、どこまでも果てしなかった。

 生まれ故郷ヴァレンタイン王国王都セントヘレナの下町とはまるで違う……


「マスター、行きましょう」


 スオメタルは柔らかく微笑んで、促すように、

 ダンの手を「ぎゅ」と握って来た。


「おう!」


 短く答えた笑顔のダンは、スオメタルの手を「きゅ」と握り、

 ふたりは再び歩き出したのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 城を『移築』する前、ダンはこの辺りの下見をしていた。

 世の男子は初めてデートする女子をスムーズにエスコートする為、

 良くデートコースの下見をしておく。


 いくつかの場所へ、スオメタルを連れて行った事はあったが、

 今日初めて行く場所もある。


 ダンがその『初めて』の場所へ誘うと、夢のような光景に、

 スオメタルは驚き、息を呑んだ。


「わお! ここは!」


 ふたりが来たのは、道から少しそれた森の中……

 木々が途切れ、森の中の小さな草原という趣き。


 そこには緑一面という感じで草がびっしり生え、様々な花が、咲き乱れていた。

 鼻腔をくすぐる濃厚な香りが強くなっている。


「スオメタル、ここは様々なハーブが自生している場所だ。魔族や魔物は香りが苦手なのか、あまりここへ来ない」


「す! すっごく! き、綺麗ですねぇ! それに! 良い香りですよぉ! マスター!!」


「うん、ここにはぜひ、お前を連れて来ようと思っていたんだ」


「わお! わお! わお~~!! あ、ありがとうございますっ!! 本当に嬉しいです~~っ!!」


 絶叫したスオメタルは弾けるような笑顔となり、思いっきりダンへ抱き着いた。


「おいおい、はしゃぎすぎじゃないのか?」


「いえいえいえ~! じ、実は……スオメタルは、は、初めての……生まれて初めてのデートなんですぅ!!」


「おお、そうか! 初デートか!」


「は~いっ! わ、私、男子が苦手で~、だ、だから! マスターが初恋の相手なんですぅ!!」


「おお、そりゃ、光栄だ!」


「いえいえ~、私こそぉ! ね、ねぇ、マスター!」


「な、何だい?」


「朝みたいに……私を抱き枕だと思ってぎゅって……ぎゅって! してくださいっ!!」


「了解!」


 切なげに見つめるスオメタル。

 希望に応え、ダンは、彼女を優しく抱き締めた。


 ダンに抱かれ、感極まったのか、スオメタルの身体がふるふると揺れた。


「マ、マスター……もうひとつ……」


「もうひとつ? お、おお、どうした?」


「わ、私の初めてを、う、受け取って貰えませんか?」


「は、初めてって……」


「…………」


 スオメタルは抱かれたまま……目を固く瞑り、小さな唇をダンへ寄せて来た。

 初めて……というのは、ファーストキスに違いない。


 一途にダンを慕う健気な少女……

 スオメタルが、とてもいじらしくなったダンは、

 「そっ」と彼女の唇へキスをしていたのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。

※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

宜しければ、下方にあるブックマーク及び、

☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。


東導号の各作品を宜しくお願い致します。


⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎小説版第1巻~7巻

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9月18日発売の月刊Gファンタジー10月号に『最新話』が掲載されます。

一見超ドライですが、本当は優しいルウ、可憐なヒロイン達の新たな魅力をどうぞお楽しみください。


また「Gファンタジー」公式HP内には特設サイトもあります。

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毎週月曜日更新予定です。

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