第28話「亡霊少女VS骨軍団」
東導 号 書籍化作品⛤『魔法女子学園の助っ人教師』
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『あ~あ。ど~してこうなった?』
『はああ……いろいろ原因はあると思いますが、マスターと私の判断によるところが大きいございますね』
ため息を吐くダンとスオメタルの後方に……
すっかり馴れ馴れしくなった亡霊……魔法少女タバサが悠々と飛んでいた。
『は~っはっはっは~っ! ダン、スオメタル、あなた達の取った行動は至極真っ当で~す!』
『…………』
『…………』
『何故ならばぁ、大器晩成の私をピックアップし、じっくり育て成長させるのが、あなた達の明るい未来につながるのであ~る』
『一緒に連れて行くよう、コイツに口で言い負かされた』
『一緒に連れて行くよう、コイツに口で説得されてしまったでございます』
『は~っはっはっは~っ! ダンよ! スオメタルよ! ふたりとも歓喜しなさい! 乱舞しなさい! 嬉し涙を流しても当然ですよぉ! 何せこのタバサ様が仕えてあげるのですからぁ!』
『その上……見習いの癖に、めちゃ威張ってる』
『コイツ、半人前なのに、どこまで上から目線なのでございますかねぇ』
ため息をついたダンとスオメタルは……
タバサを伴いながら、古城の各所を再度探索、確認した。
幸い、異常はない。
そしていよいよ中庭。
数多の亡霊、そして例のスケルトン達が出現した場所。
ここが『OK!』ならば、無事に依頼完遂である。
しばらく待ってみた。
だが、亡霊の団体様は出ない。
個人も現れない。
ダンとスオメタルは「ちらっ」とタバサを見やると、こそっと言う。
『という事は、何でコイツだけ残ってたのかなぁ』
『昇天しないのは、特異体質というか、やっぱり変人だったのでございますかねぇ』
『こら! 変人ちが~う! 陰口やめ~い』
『……まあ、良いか。骸骨の方は俺の炎で焼いたから大丈夫そうだな』
『御意でございます』
『あっははははは、ノープロブレム! めでたし、めでたしだぁ!』
3人が喜んだ瞬間。
否、ぬか喜びに変わった。
ぼこぼこぼこぼこ……
スケルトンは何事もなかったかのように、土中から再び出現したのである。
やはり十数体居る。
『あれ~?』
『また出たでございます』
『何だよぉ、ダン、口ばっかじゃん』
何と!
長年、冒険者達を悩ませたスケルトン達は……
ダンの火属性魔法でも、全く滅んではいなかった。
数も減ってはいない。
しかしダンは、結構冷静である。
まだまだ打つ手があるからだ。
『よっし、火が駄目なら、ちょっちパワーアップした葬送魔法行ってみっか~。それで今度こそ依頼完遂だ』
『御意でございます! マスターゴ~』
ダンが葬送魔法を発動しようとした瞬間。
『ま、待ってください!』
何と!
スケルトンが全員、跪いていた。
降伏と服従の意思を示している。
ダンは魔法発動を一旦取り止める。
『あれ~、また何か同じような展開? でも、さっきのアホっ子とは態度が全然違う』
『既視感……でございますか? でもトンデモ変人魔法少女より、全然殊勝でございます』
『こら! 変人言うな! 私を引き合いに出すな!』
しかしタバサの猛抗議?は全くスルー。
存在もスルーされた。
跪いたまま、ひとりのスケルトンが言う。
『先ほど、我々が受けし、破邪の猛炎。そして今、発動されようとした強力な葬送魔法。さぞかし名のある賢者様とお見受け致しました』
『いや、それほど大層な者じゃないけど……』
『マスターは物知りの、優しきジャンク屋さんでございます』
『ご謙遜を! 名乗るのが遅れましたが、我々はスパルトイ。旧きドラゴンの牙に古の戦士達の魂が宿りし者でございます』
『ふう~ん。それでそのスパルトイさん達が、何故?』
『どうして降伏の意思を示しているのでございますか?』
『感謝の気持ちを示しております。貴方様がノーライフキングを倒してくれたおかげで、この古びた城の番人という呪縛から解き放たれました』
『それは良かったじゃないか』
『天へ還れるでございます』
『うんうん、ダン! そんな奴ら昇天させちまえ!』
タバサは……
またもスルーされる。
『しかし、賢者様。我々がこのまま天へ召されるのは、まさに恩知らずと言えましょう』
『良いよ、そんなの』
『気にしないで良いでございますのに』
『なので、我々は決意致しました! 賢者様! 貴方様に仕えようと!』
『ええっ、良いよ、そんなの。召されて、転生して新たな人生リスタートしなよ。その方が楽しいし、しあわせだよ』
『マスターの言う通りでございます』
『そうだ! そうだ! 残りかすの骨野郎どもなんて、スープの出汁にもなりゃしねぇ! さっさと天へ還っちまえ~!』
ここで、タバサの捨て台詞がスパルトイを刺激した。
『いえ、そんなわけにはいきません。それに意見させてください』
『意見?』
『何でございます、意見って?』
ダンとスオメタルが思わず聞けば、スパルトイは直立不動で、
タバサをびしっと指さした。
『そこに居る、口の減らない恩知らず……すなわち、性悪な亡霊女を連れて行くのは、いかがなものかと思いますが』
ごもっとも!
ダンとスオメタルは激しく同意し、大きく頷く。
『まあ、その指摘には大いに賛成だ』
『はい! スパルトイの方がとても礼儀正しく、常識的でございますね。マスター、恩知らずの性悪亡霊っ子はキャンセルし、こちらを採用致しますか』
話がヤバい方向へ進んでいる?
タバサは慌てふためいた。
『はあ? こ、こ、こら! な、何言ってる!』
しかしまたもタバサは完全にスルーされる。
『ほ、本当ですか! 我々スパルトイを連れて行って頂ければ誠心誠意お仕えさせて頂きます』
『了解! 分かった! お前達を連れていけば、護衛役等々、役に立つし、依頼完遂にもなるもんな』
『名案でございます。役立たずで上から目線の亡霊っ子とは、残念ながらここでお別れでございます。大勢に影響はないと思われますゆえ』
『こ、こ、こらあ!! ちょ、ちょっと待てぇ~~!!』
古城の中庭には、タバサの魂の叫びが大きく響いていたのであった。
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