赤く染る麝香撫子
「死んだ母には白いカーネーション」
毎年5月10日付近になるとカーネーションが売れます。
沢山の人々はカーネーションを買い母親に渡すのです。
一般的にはカーネーションと言えば、赤色を想像する人が多いでしょう。
ですが、私は白いカーネーションを買います。
なぜなら、母親が死んでいるから。
「母の日」というのは昔、遠い米国で始まったものだと言われています。
最初は白いカーネーションを渡すのが始まりだったとか
なんで赤色になったのでしょうか。
なんとも不思議です。
私の母は死にました。
父に毎日のように叩かれ、蹴られ、最後は首を吊って自分から死んでしまいました。
その後父は家を出て、私1人が取り残されたのです。
兄弟はいません。
今は1人で暮らしていて私立高校に通っています。
死んだ母に白いカーネーションを渡すことを教えてくれたのは涼宮先生でした。
私の母が死んだ時、お葬式で先生が言ってくれました。
その日から毎年、母の日には白いカーネーションをお供えしています。
今日は母の日です。
私は白いカーネーションを持ってお墓に行きます。
私はお墓の前で涙が溢れました。
赤いカーネーションを渡したかったのです。
とても辛い思いをしてきました。
だから、私はカーネーションを赤く染めたのです。
自分の真っ赤な血で。
真っ赤に染めて
真っ赤なカーネーションを持って
母に会いに行きました。