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【5 突撃アーシュラ】


   【5 突撃アーシュラ】


「ルーラに何をする気ですか? 彼女に何の用がある?」

 後ろ手に縛られ、隅の椅子に座らされたままベルダネウスはミリードを見上げた。

 アリスの家、地下の研究室である。

 他にはシズのメンバーが2人、目を輝かせてアリスの研究資料を読みあさっては、彼女に質問をしている。ここだけ見れば、彼女は勉強好きな生徒に授業をしている女教師のようだ。ベルダネウスがこのような目に会わされていても平気な風なのか、見せかけなのか。それとも彼のことはそれほど心配していないのか。

 他のメンバーは1階でルーラが来るのを待っている。

「彼女にではなく、精霊使いにだ」

 ミリードは立てた人差し指を左右に揺らし

「精霊使いとそうでない人の違いは何か? 未だ解明されていない謎だ。精霊という強大な力をどうやって味方につけているのか?」

「わかりません。私にとってそれはそれほど大事なことではありませんので」

「我々は知りたいのだ。不老不死を得るために。アリスも精霊の力が不老不死を得るのに必要と結論づけたから、ヴァンクの羽根を手に入れようとしたのではないか」

「まだわかりませんわ。だから実験するんです」

「謙遜するな。アリスがここまで準備を進めている以上、充分な成功率を見込んでのことだろう。

 それに、精霊の力を使うのならば、既にその力を使える精霊使いの仕組みを調べるのは当然ではないか。それともアリス、君は既に精霊使いの秘密を解明したのか? 精霊使いとそうでない人の違いは何か? その違いを生み出しているのは何か?」

 それに対し、アリスはあっさりと

「わかりません。精霊使いは古今東西老若男女を問わず確認されていますから、人種、性別、価値観は関係ない。

 親が精霊使いでも、子供は違う。その逆もありますから、血筋でもありません。精霊使いが強大な力を持つにもかかわらず、魔導師連盟のように社会的に影響をもたらす存在になっていないのはそのせいですね。一代限り、いつ、誰がそうなるかもわからないものに大きな権限を与えることなどあり得ません」

「そうだ。だがそのために精霊使いに対する研究は今までほとんど行われなかった。精霊使いになれるものとなれないものを分けるものは何なのか? 今もって謎だ。だが、精霊の力が不老不死に必要となれば、我々はその秘密を解き明かさなければならない」

「具体的にどうする気です?」

 ベルダネウスの口調は静かだが、力が感じられた。

「世の中では様々な対立が起こっていますが、全てと言って良いほどそれは目的ではなくそれを手にするための手段で対立しているんです。

 精霊使いについて研究すること自体は私も認めます。しかし、『どのように』研究するかによっては認めません。それどころか邪魔する側に回りますよ。

 だから説明してください。具体的にルーラをどうする気ですか?」

「決まっているだろう。調べるのさ」

「具体的にどうやって調べる気ですか?」

 その口調には、答えないことを許さない意思があった。

「決まっているだろう。まず我々とどう違うのか、その肉体を徹底的に調べ上げる。感情に特異性が見いだせない以上、その秘密は肉体にあると思われるからだ。具体的には……」

 具体的な肉体の調べ方をミリードが口にする度に、ベルダネウスの表情が微妙に引きつっていくのにアリスは気がついた。

「安心しろ。その段階でわかれば殺しはしない」

「わからなければ殺すんですか?」

「精霊使いは彼女1人ではない。彼女は標本にして、別の精霊使いを探す」

「標本って……解剖するってことですか? 解放じゃなくて?」

「問題があるのか? 精霊使いの肉体は大事な資料だ。

 護衛の心配なら安心しろ。護衛なら精霊使いである必要は無い。いや、精霊使いという条件でサークラー教会に問い合わせれば、他の精霊使いの情報も得られる。何だったら護衛料は我々が肩代わりしてもいい」

「そうじゃない!」

 後ろ手に縛られたまま立ち上がり、1歩、2歩とミリードに詰め寄る。

 大きく深呼吸して

「もうひとつ。わかった場合はどうするんです?」

「それはアルトハウゼンの研究結果次第だ。精霊の力をどうすれば不老不死に繋がるのか?」

 皆がアリスを見た。

「基本はやはり取り込むことですね」

 彼女の言い方は、研究資料をただ読んでいるようだった。

「自然の命は、生死を繰り返して続くものですが、それは全て自然という枠内で行われます。精霊がその枠を維持する力だとすれば、それを取り込むことで、私たちは死を生の終わりではなく、次の生への通過点とすることができます。

 輪廻鳥はご存じでしょう」

「死んでも、次の日には自らの死骸を破って新たな幼鳥となる伝説の鳥だな」

「そうです。うまくいけば精霊の力を取り込むことによって、私たちの肉体はその輪廻鳥と同じような生き方が出来るようになるかも知れません。体がある程度老化すると、一度、その肉体を滅ぼして新たな肉体で復活する。

 私が今までしてきた不老不死は、今の肉体をそのまま永久に維持する形でした。

 それを、肉体が古くなると自らの内で新たな肉体を生成、完成したならば魂を移した上で古い肉体を破棄して新しい肉体で生きる。というように変えるわけです。肉体を変える時は大きな力が必要でしょうけれど、今のようにずっと不老の力を維持し続けるよりは負担が軽くなると思います」

「他人の肉体を乗っ取った方が簡単じゃありませんか?」

「過去、それを試みた人もいますがうまくいきませんでした。誰だって自分が乗っ取られるとなると抵抗します。それを打ち破るのは容易ではありません。うまくいったとしても、乗っ取られた側の人格がきれいになくなるわけではありません。肉体に残った心や記憶が乗っ取った側に影響を与え、5人目の乗っ取りに成功した頃には、自分が誰なのかもわからず、5人分の多重人格者になったあげく自ら海に身を投じました。

 きっと5人の内誰かの強い意志によるものなのでしょうね。自分の体を乗っ取ったものへの復讐」

「そんなことになっては、何のために不老不死となるのかわからん」

「そうですね」

 言ってからアリスは改めてミリードに向き直り

「そういえば、私は1番肝心なことをあなた方から聞いていませんでした」

「何だ?」

「あなたたちは、何のために不老不死になろうとしているんです?」

「何のため? 不老不死を目指すのに、理由がいるのか?」

 それを聞いて、寂しげな表情がアリスに浮かぶ。

「人が息をし、食事をするのに理由がいるのか? 人が金儲けをするのに理由がいるのか?

 あえて言うなら、不老不死は皆が望むものだからだ。皆が望むものを手に入れる。それが我々の繁栄に繋がる」

「あなたたちもですか?」

 資料を読み続けている2人のシズに聞くと

「私はもっと個人的なものです。不老不死にはロマンがあります。未知への挑戦です」

「私は怖いんだ。年老いて、体もろくに動かせず死んだ祖父の姿が忘れられない。自分もいずれああなって死ぬのかと思うと……」

「そういう理由、私は好きですよ」

 微笑みを向けられ、男たちは真っ赤になってうつむいた。

「ミリードさん。私は不老不死の研究を続けるうちに、ある考えを持つようになりました。

 それは、不老不死はあくまでも個人の範囲に止めるべきと言うこと。全ての人が不老不死になったら、人は滅びます」

「不老不死は限られた、選ばれた人のみに与えられるものということか」

「そうではありません。不老不死になると言うことは、自身を時の流れから外すことです。生き物の命、変化が時に合わせて行われるのならば、不老不死になることは、生き物であることをやめると言うことです。

 それでも、不老不死はやめられませんけどね」

 首を振るアリスはとても哀しそうだった。

「話を戻してほしい。精霊の力を取り込むというのは、具体的にどうするんだ?」

 少し落ち着いたのか、ベルダネウスが手近な椅子に腰掛けた。後ろ手に縛られたままだが、その手にはいつ、どこから取り出したのか、細い針金が握られていた。彼の腕はそれを巧みに伸ばし、手枷の鍵穴に差し込んだ。

 顔をミリードたちに向けたまま、意識を鍵穴に差し込んだ針金に向ける。彼は知り合いの盗賊から解錠技術を学んでいるが、所詮は素人にしてはやるというレベルだ。相手に気づかれることなく、後ろ手の状態でどこまで出来るか。

「どうするか。人間が他の生き物の力を取り込むと言えば、方法は1つしか無い」

「食べるんですね」

 あっさりとアリスが答えを出した。

「あなた方は不老不死を手に入れる一環として、人を食べるそうですね。その考えはわかります。相手の力を取り込む1番わかりやすく、最初に思いつく方法が相手を食べることだからです」

「ルーラを食うのか!」

 ベルダネウスの怒号が研究室に響いた。立ち上がろうとする彼を2人の男が慌てて座り直させた。彼ももう立ち上がろうとはせず

「答えろ。ルーラを捕まえた後、散々その体を調べ尽くした上に食うつもりなのか?!」

「我々に精霊の力を取り込む方法が他に見つからない以上、そうなるだろう」

「食べても無駄ですよ。それはあなた方自身わかっているでしょう。今まで多くの若い人間を食べたにも関わらず、未だに不老不死になるどころか近づけてもいないのですから。

 そもそも難しく考えすぎですよ。私たちが牛や豚、鳥を食べてそれらの生き物に変わりましたか? 草を食べる動物は大きくなると草になりますか? 若い生き物を食べれば自分も若さを保てるというのは、わかりやすいですけれど、間違っています」

「間違ってはいない。人ならず、全ての生き物は、他の生き物を食べて取り込むことによって命を維持している。要はどう食べるかだ。今までの食べ方、取り込み方ではその場限りの命にしか繋がらない。

 我々は命のみならず若さを維持するためにも、食べられる側の若さと命を充分取り込める食べ方を見つけなければならないのだ。

 精霊使いを食べることによって、精霊の力を吸収できる体になれれば、それは不老不死への第一歩ではないか」

「なるほど。私はそこまで食べることにこだわりませんでしたからね。もしかして、あなたたちのやり方の方が不老不死への近道かも知れません。でも……」

 アリスは小さくかぶりを振り

「私はその道で不老不死になろうとは思いません。ミリードさん。申し訳ありませんが、私のあなた方への協力はやはり無かったことにします」

「我々のやり方では不老不死になれないと言うことか?」

「わかりません。私自身、まだ不老不死への道は手探り状態ですし。それに、そこへの道は1つとは限りません。目的地への道がハッキリしていない以上、私たち研究者が全員同じ道を歩く必要はありません。

 私は私の、あなた方はあなた方の道を行けばいい」

 彼女にとってはシズのやり方を否定するつもりはなかった。だが、ミリードたちにとってはこれは彼女の自分たちへのダメ出しに聞こえた。

「我々の研究は程度が低すぎて付き合いきれないと言うのか!?」

「そうではありません。皆が信じるやり方で進めば良いのです。私はあなた方を否定しません。否定できるほどの研究実績もありません」

「ならば我々に協力しろ!」

 ミリードの声が荒ぶるに従い、他のメンバーたちが不安げに彼とアリスを見比べた。

「我々を認めるのならば、協力するのが当然だ。それが結果を出す近道なのだからな」

 いきなりアリスの胸ぐらをつかみ、引き寄せる。

 間近に顔を見合わせる2人。共に不老不死を目指しながら、見た目には明らかな優劣があった。

 100才を超えながらも見た目は20代のアリス。

 50才という実年齢そのままの外見のミリード。

 強い視線を放つ彼に対し、彼女、静かな、柔らかな目でそれを受け止める。それはまるで駄駄っ子の相手に疲れる母親のようだった。

「あなたは私と別れた後、いろいろと成功したのでしょうね。シズという組織を大きくし、たくさんの支援者を見つけ出す……私には出来ないことです。でも、あなたはそれと引き換えに研究者としての考えを遠ざけてしまったよう。

 それさえなかったら、あなたは私を追い抜いていたかもしれないのに」

「そう思うのならば、なぜ我々のやり方を否定する?」

 ミリードの気がピリピリし始めるのが誰にもわかった。

 自分への注意がおろそかになっていると見たベルダネウスは少し大胆に手枷の鍵穴に差し込んだ針金を動かしはじめる。

 微かな音と共に、彼は自分の手を束縛する力が抜けたのを感じた。

 その時だった。慌てて階段を駆け下りる音がすると1人の地味な服装の男が駆け込んできた。

「ムダザがしくじった! 精霊使いに捕まった」

「何だと!?」

「本当だ。精霊使いともう1人、女の魔導師がいて」

「アーシュラね。あの子の魔導は乱暴だから。相手を殺していなければ良いけど」

 相変わらずアリスの口調はのんきである。

「ミリード様、すぐにここを離れましょう」

「待て!」

 慌てるメンバーを制し

「衛士達に踏み込まれたら困るのは奴らも同じだ。すぐに衛士隊に通報することはあるまい。とはいえ、離れる準備をするに越したことはない。

 仲間に増援を頼め」

「それは既に」

「よし、馬車も忘れるな。ここにある資料は残らず持っていく。いいなアリス」

「いやですと言っても持っていくのでしょう」

 上から数人のメンバーが下りてきては、棚の資料を片っ端から降ろし、まとめはじめた。


「忙しくなってきましたね」

 1階の居間ではシズのメンバー3人が、アリスの私物を箱に詰める作業をしていた。彼女の服を中心に、普段使っていそうな道具、金目のものなどできるだけ持っていくつもりだった。

 3人ともミリードたちがここ数年のうちにメンバーになった者で、ここがかつてシズのアジトの1つであることは聞いていても、当時のことは知らなかった。

「これでやっと不老不死に近づけるのか」

 うれしそうに言う男は20代のようだが頬がこけ、顔色も悪い。彼は病持ちであり、回復は見込めないと治癒魔導の専門家から言われてすぐにシズに入った。

 これでやっと病から解放されるのかと、その顔は安堵の表情が浮かんでいる。

「不老不死でなくても、若さを保つだけでもとりあえず良いわ。あのアリスって人みたいに」

 もう1人、やたらケバケバしい化粧をした女が言った。30代前半だが、厚化粧の下に隠された顔は70才近い。若さが失われるのが怖くて独学で不老の研究をしたが失敗続き、却って顔は老いてしまった。そのため、いつも素肌が見えないほどの厚化粧をし続けている。

 それだけに、アリスの外見は憧れであり、その技術が手に入るかも知れないと希望に顔が緩みっぱなしである。

 あとの1人の男は無言のまま、1人作業もせず干し柿を口にしている。彼は他のメンバーとは雰囲気が違う。というのも、彼は不老不死を求めているのではなく、求める者の連絡役としてシズに同行しているだけだからだ。

 シズのメンバーの多くが痩せ気味なのに対し、彼の顔は血色が良く、身体もふくよかである。

「今度こそ当たりだといいね。今までの分を取り戻すぐらいに」

 からかうような口調に2人がむっとする。

 そこへ外から馬車の音が聞こえ、家の前で止まった。

「お仲間の到着か」

 2人に視線から逃げるように窓から外を見ると、長毛種の馬にひかれた馬車が家の前に止まっているのが見えた。御者台から厚手のコートで全身を包んだ人が下りて門を開けている。頭もすっぽりフードで覆っているため男か女かもわからない。

「見たことがないな。別口か?」

 来客を告げる鐘が鳴った。

「アルトハウゼン様。私です。先日、主人を助けていたただいた者です」

 声が聞こえた。

「なんだ、別口か」

 とにかく出迎えようと、ふくよか男が玄関まで行って扉を開けると、毛むくじゃらの馬の尻が現れた。

 事態を把握できず、男が目を丸くして扉を開ける手を止める。

「おやり、グラッシェ!」

 アーシュラの叫びと同時に、グラッシェの後ろ足が跳ね上がり、扉を蹴り飛ばす!

 叫び声を上げる暇も無い。扉は後ろの男もろとも吹っ飛び、廊下を飛び越え家の反対側の壁に激突した。

「何だ?」

 シズ2人が様子を見に居間から飛び出す。そろって魔玉の杖を手にし、即魔導を発動できるようにしているのはさすがである。

 だが、それよりも中に駆け込んだアーシュラが電撃魔導を発動させる方が早い。

「あんたら……最低!」

 屋内の被害を気にしない彼女の雷が2人を貫いた!


 上の騒ぎは地下研究室にも聞こえた。

「何だ」

 壁際に下がると、ミリードが魔玉の杖を入り口に向けた。

「様子を見てこい」

 言われた2人の内、1人が外に出て階段を上がっていく。と、いきなり階上から電撃が伸び彼を貫いた。

 悲鳴を上げる間もなく彼は階段を転げ落ちる。

「上の連中は片付けたわ。逃げ場はないわよ。上がってきなさい」

 階段の上からアーシュラの声が響いてくる。

「手が回ったか?!」

「違いますよ。あれは私の曾曾曾曾曾曾曾孫……曾の数、合っていたかしら?」

「アーシュラという魔導師か」

 途端、彼の顔が緩んだ。

「アーシュラ・アルトハウゼンという魔導師はお前か!?」

 姿を隠したまま階段の上に叫ぶと

「何よ、馴れ馴れしいわね」

 と返事が返ってくる。

「取引だ。アリスとベルダネウスを釈放しよう。お前が預かっているというヴァンクの羽根と引き換えだ」

「あぁん?」

「嫌というならば、2人が死体になるだけだ。いくらアリスでも、首を切り落とされては生きてはいまい。ベルダネウスに至ってはただの人間だ」

「随分と虫の良い話じゃない」

「私が求めるのは答えだ。君の考えではない。言っておくが、ここにいるのは私だけはない。君が私に危害を加えれば、仲間が2人に危害を加えることになる」

 言いながら地下研究室から姿を現す。その手の魔玉は淡い光を放ち、周囲を照らしている。

 階段の上下でミリードとアーシュラが対峙する。

「……仕方ないわね。あんなんでも、私の肉親ですからね」

 懐から1本の白い羽を取り出してかざす。

 それを見てミリードの笑顔が微かに引きつった。

「ふざけるな。私は以前ヴァンクの羽根を見たことがある。そんな真っ白な羽根ではない」

「あら、ヴァンクっていろいろな種類がいるのよ。知らなかった?」

 とぼける彼女に突っ込むように

「アーシュラ、ごめんなさい。ヴァンクの羽根は7色だって言っちゃったの」

 奥からアリスの声が聞こえてきた。

「ソナバァぁぁぁ~っ」

 まいったとばかりにアーシュラが天を仰ぐ。更に追い打ちを掛けるように

「そこの女、抵抗はやめろ!」

 剣や魔玉の杖を手にした数名の男女が屋敷になだれ込み、得物を彼女に向ける。駆けつけてきたシズの仲間だった。

「まったく……悪いことってのはどうしてこうもみんな仲良しなのかしら。手をつないで1度にやってくるわ」

「魔玉を捨てろ!」

「はいはい」

 アーシュラは愛用の杖を床に置いた。


(つづく)



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