ティッシュペーパー越しのキミに告ぐ
風邪を引いたボク。
ボクは窓際のベッドの上で鼻をかむ。
取っても取ってもティッシュペーパーは立ち上がる。
ティッシュペーパー同士で支え合って。
もう一枚ティッシュペーパーを引っ張り鼻に押し当てる。
すると窓際に置いてあるティッシュペーパーがよろけて奥に人影が映る。
元気がなさそうなティッシュペーパーの奥には恋にだらしない男子。
そしてその隣で楽しそうに話す大好きなキミ。
キミはティッシュペーパーに隠れて上半分しか見えない。
またティッシュペーパーを取る。
キミはティッシュペーパーに完全に隠れる。
キミへの障害を張り倒す勢いで強くティッシュペーパーを押し倒す。
そしてキミを見る。
恋にだらしない男子といまだに笑い合うキミ。
キミはその男子のだらしなさにまだ気付いていない。
鼻水が出て一枚取る。
半分に折り畳んで鼻をかむ。
そして小さく丸めてゴミ箱に投げ捨てる。
立ち上がったティッシュペーパーを再度、強く寝かせて覗く。
そこには男子と抱き合った状態から離れようとするキミ。
ボクはティッシュペーパーを何枚も引き抜き、宙に投げつける。
ティッシュペーパーは空中で優雅に揺れ動く。
ボクはティッシュペーパー越しのキミを見る。
ボクはテレパシーでキミに告ぐ。
男子は何を考えるか分からない恐ろしい生き物だと。