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願っていた

見る目がない。地に落ち込んでいる人ほど

努力しているじゃないか。才能じゃない努力は

苦しむことなんだから、彼らこそが努力家だ。

まぁ、何の報いもないのだけど

こんな世界はいい加減滅びた方がいい

 死にたい


 死にたい


 死にたい


 世界なんて滅びてしまえ


 これがどれほど愚かしい願いかなんて知ったこっちゃない。全部なくなってしまえばいいんだ。


 俺は悪くない。仕方なかったんだ。変われるチャンスはいくらでもあった?ふざけんじゃねぇ!俺と同じ細胞で同じ環境で同じ経験を積んだなら間違いなくクソみてぇな俺が出来上がるじゃねぇか!


 何故笑ってられるんだ!何故未来の話なんて出来るんだ!この腹の中心に渦巻くような不安を知らないのか。誰がこんな世界を願った。


 平凡な親の間に産まれ、平凡に育てられ、必然のように堕落した。クソみたいな世界だと唾吐けばお前がクソだからそう感じるのだと返される。


 説教を語るのは努力がどうだ繰り返すオウムばかりだ。お前達の説教で俺の何が変わった!何も変わらなかっただろうが!


 お前らの中に努力を手に入れるのに努力した奴はいるのか?出来たなら元から出来てたんだよ、クソ供が!所詮は遺伝と環境が全てを形作ってんだろ?だったら偉そうな口は閉じてやがれ!


 …才能のない奴が叫んだ言葉なんて誰にも届かない。だからコイツは俺の叫びの返答では無かったのだろう。真っ赤なクリスタルは俺の元へとやってきた。


 不死への誘い、死にたいと喚く奴に送り付けるには検討違いなものだ。何かの話で死なない事が死んでいる事と同義だとか聞いたが、そんな訳はない。何てたって踏みにじれる者の量が違う。


 興味は無かった。俺が頷いたのは真っ赤なクリスタルに魅せられたからだ。不死の権利、終わりの選択肢を持つこと。


 あの女は淡々と語り、了承と共にコイツを俺に渡した。クリスタル硬い感触に心の何処かで安堵した。安眠にも似た心地よさ。


 家に帰る前に母に花を、父に良い酒を買って帰った。二人は涙声で喜んでくれた。心が暖かくなった。


俺ももう心配はいらないと二人に笑いかけた。


 その夜、俺はクリスタルを破壊した。灰色が世界を飲み込んだ


世界に滅びろなんて言うやつには

さっさと滅んでほしいよね

だけど、そんなこと言う奴も同じように

思われるさ。ならさ、世界が滅びた方が

いっそ恨み辛みもないじゃないかな

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