朝から災難で
初投稿です。見切り発車で書き始めたのでお見苦しいかもしれませんがどうか温かい目で見ていただけたらと思います。
暖かな陽射しがカーテンの隙間から差し込み、鳥のさえずりが心地良い爽やかな朝・・・。
なんてことはなく、朝からやかましいスマホのアラーム音にたたき起こされる。
手探りでスマホを探しアラームを止め、まだ開ききってない目をこすりながら不満を口に漏らす。
「・・・学校めんどくせぇ。」
しかし、風邪をひいているわけでもないので行かなければならない。ほんとにめんどくさい。
何かの手違いで学校爆発しないかな・・・。
そんな叶うはずのない願い事をしつつぼーっとしていると下の階からアラーム第二波がやってくる。
「おにーちゃーん!早く起きないと学校遅刻しちゃうよー!」
まだ、寝ぼけている俺の脳には刺激が強すぎる悪魔の高い声が突き刺さる。
とりあえず着替えようと重たい腰を上げ、返事もせずノロノロと制服に袖を通していると下から再び悪魔の声が。
「早くしないとお兄ちゃんの好きなアニメのグッズ捨てちゃうよー!」
うん。マジで悪魔だったわ。
ていうか、あいつ俺のこと完全になめてるだろ。もっと兄を敬えよ。
ラノベとかの妹はだいたいブラコンって相場が決まってるだろーが。世の中俺に厳しいんだから妹くらい優しくてもいいだろ。
この際だから上下関係をはっきりさせとかないとな。俺は妹には屈しない!
「おかーさーんお兄ちゃん起きてないみたい。ゴミ袋どこだっけー?」
「起きてる!起きてるから捨てるなぁぁぁぁぁー!」
俺は多分妹に絶対勝てないな。こんなだからなめられるんだろうな・・・。
―望月 智樹 神城高校に通う普通の高校二年生。
成績は中の上、運動は人並程度ぐらいしかできない。
特に得意なこともないし、熱中するものがあってもすぐ飽きてやめてしまう。というか、なにかするのがめんどくさい。
幼馴染ヒロインもいないし、妹にもなめられてるし、それどころか友達すらもいない。
あれ?俺って結構かわいそう?自分で言ってて悲しくなるんだが。
朝から妹の嫌がらせに耐え(全然耐えられてない)いつもの通学路をぐったりしながら歩く。
けど、災難って続くんだな・・・。俺がなにしたってんだよ・・・。
「智樹ー!おーい!」
やかましい声が後ろから聞こえる。さっきも言ったが俺に友達はいない。
きっと名前が同じ誰かと間違ってるんだろ。
「一緒に行こうぜ!」
背中をバンッと叩かれその声の主が横に並んで歩き出す。
うん。俺のことだったみたい。
勘弁してくれ。今日は厄日かなにかか。
まぁ一応紹介するか・・・。
―成瀬 悠馬
小学校から一緒で対して話したことがないのに俺のことを友達だと思っている。
容姿は良く、バスケ部だが他のスポーツもでき、男女問わず人気がある。
よくいる「みんな仲良くしようぜ!」ってタイプの人間。
典型的なリア充というやつだ。なんかこううまく言えないけど死なないかな。
「なんか機嫌悪そうだな。なにかあったのか?」
あったわ。朝はずっと疲れっぱなしだよ。お前と悪魔のせいで。
という不満は心のに留めておこう。俺は気の使えるいい奴だからなこいつと違って。
ていうか、もう少し離れて歩けよ。周りの人たちがめっちゃ見てんだろうが。
ほら聞こえるよ。なんで成瀬君があんな奴とって。俺が聞きたいわ。
「別になんもねぇーよ。」
「そっか。」
それから、どちらも何も喋らずとんでもなく気まずい空気になった。
なんでこうリア充の奴らって勢いだけで来るかな。結局俺が気を使わなきゃならんだろうが。
「俺用事あるから先行くわ。」
「わかった!また学校でな!」
いや。なるべく話しかけないでほしい。学校に着くまでに話しかけんなオーラを読み取るスキルでも身に着けておいてくれ。
授業もすべて終わり、放課後になった。部活に行く生徒もいれば、委員会の仕事をしている生徒もいる。
俺は部活もしてなければ、委員会にも入ってない。
もちろんめんどくさいからな。
今日はやたらと疲れたし帰ろう。
しかし、教室を出ようとすると担任の矢成先生に引き留められた。
「望月ー。ちょっと頼みたいことがあるから職員室まで来い。」
ですよねー。このまま帰れるわけがないですよね。知ってたよ、俺泣いてないよ。
はぁ。めんどくさい。
「はーい・・・。」
気のない返事をしつつ職員室まで行くと・・・。
「図書室の蛍光灯が一か所切れててな。付け替えてきてもらえるか?めんどくさいとか言うなよ?」
「・・・それって事務の人の仕事じゃないんですか?」
「それが、事務の人手が足りて無くてな私が頼まれていたんだが私も忙しくてな。」
「先生が忙しいのは普段サボってるからじゃ・・・。」
「何か言ったか?」
こわっ!全然目が笑ってねぇ。断ったら殺されるな素直に従おう・・・。
「いえ・・・。何も。」
「そうか。なら頼んだぞー。」
もうこうなったらやけくそだ。先生の仕事の手伝い(強制)は今にはじまったことじゃないしさっさと終わらせて帰ろ。
先生から替えの蛍光灯を受け取り、図書室へと歩みを進めた。
図書室は本館と別館をつなぐ2F廊下にある。
放課後ということもありかなり静かだ。
せっかく図書室に来たことだしついでに本借りていくか。
ドアに手をかけ、図書室にけだるく声をかける。
「失礼しまーす。蛍光灯変えにきました。」
「あれ?望月君?先生は?」
そこには一人の女子生徒がいた。
容姿はそこそこかわいくて、普通にモテそうな感じだ。
でも、なんだろ・・・。影薄いな・・・。
「あのー。聞こえてる?望月君」
「あー悪い。先生に頼まれて代わりに蛍光灯変えに来た。どこの蛍光灯だ?」
その女子生徒に案内されつつ蛍光灯を無事替えた。
よし。やっと帰れる。
「ありがとね。望月君。」
「あーそうだ。本借りたいんだけどいいか?」
「いいよ。でも意外だなぁ望月君本とか読むんだー。なんか雰囲気からしてめんどくさいとか言って読まなそうなのに・・・。」
え・・・。俺この子と話すの初めてだよな・・・。
てか、雰囲気だけで俺のアイデンティティー見透かすのやめて
「えーっと。なんで俺の名前知ってんの?」
「え。一年も二年も同じクラスだよね。」
・・・。
えええええ!?二年も同じクラス!?
全然気付かなかった・・・。どんだけ影薄いの。
な、名前思い出せん。
「もしかして名前知らない?」
「すみません。ちょっとわかんないです。」
どうしよ全然覚えてないんだけど。
年かな・・・。
「ひどいなー。柊夢愛だよ。」
「ごめん。聞いてもピンとこないわ。」
「いや、開き直らないでよー。」
失礼なことを言ったにもかかわらず柊は特に表情を変えず全然気にしてない様子だ。
正直その反応が意外だった。女の子は経験上(決していやらしい意味ではない)めんどくさいイメージだった。
「でも、覚えられてなくても無理ないか。私ちょっと影薄いし、友達も多いわけじゃないし・・・。」
「俺ごときに覚えられてなくてもいいだろ。」
「そのごときにすら覚えてもらえない私って・・・。」
「お前意外と失礼だよな・・・。」
「二年も一緒のクラスで名前覚えてない人にそれを言われるとは思わなかったよ。」
「・・・悪かったよ。」
こうやって話している間もあまり表情は変わらず、淡々と喋っている。
・・・やっぱ影薄いな。明日には忘れてるんじゃないか?
とりあえず、用事は済んだので借りた本を柊から受け取り図書室を後にする。
「また明日ね。望月君。」
「ああ。じゃあな。」
図書室を出たときにスマホを確認すると妹の花梨からメッセージが来ていた。
「大好きなお兄ちゃんへ。帰りにプリン買ってきてー♡」
・・・いらっ。
「お兄ちゃんのばかああああ!どう間違えたらプリンと豆腐を間違えるの!」
「いや、近くにあったかr・・・」
言い終わる前に右の頬に花梨の平手打ちがクリーンヒットした・・・。
いや、プリン買ってきてるから・・・。オチに行く前に台無しにすんなよ・・・。
次回はいつになるかわかりませんが、なるべく早く投稿できるように頑張ります。
ご愛読ありがとうございました。