06
なぜ243なのかはあとで考えることにしてなんとか意識を戻す。そして、中に書かれているアイテムを押した。
すると、押した指の先がぼんやりと発行し始めた。
そのまま机の上に開かれているノートの上まで持っていき、そこに触れる。
瞬きをすると、透明で小さな箱に入った指輪が音もなくあらわれていた。
「なんだこれ……」
内心動揺しながらも、周りに見られないように筆箱や教科書で隠す。
少なくとも核爆弾のような物騒なものではないだろう。今までのことを考えると、 BRN-30 という名のアイテムである可能性が高い。
だが、考えているだけではどうしようもない。
よって、俺は"解析"を使い調べてみることにした。
―――――
~BRN-30~
耐久値【100/100】
潜在値【 30/30 】
付与効果
耐久値自然回復
説明
このアイテムは箱に収まる大きさであれば、所有者の任意の形状に変化させることが出来る。また、付与効果を削除することも可能。また、このアイテムの潜在値と名前、箱の大きさは関連性がある。
―――――
どうやら配布されたアイテムのようだ。
親切にも名前に入っている数字の意味まで教えてくれている。正直この情報はいらないと思う。
もしかして、BRN というアイテムがほかにもあるのだろうか。これと同じように箱に入る大きさなら、自由に変形するアイテムが……
そうだとしたら、ぜひ欲しいものだ。
俺は"付与効果"の下に書かれた"耐久値自然回復"という効果が気になり、その部分を触る。
―――――
アイテムの耐久値を時間で回復させる。
1時間につき耐久値【+1】上限以上には増えない。
全壊しても元に戻る。
―――――
名前通りの効果だった。
だが、全壊しても元に戻るという事は、本当の意味でなくなる事はないということだろう。これだけでもすごいものを手に入れてしまった。
とりあえず、本当に形が変わるのか気になったため、箱を手に載せ指輪の形をイメージする。
すると、中にあった銀色の物体が消え、形がいびつな指輪が出来た。
どうやらかなりはっきりとイメージしなければならないようだ。
俺は目を閉じて、もう一度指輪の形をイメージする。
今度はさっきよりもはっきりと、なんの変哲もないただのリングをイメージした。俺の指の太さに合うように。まあ、どれくらいの大きさなのかは知らないが、なんとかなるだろう。
しっかりとイメージを流し込む。
「おい、本川。学校に来て早々、寝るんじゃない」
教壇に立っている教師から、そう言われた。
俺は決して寝ていたわけではない。
だが、目を瞑っていたのを周りから見ると、寝ていたように見えるのだろう。
クラスメイト達は笑った。
「さーせん」
とりあえず謝る。
手に載せた箱を見ると、中にはシルバーリングが入っていた。
取り出して中指にはめてみる。が、少しきつい。試しに薬指にはめてみると、驚くほどピッタリだった。
最悪だ。指輪をはめる場所と聞いて思い当たる指が薬指なのはわかるが、せめてほかの指に合わせてほしかった。
俺は指輪を外すと、箱に戻す。
箱を手に載せつつ、スマホでお気に入りのキャラクターの画像を探し、表示さる。その画像を見ながら、ストラップになるように念を送った。
すると、世界にこれ一つしかない(と思われる)ストラップが完成した。
俺はそれを登下校用の鞄に取り付けた。