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「さて、まずは各自の能力を教えてほしい。ちなみに俺は【空間】だ」
竜兄はそう言うと、沙良姉に視線を向けた。
「私は【時間】らしいけど1000pt使っても、ほとんど何もできないみたいだから使ってないわよ」
「俺は【付与】だ。ゲームで言うと特殊効果の付いたアクセサリーを作れるって感じだった」
最も、形状はアクセサリーだけというわけでもなさそうだが、特に言う必要もないだろう。
「僕は【物質】という能力でした。どうやら物を作ることが出来るようです」
和人は懐から不思議な形の金属でできたなにかを取り出した。
「愛良は【生物】で、この子がクマちゃん」
愛良の肩には部屋にあったクマのぬいぐるみがちょこんと乗っている。
きっと、それに使ったのだろう。
クマは愛良の肩を器用に登ると、お辞儀をするように頭を下げた。
「なるほど、俺たちはかなり運が良さそうだ。なにせ、これだけいて被りがないんだからな」
判明している能力は7種類で、今までのものに加え【 EN 】というのがあるらしい。エネルギーと読むらしく、ファンタジーでよくある魔法のようなことや念動力が使えるようだ。
「【付与】の解析が進んでいるという事は、他の場所でもグループが出来ていても不思議ではない。だが、6種類の能力が集まっているんだし、グループとなればかなり有利だろう」
そりゃ他のグループもあるか。【付与】のスレにほかの能力持ちと協力するという話が出来る時点で気づくべきだったな。
そんなことを考えていると、竜兄がニヤリと笑った。
「それでは今後の方針だが、ひとまずは自分たちの能力の把握をしておきたい。特に【付与】は各自での検証が必要になるだろうからな」
「でも、確認にはポイントが必要だろ? 今は出来る限り使わずに、スレでの情報収集を優先したほうが良いんじゃないか?」
竜兄は俺の意見を想定していたかのような反応を見せた。
「メールを開いてみてくれ、そこに面白い事が書いてある」
メールを開くと、予定が早まり限定的に"Bect"が使えるようになったという事、そこではポイントが入手できるという事が書いてあった。
「ベクトでポイントを手に入れたポイントを検証に使おうってことか?」
「そう言う事だ。これなら各自で使うポイントも回収できるし、初めから一人で入る必要もなくて安心だろ?」
「まあ、どんな方法でポイントを貰えるのか見に行く必要はあるかもね」
「ほら、沙良だってこう言ってるんだし」
こうして、俺たちはベクトに行くことが決定した。
こんにちはyoshikeiです。
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。
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