脱出へと(2)
「言われた通り集めてきたよ。このくらいの人数で足りるかな。」
愛がそう言って集めてきた人数は150人くらいだった。予想以上の集まりだ。この体育館には200から300人くらいだから半分以上の人は集まったことになる。愛のおかげでもあるだろうがそれだけこの状況に不満を抱えている人が多いということだ。
「奴ら」に気取られてはいけないので俺はすぐに話を進めた。
「それでは俺が考えたここを脱出するための方法を言いたいと思います。これを奴らに悟られるわけにはいかないので質問などは最後に聞きます。まずは俺の話を聞いてください。」
そういうと集まった人たちは静かに頷いた。
「まず最初に言っておきたいことがあります。脱出に成功いても全員が助かると断言できるものではありません。だがなにか行動を起こさなくてはここから抜け出すことは出来ないと考えています。なので話を最後まで聞いてこれより良い方法があれば遠慮せずに言ってください。」
と言うと少しざわついたがすぐに収まった。俺は話を続けた。
「では俺が考えた作戦を言います。作戦内容は簡単です。多人数で押しかけて混乱をこちらから起こし、
それに乗じて脱出します。細かい方法としては最初に奴らの気を引く人を何人か出してそれに気を取られている隙に全員で玄関に突入するというシンプルなものです。これなら全員は助かることは出来ないと思いますが半分以上は助かると思っています。」
と俺が簡単な説明が終わると集まっている人たちがざわつき始めた。そしてざわついている人の一人が、
「そんな適当な方法でしかも犠牲が半分も出るだと!ふざけるのもいい加減にしろ!」
と怒鳴りつけてきた。この人の意見ももっともである。いくら犠牲が出ることを覚悟していても助かる人数が半分程度では反対意見が出るのも当然である。
だがこんな方法でも実行しなくてはならない。このままでは助けが来る保証はない。そして助けが来たとしてもその頃には俺たちは「奴ら」の仲間になって人を殺してしまっているかもしれない。それなら自分たちで動いて脱出するしかないのだ。
「ですから最初に言いました。俺が考えた方法より良いものがある場合は私に教えてください。私の頭ではこれくらいの方法しか思い浮かびませんでした。この状況では助けが来る前に俺たちは奴らの仲間にされているかもしれない。そもそも助けが来ないかもしれない。反対意見があるなら、俺が考えた方法より良い方法があるなら教えてください。お願いします。」
俺はそう言って頭を下げた。体育館が静かになった。俺の真剣さが伝わったようだ。俺はそれを同意ととって話を進めた。




