異常の中の日常(6)
「さっきの物音はなんだったんだ。」
ぶつぶつ言いながらまた入口の見張りに付いた。
おれたちは息を殺しながらコンビニから離れた。こっちは三人で相手は一人だが
相手は拳銃を持っている。
それに加えてこちらは三人中二人は荷物を抱えているため逃げるスピードが遅い。なんとしても見つからずに
ここから早くにげたい。
そう思ってふと前を見ると野良猫が一匹俺たちのことを見ている。俺は嫌な予感がしてならなかった。
そしてそれはすぐに現実になった。
猫は鳴き声もあげずに音を立てて走り去ってしまった。
「だれだ!」
見張りがそう叫びおれたちは動けなくなってしまった。相手がこちらに注意を払っている状態で
音を立てることはできない。なにより恐怖で足がすくんでしまった。
「そこにだれかいるのか。」
そう言いながら入口にいた見張りが徐々に裏手に近づいてきた。
ガサガサっっと音を立てながら一歩ずつ近づいてくる。この中でまともな武器を持っているのは
拳銃を持っている俺だけだ。
だが俺は今両手に袋を持っているため拳銃を出すことができない。それに使ったことのない拳銃のリアルな重みがさらに恐怖を増し、身体が固まって動けない。
永遠にも等しい時間が流れていた。そして見張りが俺たちの隠れている裏手に来ようとしたとき、
さっき走り去った猫が戻ってきて見張りの前に出た。
「なんだ猫か、脅かすんじゃねぇよ。」
そう言って見張りは戻っていった。
俺たちはその隙に恐怖ですくんでいる身体に鞭を打って音をたてないようにそこから脱出した。
コンビニから十分離れた茂みで俺たちは一息ついた。いや、緊張が解けて身体が脱力してしまった。
「大丈夫か、聡。」
そう心配して地面に尻餅を付いている露絵に手を差し伸べてくれた。だがその手は震えていた。
武史も俺と同じく身体から力が抜けているようだ。
「なかなかスリリングな体験だったな。だがこんなことをこれっきりにしてもらいたいものだ。」
そう言いながら倉橋さんも地面に倒れこんでいた。倉橋さんも俺や武史と同じで緊張の糸が切れたらしい。
「そうですね。まったくです。」
俺たちは地面から動くことができなかったがほっとして皆で笑いあっていた。
「お楽しみ中に申し訳ないがまだ終わってないぞ。」
その言葉に場が凍り付いた。
俺は後ろを振り返るとさっきコンビニの見張りをしていた奴が俺たちに銃を向けて立っていた。




