00 プロローグ
進化。
それは長い時間の中で生物が変化し、より高度化することだという。
そこで、疑問が生まれる。
どうして、全ての生物は人間のような高度な知的能力を得なかったのか。
どうして、人間は他の生物のように運動能力に特化しなかったのか。
どうして、知的能力と運動能力の二つを合わせた方が合理的であり理想的なのに、どちらかが欠けた形で進化したのか。
疑問を挙げればきりがないが、一貫して言っているのは一つだ。
『生物は、進化の過程を間違えたのではないだろうか』
簡単に言ってしまえば、そういうことなのだろう。
より高度に進化するということは、より合理的に、より理想的に、変わるということである。
しかし、最初の時点で、片方への特化を選んでいたのだとしたら。
生物は、最初に選択肢から片方を選びとって進化していたのだとしたら。
もう、手遅れなのだろうか。
理想的な生物、それこそ『神』のような生物へと進化することは、不可能なのだろうか。
もしもこの世界を作った神様のようなものがこの世界にいるのだとしたら、この現状をどう思うだろう。
自分の作った世界の生物が間違った方向へ進化している現状を、どう思うだろう。
つまらなくなったと呆れるか、これはこれでと楽しむか、ここをこうしてみようと遊んでみるか。
神が本当にいたのだとしたら、この世界は、神に遊ばれた。
七月二十五日。
その日、世界が地獄へと変わった。