白城学園祭の準備
朝、私はスマートフォンのアラームと同時に起床した。
昨日のことが頭からどうしても離れないのだ。
その時、メールがきた。
相手はなんと野間瞬だった。
私は驚いて、急いで内容をみた。
その内容はこうだった。
[希咲ちゃんへ
昨日はほんとにありがとう!
とても楽しかったしなんだって、お兄さんのそばで漫画のお仕事を見ることが
できたから満足しちゃった。
ご飯もいただいちゃってほんとにありがとうね。
あともうひとつ、希咲ちゃんおはよう!
野間瞬]
私が今日はついてるかもなんて思ったりしたのだ。
朝から、こんなメールがくるなんて幸せだ。
リビングに下りていくとそこには誠の姿があった。
寝癖がひどい・・・
希咲はそれが気になってしかたがなかった。
「まこ兄、その寝癖いつもよりひどいよ?昨日どんな寝方したの」
「えっあっ。そんなにひどいの?」
「うん。いつも以上に」
「なんだよ~早くいってよ」
「なんでそうなるのよ」
私は兄とそんな会話をしていた。
食べ終え部屋に戻ると学校に行く用意をした。
そして放課後には新谷さんのところに出来上がった原稿を渡しにいかないといけないのだ。
そして読んでもらわないといけないのだ。
私はそのことで頭がいっぱいなのだ。
家を出ると学校に向かった。
ぼーとしながら道路を歩いていると後ろから誰かに呼ばれたような気がした。
その声はだんだん大きくなってきた。
次の瞬間背中をトンとおしてきた。
「おはよ。希咲ちゃん!」
私は驚いた表情をした。
そこには瞬がいたからだ。
「どうしたの?そんなに驚いて」
「あっいえ。なんでもありません。おはよです。瞬くん」
「なんかうかない顔してるね。なにかあったの?」
「実はね今日の放課後新谷さんに原稿を見せる日でもうドキドキしちゃって」
瞬はあごに手をよせると何か考え始めた。
歩きながら考え10分後彼はこういった。
放課後少し僕に付き合ってほしいと。
私はデッデートじゃないですか!!と心の中で叫んでしまった。
彼は首をかしげてこちらを見ていた。
希咲はきっと気分転換しにいくのよと自分自身にいいきかせた。
彼は笑いながらわかったと伝えた。
途中で友達の湊にあった。
彼女は私のとなりにいた瞬くんを見た瞬間、目を丸くしていた。
そりゃ国民的アイドルですから驚きますわなと私は思った。
「おはよ。赤宮さん」
「おはよ。野間くん」
「みなちゃんおはよ!今日朝早いのね」
「おはよ、希咲そうなの。部活があってまた教室でね」
「うん。またね」
彼女とは中学生のときからの付き合い。
力があって昔からよく助けてもらっていた。
すぐに守ってくれた。
私たちは学校に着きクラスに向かった。
クラスは全員同じクラス。
高校1年生のときは私と、凪くんと優馬くんが同じクラスで、瞬くんと翼くんと大我くんが違うクラスだった。
だけど、高校2年生になると全員同じクラスになった。
クラスの女の子たちは口をそろえて「スター☆フラッシュと同じクラスなんて」といっていた。
それは私も同じ気持ちである。
クラスの子達の思う気持ちはわかる。
テンションがあがるだろう。
私たちの学校では今年は学園祭が開催される。
一大イベントである。
グランドには巨大なステージがセットされることなのだ。
私が今年白城学園祭の実行委員になった。
クラスから4人ほどださなければならないのだ。
自分たちでやりたいものに手をあげるのだが、なんと手をあげた4人がこの
メンバーであった。
成瀬希咲、野間瞬、高山凪、赤宮湊。
クラス内も意外な組み合わせにざわついた。
私もこんなことがあるこかと思った。
ほかのメンバーは楽そうなところにちらばった。
さっそく今日の放課後委員があるようだ。
4人は先生に返事をした。
「希咲!!同じ委員にだなんてうれしいよ。よろしくね」
「赤宮さん、完全に僕たちのこと見えてないね。」
「別にそんなことないの。たまたまよ。野間くん、高山くん、よろしくね」
「うん。よろしく、それにしても希咲ちゃんと同じ委員でよかった。安心する」
「よろしく」
希咲たちは委員の話で盛り上がっていると遠くから大我たちがあるいてきた。
優馬は希咲のことを見つめると、手首をつかみ、ひっぱった。
他のメンバーは優馬の行動に首をかしげた。
廊下につれてきた優馬は彼女に対してこう話してきた。
あのメンバーをどう思っているのかと。
私はみんな大好きよ。ファンですもの。と彼に言うと笑顔になった。
その笑った顔がとてもかわいかったのでつい頭をなでてしまった。
優馬は私がした行動に驚いていた。
気づいた希咲はすぐさま手を離して手を後ろに隠しながらみんなのところにもどろいかといった。
彼はうなずいた。
もどると、他の子達はおかえりといってきた。
特に何の話してるの?っと聞いてみた。
私は逆に何の話をしてるの?と聞いてみた。
すると大我がこういった。
「あっ成やん。あのな、成やんと優馬がそろうと姉弟みたいだなっていう話をしていたのだ。」
「何その話、そんなに見えますか?私たち姉弟に見えるのかな」
「見える見える」
「えっみんなして」
瞬たちは一緒に声を合わせて二人に言った。
放課後になると委員会があるため会議室へ向かった。
私は新谷さんのところに行く予定もあるが、まずは学校が先だ。
担当の人に連絡をした。
会議室に入った。
中にはいると各クラスの委員の子達が席についていた。
希咲たちも席につくと、担当の先生が入ってきた。
「それではこれから会議を始めたいと思います。クラスでなにをしたいのかこの紙に書いてこの日のお昼までに提出してください。」
先生が説明した後、用紙を配り始めた。
今日はそれだけだった。
案外はやくおわったものだから私たちは驚いていた。
第一回目の会議がおわり、四人は教室に帰ってきた。
瞬は希咲の顔をみると帰ろうっといってきた。
大我たちは委員がないため先に帰ってしまった。
凪たちは瞬に、瞬・・・と話しかけてきたが、彼はごめんと凪に断った。
私は湊に訳を話した。
「みなちゃんごめんね、一緒に帰れなくて、」
「いいの。でもなんで?」
「実はね、瞬くんに放課後付き合ってほしいところがあるからお願いって言われてて」
「なるほどね、それならしょうがないね。高山くんには私から話とくからいきな。希咲」
「ありがとう」
そういうと私は荷物をまとめ、瞬くんのところに歩いていった。
瞬は希咲に行こうかというと二人は学校を出て行った。
新谷さんとの約束の時間までは1、2時間くらいほどである。
帰り道とある一軒のお店に止まった。
希咲は首をかしげながらどうしたの?と聞いた。
彼はそのままお店の中に消えていった。
私は外の看板をみるとそこには「クレープ屋」と書いてあった。
実を言うと場所はここではないがクレープをよく食べていた。
お店の中に入るとたくさんのお客さんでにぎわっていた。
そこには親子で来ている人もいた。
「おや?野間くんじゃないか!?毎回来てくれて本当にありがとう」
「いいえ。僕、ここのクレープ好きなので」
するとお客さんたちは急にざわめいた。
あのスター☆フラッシュの野間瞬だということに気づいたのだ。
サインを求められたり握手を求められたりとさすがスターだと感じさせられた。
店員さんは野間瞬の顔を見た後、私の顔を見た。
私はガラスばりの中にうつる、クレープをまじまじと見つめていた。
おいしそうな顔をするのを見ていた店員さんは何かクレープほしいのありますかと希咲に聞いてきた。
私は、おもわず顔をkげて驚いていた。
瞬の顔を見ると彼は好きなのものたのみなといってくれた。
いちごが大好きな私はいちごのたっぷり生クリームクレープをお願いした。
15分後出来上がったほかほかのクレープを受け取ると外にあるベンチに私はすわりに行った。
「なあ野間くん、あの子って彼女なのか?」
「そう思ってくれるだけでも十分うれしいですよ。でも残念ながらただの友達です。」
「お前はあの子が好きなのか?」
「うーん。それは秘密ですね」
「なんだよ。まっゆっくりしていきな」
「ありがとうです」
店員と話おえた彼は希咲のところにきた。
希咲は礼を言った。
彼はほほえみながらいいよっといった。
二人はしばらくクレープに夢中になり、会話をしていなかった。
「瞬くんは何を食べてるの?」
「僕はばななチョコクリームクレープだよ?食べてみる?」
「いいの?」
「うん」
そういうと希咲はそのクレープを一口もらった。
するとクリームが大量に入っていたため、口のところについてしまった。
それをみた瞬はぺろりとなめた。
私はその行動を見たときはずかしさで顔があかくなりぼーとしていた。
瞬は彼女の顔をみた。
「希咲ちゃん、口元にクリームついてたよ?もう平気だよ!」
「あっありがとう。瞬くん」
私の胸はどきどきしていた。
ひたすらどきどき。
両手で顔に手をあてて後ろをむいた。
瞬は頭の上に「?」がうかんでいた。
希咲はこのとき少し彼に対しての感情が芽生え始めていた。
これはまだ花でいうと、つぼみの状態である。
クレープ屋さんで時間をつぶした後、新谷さんのところにむかった。
瞬は希咲をその場所まで送ると別れた。
「今日はどうもありがとう。とてもたのしかった」
「僕も楽しかった。またクレープ食べようね」
「うん。」
私は本館に入り、新谷さんの松ブースにむかった。
新谷さんと会うと席にすわり、小説を渡した。
読んでもらっている間、私はどきどきさせながらひたすらまっていた。
しばらくして新谷さんは顔をあげると希咲の顔をみた。
みけにシワをよせていた新谷さんは次に明るい表情をした。
「うん。前回より上手になっている。時間をかけた分よい作品になってるよ。よくがんばったな。希咲」
「ホンとですか!よかった。ありがとうございます」
「今日は早くおわったな。またがんばって続き書いて来い。また見るから。期限は守るように。」
「はい。わかりました。ありがとうございました。」
私は本館を出ると家に帰った。
家に帰ると誠が丁度上の階からおりてきた所だった。
二人は目があった。
「ただいま」
「おかえり」
ただ二つの言葉を交わしただけ。
このとき希咲はおかしいと思った。
誠の様子が変なのだ。
希咲は誠の後ろをついていくとついたのはリビング。
リビングには母親がいた。
彼は母親のところでなにやら話していた。
ここからではよく二人の会話はきこえなかった。
見えるのは口パク。
私には聞こえないがみなさんにはどんな会話をしているのは見せよう。
「お母さん、どうしよう」
「どうしたの?誠」
「俺さ、今日担当の人ところにいったんだ。そしたら、完璧だって言われたんだ。」
「ホンとに?よかったわね。おめでとう」
「俺、うれしすぎてやっと完成したってうれしなきした」
ということなのだが、漫画のホンを出している誠は現在10巻目を発売しようとしていた。
その10巻目が完成し、今日発売される。
リビングから部屋に戻るとき私は誠と再びあった。
口元がにやけているのがわかった。
その時、私はきっと漫画のことでいいことがあったんだと思った。
夕食のとき、私は誠にさっきなにを話していたのか聞いてみることにした。
彼はラーメンをすすりながらおいしそうに食べていた。
聞くタイミングがわからず希咲もラーメンを食べていた。
しばらくして誠は食べ終えるとすぐさま部屋へ戻った。
希咲じゃ思わず声をかけてしまった。
私も食べ終えた後部屋に戻り、着替えた後、誠の部屋にむかった。
ドアをたたこうとしたとき、中から誰かと会話しているのが聞こえた。
どうやら話相手は誠と同じクラスの本堂柊先輩。
「柊!柊!」
(なんだよ。誠。うるさいよ)
「柊!聞いてくれよ。10巻目がやっと完成して発売されることになった。」
(え?ほんとうかい?おめでとう。誠。発売されたら僕買いに行くよ)
「ありがとう。柊」
私はしばらくしてからもう一度誠の部屋に行きドアをたたいた。
すると中から、誠の声が聞こえた。
「どうしたの?希咲」
「まこ兄、今日どうしたの?元気すぎて驚いたんだけど」
「なんだ、希咲も知りたいのか。あのな10巻目が完成してすごくテンションがあがってんだよ」
「そういうことね。おめでとう。それだけなんだ。おやすみなさい」
「ありがとう。それだけかよ。おやすみ」
私はそういって部屋を出ると自分の部屋にもどり、ふとんの中に入った。
明日は文化祭の準備をしなければならない。
希咲たちは携帯のクラスラインのところに何を文化祭でやりたいかのアンケートをとった。
するとお化け屋敷、喫茶店、スタンプラリー、コスプレなどの意見があがった。
瞬がラインでこういった。
「スタンプラリーとコスプレは一緒にできないの?コスプレしている人を見つけてスタンプをもらって全員のスタンプをもらえたら本部に戻ってきて、最後に好きなキャラクターと写真がとれるっていうのは」
みんなはそれがいいというとコスプレスタンプラリーにきまった。
詳しいことは明日決めることになった。
希咲は深い眠りについた。
次の日、私はいつもどおり起床するとリビングにいき、兄の誠を一緒に家を出た。
すると野間瞬にたまたまあった。
誠は瞬に手をあげながら声をかけた。
「おはよ。野間くん、一緒にいこうぜ」
「おはようございます。淋先生。希咲ちゃんもおはよう」
「誠でいいよ」
「あっそうですか。では誠さん」
「あはは」
学校につき、兄と別れると教室に入った。
凪が歩いてきて、瞬と何かはなしていた。
彼は凪に表情でそれがいいねというと黒板の前に立った。
「みんなおはよう。今日のお昼休みのとき、文化祭の話をしたいのでお願いします。」
するとクラスメートは返事をした。
そして、時間はすぎていき、とうとうお昼休みになった。
四人は前にたつと、話を始めた。
「それではコスプレスタンプラリーなのですが、どんなものをやりたいですか?」
「はいはい!不思議の国のアリスなんてどうかな」
「それいいかも」
クラスの一人が案を出してきた。
それに対して全員は拍手をした。
次にそれぞれのキャラクターを誰が担当するのか決めることになった。
どのようにして決めるのか。
翼が手をあげて名前を出した。
うさぎさんを彼は彼にやってほしいといってきた。
やってほしいというか彼はただ瞬のタキシード姿を見たいだけだった。
クラス全員はそれはナイスだと声をそろえていた。
それにつられたかのように湊はアリスを希咲にやってほしいと。
彼女は瞬が希咲を好きなこと、希咲は瞬のことを好きだということをしっているのだ。
だが、二人はお互いにそのことを知らない。
もちろんまわりからみるとそう見えてしまうのだ。
結果的にスター☆フラッシュのメンバーは彼にまわされ希咲もアリスになった。
「希咲!ちょっとこっちきて」
「はーい」
それぞれのブースにいき、衣装担当の子達に調べられた。
衣装を着る日が楽しみである。
学園祭の準備も少しずつではあるが、みんな一生懸命努力している。
全ての時間割りが終了し放課後になった。
希咲とスター☆フラッシュは久しぶりに全員で帰ることができた。
クラスの子達は希咲のことをうらやましいな。などと口々にいっていた。
だが、そんな口々いう彼女たちは希咲のことを嫌いになることはなかった。
なぜなら、やさしくて、いつもクラスのこたちの手伝いや助けをしていてなにごとにもがんばっているからである。
そんな希咲を彼女たちはうらみなんてことなどできないのである。
六人は門をでると歩き始めた。
六人のうちで学園祭のことで一番楽しみにしている子がいる。
その子の名前は鈴原優馬である。
彼はかわいらしいキャラで女の子たちをとりこにしている。
「ねね。もう少しで学園祭だね。当日みんなでまわりたいな」
「優馬、シフトがあるから全員一緒にまわるのは無理かもしれない。」
凪は彼にそういうと希咲はこういった。
「全員で回るのは大変だから半分に分けてみるのはどうかな。二日目ともシフト変わるからその時にバラバラにするの。全員が一緒に回った感を出すの」
希咲は彼らに話すと五人は「それはいいね」と言った。
優馬も納得したような感じがした。
あと少したてば学園祭がはじまる。
いったいなにがあるのか6人には心臓をどきどきさせていた。
それぞれバイバイと手をふると家に帰っていった。
瞬と希咲は家が隣なのでそこまで一緒に帰った。
歩いていると後ろから誰か走ってきた。
「よっ瞬」
2人は後ろを振り向くとそこには私服姿の男の子がいた。
瞬は「慎!?」といった。
希咲は誰?というような表情をした。
彼は、希咲に気がつくと紹介をした。
「希咲ちゃんごめんね。こっちは僕の兄の野間慎」
「君が成瀬希咲さんだね。いつも弟がお世話になってます。俺は今大学1年生で俳優をしてます。よく瞬から君の話を聞くんだよね」
「あっそうなんですか。はじめまして、慎さん。私は小説家をしています。私には兄がいて漫画家をしています。どうぞよろしくお願いします。」
希咲は心の中でこう思った。
お兄さんはよく出来た人だと。
家の近くまでくると家の前で誠が待っていた。
誠は希咲を見るけると名前を呼び手をふった。
相変わらず髪の毛にホワイトをつけていた。
慎と誠は目が合うと挨拶をした。
「どうも」
希咲と瞬は微笑みながら「またね」といった。
家に入った希咲たちはリビングにいった。
すると誠が彼女にさっきのかっこいい子は誰?と聞いてきた。
彼女は瞬くんのお兄さんだよといった。
兄の顔をみると目がきらきらと輝いていた。
それをみた希咲は兄は慎さんと仲良くなりたいということが分かった。
夕食を食べ自室へ戻るとそれぞれの仕事に取り掛かった。
なんだか素敵な物語がかけそうな気がしたのだ。
学際もあるしそれにサプライズもあるし今年は楽しくなるだろう。
希咲はそんなことを考えながら小説を書き始めた。
誠も漫画を描き始めた。
4時間以上も2人は集中して作業している。
まるで時間を忘れているかのように。
しばらくして希咲のところに一件のメールが届いた。
「希咲ちゃんへ
今日は突然兄が来て驚いたよね。
ほんとにごめんね。
学園祭のシフト同じだからさよかったら一緒にまわらない?
凪も同じシフトだからさ
ライブみんなが盛り上がれるようにがんばるね。
おやすみなさい! 野間瞬」
希咲はうれしかった。
こんなにも喜んでくれる人がいる。
がんばろうと思える。
彼女は時間をみると目を丸くした。
すぐに寝る準備をすることにした。
ベッドにはいり目をつぶった。
明日から学園祭が始まる。
彼女はまだ知らないがどきどきなことが待っている。