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引越しのお手伝い その後 1月19日。

整理整頓のため、「何でも屋の<俺>の四季」からこちらに移します。元のタイトルは「ある日の<俺> 1月19日。 引越しのお手伝い その後」です。全く同じ話なので、既読の方はスルーしてください。


昼間、頼まれた買い物をしに行く途中で、慈恩堂の真久部さんに会った。なんか、近所のお寺に用があったらしい。


「昨日、あの家の引越しを手伝ったんだって?」


若夫婦がたった一週間で引っ越していった例の一軒屋を指差し、彼は訊ねてくる。ああ、そういえば、この辺りは慈恩堂とスーパーへ行く道の真ん中あたりだったな。


聞かれたことに頷くと、真久部さんは溜息をついた。


「あの家はねぇ・・・人が居つかないよって、大家にも言ってあるんだけどねぇ・・・」


俺が首を捻ってると、彼は笑った。


「ま、きみなら普通に住めると思うけど。どうする? もしあの家に住むつもりがあるなら、大家に口聞いてあげるけど?」


きみなら普通に、ってどういう意味だよ。


今のところが気に入ってるから、引っ越すつもりはないと断った。夏暑く、冬は極寒のコンクリート打ちっぱなしの狭いボロビルだけど、男が独りで暮らすんだったらあれで充分だ。最近、部屋の隅に畳を設置(あれを敷くとは言えない)してからはコタツも置けるようになって、それなりに快適だし。


「あはは。そう言うと思ったよ」


なら、聞くな。そう思ったけど、黙ってた。だって、一応お得様だし。


「今度、また留守番頼むよ」


そう言うと、真久部さんは手を振って店の方に歩いて行った。その背中をぼうっと見送っていると、急に振り返る。


「そうそう。もうあの家には近寄らない方がいいよ。きみ、好かれやすいからね」


何に? なぁ、何に好かれるっていうんだ?


・・・聞かない方がいいんだろうな。本能がそう訴える。遠ざかる慈恩堂店主の背中を見ていたら、急に寒気がして、くしゃみが出た。

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□■□ 逃げる太陽シリーズ □■□
あっちの<俺>もこっちの<俺>も、元はみんな同じ<俺>。
『一年で一番長い日』本編。完結済み。関連続編有り。
『俺は名無しの何でも屋! ~日常のちょっとしたご不便、お困りごとを地味に解決します~(旧題:何でも屋の<俺>の四季)』慈恩堂以外の<俺>の日常。
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