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双子のきょうだい 後日談7

「私の代では、男ばかりの五人兄弟でして」


「はぁ・・・」


「次男、三男、四男は年子で、五男だけが少々年が離れているのですが、これが子供の頃、家の中でちょくちょく姿が見えなくなることがありまして」


「え・・・自分でどこかに隠れてたとかではなしに?」


これだけ大きな家なんだから、どっかその辺の納戸にでも潜り込んだら大人にはなかなか見つけられないんじゃないだろうか。


「まだ這い這いしてる頃からのことですから」


そう答えると、百日紅氏はなんとも言えない微苦笑をその顔に浮かべた。


うーん、這えば立て、立てば歩めの親心、とはいうものの、這い這いからいきなりかくれんぼでは、あまりにも飛躍しすぎて親兄弟も心配するわな。


「あー、その・・・でも、すぐまた見つかるんですよね?」


「はい、ありがたいことに。怪我するわけでもなく、熱を出すでもなく、姿を消す前と全く変わりない姿で」


「はぁ・・・」


「毎回、いつの間にか元いた部屋に戻っているので、探していた私たちはホッとするやら驚くやらでへとへとになるんですが、本人はいつもとてもご機嫌で、赤ん坊の頃など、両手両足をばたばたさせて、きゃっきゃっと笑っていたものです」


「まあ、あの、その。なんにせよ、弟さん、無事で良かったですね」


俺は引きつった顔に何とか笑みを乗せ、そう言った。それしかコメントのしようがなかった。そんな苦し紛れの言葉だったけど百日紅氏は頷いてくれて、俺は内心で胸を撫で下ろした。つ、疲れる・・・


「あの子がしゃべれるようになった頃、訊ねてみたんです。いつも、一人でどこへ行ってるのかと。そうしたらあの子は答えました」


いったん、言葉を切る百日紅氏。その表情は、何とも言えず複雑だった。


「ともだちと遊んでいたのだと。この家には、双子の男の子がいて、いつもその子たちが自分を誘いに来るのだと」


でも、そんな子供はいるはずもないし、末の弟以外、誰も見たことが無いんですよ、と百日紅氏は言った。


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□■□ 逃げる太陽シリーズ □■□
あっちの<俺>もこっちの<俺>も、元はみんな同じ<俺>。
『一年で一番長い日』本編。完結済み。関連続編有り。
『俺は名無しの何でも屋! ~日常のちょっとしたご不便、お困りごとを地味に解決します~(旧題:何でも屋の<俺>の四季)』慈恩堂以外の<俺>の日常。
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