表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/417

双子のきょうだい 後日談6

「いえ、阿形ですよ。吽形の方は無事でした。本当は阿吽両方とも持って行きたかったんでしょうが、私が駆けつけたのが早かったので、片方だけで諦めたんだと思います」


「防犯装置が作動したんですか?」


こんな大きな家だと、セ○ムとかア○ソックとか、やっぱり必要になってくるんだろうなぁ。そう思いながら訊ねたら、百日紅氏は首を振った。


「うちにはそういったものはありません。これまでは必要ではなかったので・・・」


かすかに溜息をつく百日紅氏。


「これまで、とは?」


「不心得者が侵入しても、当家の場合、その者は延々と廊下を迷うはめになるという話を先ほどいたしましたが」


「ああ・・・」


本当だとしたら、最高のセキュリティだよな、ある意味。って、ん? 無事に戻ったとはいえ、一度はここの狛犬が片方盗まれたんだから、万全ではないってことか?


「内側から手引きする者がおりましてね。その者がこの場所まで侵入者を案内したんですよ。でなければ、狛犬を片方だけとはいえ、盗んで行くなど不可能です。普通は、まずここまで辿り着けませんから」


「誰がそんなことを・・・?」


「──不肖の弟です」


俺の問いに百日紅氏は答え、肩を落とした。


「末っ子のせいか両親が甘やかしたもので、就職しても続きませんでね。定職に就かず、ぶらぶらと。何か事業をやるといってはすぐ失敗し、無心に来るのですが、本人のためにならないと思い、最近では断るようになっていたのです。それが悪かったというか・・・」


あー、なんか、金持ちの家によくある話だなぁ。当事者にとってはシャレにならないんだろうけど。


「ちょくちょく倉から小物を持ち出して売ったりしてるのは知ってたんですが、少しくらいなら、と目をつぶっておりました」


それも悪かったんですね、と百日紅氏は嘆いた。


「そうこうしているうちに、タチの悪い骨董品屋に目を付けられたようで。大金になるからと、盗みの手引きをするように唆されたようです」


子供の頃はあんなに遊んでもらったくせに、その相手を売り飛ばそうとするなんて、と重い溜息をつく百日紅氏。


遊んでもらった相手を、売り飛ばす・・・?

その時、盗まれたのって狛犬だよな?


えーと。おっしゃっていることが一部理解不能です、百日紅さん。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
□■□ 逃げる太陽シリーズ □■□
あっちの<俺>もこっちの<俺>も、元はみんな同じ<俺>。
『一年で一番長い日』本編。完結済み。関連続編有り。
『俺は名無しの何でも屋! ~日常のちょっとしたご不便、お困りごとを地味に解決します~(旧題:何でも屋の<俺>の四季)』慈恩堂以外の<俺>の日常。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ