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双子のきょうだい 後日談3

不可解だ。


そんなばなな!――と、叫びたいが、ここは届け物を請け負った者としての立場で答えておこう。


「百日紅様にご満足いただけて、慈恩堂も本望だと思います」


平伏。




お暇する前に、トイレを借りることにした。・・・ここの麦茶、美味すぎる。そこだけは現代風なトイレに驚きながらも納得しつつ、用を済ませて廊下を歩いていたら。迷ったよ。


何で迷うんだよ、俺。方向音痴じゃないはずだぞ。真っ直ぐ行って、曲がって、真っ直ぐ行けば元の部屋なのに。何だこの磨き抜かれた廊下の交差点。広すぎるぞ、百日紅邸。


えーと、あっちの丸窓(何て言うのかな、壁を丸く切り取って、その形なりに障子紙を貼ってあるやつ。ちゃんとスライドさせられる、和風のお洒落窓?)から差す太陽の光の加減からすると、こっちか? 頭ではそう考えてたのに、何故か俺はその反対側に足を踏み出していた。


しんとした廊下。聞こえるのは自分の足音だけ。この家で働いている人や家族の人もいるだろうに、人気が感じられない。


「あれ?」


廊下の奥の行き止まりは、壁ではなく部屋になっており、そこだけ襖が開いている。他はきっちりに閉まってるのに・・・好奇心に駆られ、俺はつい中を覗いてしまった。


どーんと、神棚。といっても、それは奥の壁一面を占めている。


古くから続く旧家ともなると、これくらい大きな神棚、というか、お社を祀るものなのか、としばし呆けたように眺めていた俺だったが・・・


「あ!」


知らず、声を上げていた。だってさ。そのお社の、御簾で見えないご神体(?)の両脇に、小さな狛犬が控えているのに気づいたんだ。口を開けた「阿形」と、口を閉じた「吽形」。何でだろう、見覚えがあるような気がする。特に、「吽形」の方。


思わずじっと見つめていると、もう一つのことに気づいてしまった。


「阿形」の座ってる敷物。俺、あれを見たことがある。


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□■□ 逃げる太陽シリーズ □■□
あっちの<俺>もこっちの<俺>も、元はみんな同じ<俺>。
『一年で一番長い日』本編。完結済み。関連続編有り。
『俺は名無しの何でも屋! ~日常のちょっとしたご不便、お困りごとを地味に解決します~(旧題:何でも屋の<俺>の四季)』慈恩堂以外の<俺>の日常。
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