双子のきょうだい 6
え、でも、匂いって・・・」
「これはねぇ、先代のお祖母さんだったかな? その方の娘時代のお手製らしいんです。ちょっと縫い目が不器用だったでしょ?」
「あー・・・そういえば・・・」
裏返した時、糸の見える場所があったような。
「これを縫うのに、家の中の着物とか、色んなものから布地を切り取ったそうなんです。まだ気持ちが幼かったせいでしょうかねぇ。子供って大人がびっくりするようなことしますよね。両親かも大目玉を食らったそうなんですが、それを<もらった方>がとても喜んだらしくてねぇ。家にちょっとした良いことがしばらく続いたそうです」
「はぁ・・・」
もらった方? 敷物を・・・? お気に入りの敷物の、匂い?
あれ? なんだかわけが分からなく・・・
「ということで、僕、この忘れ物もってもう一度行ってきますね」
「あ、あの男の子・・・」
「大丈夫。僕の持ってるこれ」
そう言って、店主は懐をぽん、とたたいた。
「これの匂いに安心して、ちゃんと大人しくついて来るでしょう」
「えっと・・・」
「あー、さっきの男の子はね、そうだなぁ、店の裏口から出たんじゃないかな。ほら、そっちの台所。奥に勝手口があるんです。知らなかったですか?」
「そ、そうなんでしょうか?」