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『商業都市シェール』

どうもお久しぶりです。

最近は忙しくなかなか執筆が進みませんでしたがなんとか完成することができました。どうぞお楽しみください。

俺たちの家は,アメリカ軍の輸送艦が鎮座する『サイリス』という村だ。


この村は,盗賊に襲われ少なからずの被害が出たが今ではその面影もなく復興が進んでいる。

更には村の周り約4キロ付近に丸太の壁を作りこの村自体を要塞化にしようとする計画も進行している。


 輸送艦は,船側面のタラップハッチのところまで何とか土を掘り返し貨物室から車両しゃりょうや荷物を取り出すことができるようにした。

 電気系統が生きており,貨物エレベータや火器管制システムCIWSは何とか使用することができ,武器弾薬,車両の燃料も大規模な戦闘がなければ1年と少しは持つ。



 

 

 ハンヴィーを走らせながら今後のことについて考えを巡らせる。

 今回は,俺の護衛として3人同行している。

 必要ないといったが埒があかないので諦めた。


 護衛の1人は,男性で後の2人は女性だ。


 男性の名前はザック。指揮も執ることができ,戦闘経験が豊富な元兵士だ。

 後の2人は,灰色の髪をした双子で姉がリル,妹がルル。この双子は狙撃を担当しているが近接戦闘もなかなかできる。

 


 さて,考え事に集中しなくては・・・・・・。

 基盤作りは順調。

 兵士の訓練も順調。

 残るはこの世界に存在する俺と同じ境遇の人間だ。


 この世界には,俺と同じように地球から多くの物は来ているようだが人間が来たことはまだ聞いていない。もしその人間が敵対してきたらどう対処するかだ。

 

 穏便に済めばいいがそうもいかなくなったら『殺す』しかなくなるだろう。


 話し合いで解決しなければ『殺す』しかない。

 わかりやすくて手っ取り早い。







 

 しばらくハンヴィーを走らせると目の前に高い城壁が見えてくる。


 分厚い門の前に兵士が数人立っており,その1人が近づいてくる。

 兵士の前に車を止めて窓を開ける。



「ジュンさん,お久しぶりです」

「そうだなハンク。変わりないか」



 ハンク。彼は守備隊長でもある。

 仕事でいろいろと協力をしていくうちに親しくなることができた。



「そうですね,最近は魔物の活動が活発になってきていることぐらいですかね」

「魔物か・・・俺たちの方でも今週は魔物を相当数排除したがあまりこの地方で見ない魔物が何体か確認した。守備隊にも警戒はさせておけ」

「わかりました。こちらでも何かあればお知らせします。今日は冒険者ギルドに御用ですか?」

「すまないな。今回は,前回の仕事の後始末と商人ギルドに呼ばれてな」

「商人ギルドに?」

「仕事の話だろうな。間違いなく」

「なるほど,わかりました。どうぞお通りください」

「ありがとう」


 

 そのまま城壁の内側に徐行しながら入っていく。


 ここは,商業都市『シェール』。

 

 数百年前から商業で栄えてきた都市だ。

 取り扱っているものは様々なものがある。

 食料,雑貨,医薬品,武器,防具,書物,情報,奴隷・・・・・・・。


 




 冒険者ギルドの脇にハンヴィーを止めてM4カービンのスリングを肩にかける。

 町だから安全とは限らない。

 銃は安全装置セーフティーを外せばすぐに使えるようにしてある。

 ザックにはハンヴィーの見張りを任せ,リルとルルが俺の後ろに続く。


 リルとルルは『サブマシンガン』を携帯している。



 市街や屋内のような入り組んで狭い場所では,近距離での戦闘が行われるため,従来の歩兵の主力装備だった長くて威力が強いライフルは扱いずらかった。もっと射程が短くてもいいから,多くの弾を短時間にまとめて発射できる武器が必要とされたのである。そこで,ライフル用の威力の高い弾ではなく威力が抑えられている拳銃弾を使用することで多くの弾が入る弾倉を備え,両手で持ってフルオート射撃を行う小型の機関銃―――――これは『サブマシンガン』と呼ばれるようになった。


 リルとルルは,その中でも命中率の高い『MP5』を装備している。

 『MP5』は,『ローラーロッキング』と呼ばれる作動メカニズムが使用されている。

 このメカニズムは,発射時に後退するボルトの反動リコイルをローラーを使って分散させ弱めて,強い反動リコイルを軽量なボルトで受け止めるという仕組みだ。『ローラーロッキング』は反動リコイルが軽く精度が高いのが利点だが代わりに,高品質な材料で高精度で仕上げる必要があるため高いコストが掛かってしまう。


 高精度で扱いやすく,正確で迅速に射撃が行える『MP5』は世界中の警察や特殊部隊による対テロ作戦や人質救出に大いにその力を発揮した。




 扉から建物に入るとそこは広いホールになっており壁には大きな掲示版に紙が多く貼り出されている。この貼り出されている依頼の中から受けたい仕事を選び受付に持っていくとギルド職員が冒険者のランクに合うかどうか審査し,問題がなく通ればすぐさま仕事が開始される。

 期間は,大体の物は記載されている期間中に行わなければならない。期間中に依頼を達成できない場合は依頼元と冒険者ギルドに謝礼金を支払わなくてはならなくなってしまう。


 極稀に期間が記載されていない物も存在する。

 そういった依頼は,達成が困難なものに多く見られる。


 ホールには多くの冒険者おり賑やかに会話をしていたが,俺達が入ると一気に静かになる。


 気を取り直し受付に向かう事にした。冒険者は,自ら道を開けていく。

 確かにリルとルルは,目だし帽を被って顔はわからない異様な感じだがそれにしても妙に注目を浴びてるな。



「ようこそお越しくださいました。ジュン様」

「久しぶりだな。メリア」

「はい,お久しぶりです。ギルド長がお喜びでしたよ」

「仕事はしっかりこなすさ。それにギルド長にはそれなりに恩を売っておきたいしな」

「なるほど,それもそうですね。それではこの度,盗賊団『フォルスドック』の討伐お疲れ様です。報酬はこちらになりますご確認をお願いします」



 メリラが両手で重そうに皮の袋を持ち上げる。

 カウンター上に大きな革袋が置かれ大きな音を立てる。



「了解した」



 中身を確認するために袋を開けて今回の報酬を確認する。 

 金貨450枚。

 しっかり入っているな。

 金貨はこの世界では結構な大金に相当する。金貨1枚あれば一般の家庭が贅沢をしない限り半年は楽に暮らすことができる。

 他には銀貨,銅貨と存在しており世界共通の貨幣となっている。



「確認した。問題ない」



袋をリルに渡して再びメリアと話をする。



「それではここにサインをお願いします」



 書類にボールペンで名前を書いていく。

 初めてここを訪れた時は,ボールペンが珍しいらしくとても驚かれたが今ではもう慣れたようだ。



「次の依頼はいかがいたしますか?」

「いや,次の仕事はやめとく」

「かしこまりました。またのお越しをお待ちしております」



 俺はそのまま冒険者ギルドを後にする。

 後行くところは,商人ギルドか・・・・・・面倒事でないことを祈ろう。








 ◆








 冒険者ギルドは嵐が過ぎ去ったことで安堵していた。

 冒険者の中にはその場に座り込む者までいた。


「あいつらが例の傭兵か・・・・・なんなんだあの威圧感は」

「あの男の後ろの2人俺たちが武器に触れた瞬間に殺気を飛ばしてきやがった」

「フォルスドックを奴らが壊滅させたのか?」

「そのようだ」

「まったく居場所が掴めなかったのにどうやって見つけたんだ?」



 冒険者は,ジュンたちのことを警戒していた。

 見慣れない服装。

 馬のいない馬車。

 それに奴らが持っている『魔装』。


 この世界の人間は銃火器というものを知らない。

 その為,銃を圧倒的な力がある『魔装』として認識されているのだ。



「いったい奴らはどこから来たんだ?」

「わからない。これまで何処にいたのかも謎だ」

「酒場で奴らに絡んだごろつきの話知ってるか?」

「あぁ。酒場で8人ほどのごろつきがあの男に絡んできたんだろ?」

「そうだ。そのごろつきは全員半殺しにあったみたいだけどな」

「それもそうだ。奴らがそこらへんのごろつきが相手できる訳がない」



 本人たちは気にしていないがジュン達の威圧感はそれほどまでに大きいのだ。





 ◆





 商人ギルドに着くなりすぐさまギルド長に会うことになった。

 フォルスドックを殲滅した際に人質になっていた人の中にギルド長の娘さんもいたそうだ。

 町で買い物をしているときにフォルスドックに拉致されたのだと聞かされた。

 フォルスドックも商人ギルド長の娘だとわからないで誘拐したようだ。


 その為,今回は俺へのお礼と仕事について話したかったようだ。


 広くて豪華な机とイスが並ぶ部屋に通された。

 商人ギルドをまとめているのは,マルシュ・ホリーという名の男性だ。


 彼は,貴族の血を引いているが若いころから商人としての才能を開花させ40歳という若さで商人ギルド長にまで上り詰めた実力者だ。


「よく来られたジュン殿。今回は娘のエミリアを救ってくれた事にギルド長ではなく一人の親としてお礼を言わせてほしい。ありがとう」


 マルシュは,お礼をいい頭を下げた。

 なかなか好感の持てる性格をしているのは確かだな。

 椅子に座り仕事に切り替える。


「娘さんが無事で何よりです。我々は護衛も行っているので指定依頼を出していただければお守りしますよ?」

「それは心づよい。ぜひお願いします」

「わかりました。下に話を通しておきます。して今日はどのような依頼ですか?」

「それは,まずこれを見てくれ」


 マルシュは,机の上に地図を広げた。

 その辺の店で売っている大まか物ではなく,この世界では正確な方の地図だ。


  

「今回,君達に依頼したいのはここの安全を確保してもらいたい」

「ドリニア街道ですか・・・・・・安全を確保しろというのは首都や隣国への道が危険に曝されていると?」

「その通りだ。最近では魔物や盗賊の動きが活発化が確認されている。その影響が街道にも及び始めた。今月で商人ギルド所属の商人が現在確認されているだけで5回以上襲われている。このままでは市場の物価価格は高騰する」



 確かに最近では魔物や盗賊の活動が頻繁になってきている。その影響を受けて商業都市に着くはずの物資の2割が損害を被った。

 何かが起こる予兆なのだろう。


「わかりました。この仕事引き受けましょう」

「ありがとう。詳細については後日話し合おう」

「わかりました。それでは我々はこれで失礼します」



 椅子から立ち上がり部屋を後にしようとするとマルシュに呼び止められる。 



「すまないが,今夜は我が家に泊まっていかないかね?」 

「ありがとうございます。それではお言葉に甘えさせていただきます」



 マルシュと親睦を深めることは今後,行動していく中で役に立つだろう。

 どちらにとっても悪い話ではない。


 強力な武力を持つ我々と豊富な人脈を持つ商人のよりよいビジネス。


 さてこれからどうなるのか楽しみだ。

















 


 

  




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