『素敵な笑顔には棘がある』
少し短いですがお楽しみください。
冒険者ギルドで今後の対策についての話し合いを終えて急いで駐屯地に引き返す。
急いでいる理由がアルフィー・ベラ・フォレスターが目を覚ましたと連絡があったからだ。現在は指揮所になっているテントにフォレスター嬢を待たせてもらっている。
初めはしっかりとした町の建物に移動をしようとしたがフォレスター嬢がこれを断ったらしい。
テントの前まできて乱れた服装を整えてからテントに入る。
「お待たせして申し訳ありません」
「いえ、気にしてませんわ」
「申し遅れました。お初に目にかかります、私がこの部隊の指揮を執っているジュンと申します」
「もうご存知かと思いますが、改めて名乗らせていただきます。アルフィー・ベラ・フォレスターです。今回は命を助けていただき感謝します」
「いえ、冒険者ギルドからの正式な仕事でしたので。負傷した護衛隊長の騎士の方とは面会されましたか?」
「はい、守り切れなかったことを悔やんでいました。それと、あなた方にとても感謝しておりました。後日、直接お礼お言いたいと」
「わかりました。それでは後日、首都の方に伺います」
フォレスター嬢は、とても晴れやかな笑顔を浮かべる。
日本にいたときの大学の友人ならこの笑顔でコロッと惚れてしまうだろう。
こちらの世界に来てからは、笑顔の裏には何かあるのではないかと常に考えるようになってしまった。
この業界そんなことばかりだ。
仕事のしすぎか?
だが、彼女は確実にこちらの事を探ってきている。
確かに、車輛やこの駐屯地の設備、隊員の装備を見れば少しでも情報を得たいのはわかる。
「それでは本題に移りましょう。先ほど部下から連絡をもらいましたが、私にお話があるということでよろしいでしょうか?」
「はい。ここ最近あなた方の話をよく聞くようになりました。冒険者ギルド長に商人ギルド長が信頼するほどの傭兵。あなた方に一度会ってお話をしてみたかったのです」
「我々はただの傭兵です。確かに冒険者ギルド長、商人ギルド長とは仕事柄親しくしていますが」
「ただの傭兵ですか・・・・・・」
「ええ、ただの傭兵です」
フォレスター嬢と見つめあう。
訂正しよう。見つめあうのではなくガンの付けあいだ。
ガンの付けあいの後、現状の報告と負傷した騎士たちの処遇について話あいがおこなわれた。ひとまず比較的、軽症な騎士はケリサの兵士と共に首都まで向かい。重傷を負っている兵士はこの駐屯地で過ごしてもらうことになった。
明日には弾薬、燃料の補給が本部から移送されてくので本格的に動くのはそれからだ。
◆
ワイバーンに襲われ失うはずだった私の命がこうしてあるのは間違いなく彼らのおかげだろう。
おかしな色の服を着た見たことのない傭兵部隊。
彼らが扱う武器はすべて魔装だと言っていたがこれだけの数の魔装をいったいどこから調達したのだろうか。
それに、ただの傭兵とはどこかが違うしっかりとした規律があるようだ。
現代の傭兵は様々な種類がいるが彼ら存在の中ではさらに異様に見える。
魔物たちの活発化、魔装を武器とする傭兵集団・・・・・・世界が動き出そうとしている。
急いで首都『ルア』に戻りイナンナに相談しなければ。
戦姫の一翼を担う“イナンナ・エア・イシュタル”に。
◆
テントで椅子に座りながらコーヒーを飲む。コーヒーの苦みが程よく眠気を覚ましてくれる。
フォレスター様が首都「ルア」に戻れば俺達のことが彼女に知られるだろう。
戦姫“イナンナ・エア・イシュタル”に・・・・・・そうすれば彼女が全面的に接触してくるようになる。
この世界は俺たちを表舞台に上げに来ている。
世界が大きく変わろうとしている。
PDAが振動し画面を見る。
項目の文章をみてすぐさま無線機に手を伸ばし掴み取る。
「総員に告げる。総員戦闘準備。急いで装備を整えろ」
悪い予感は当たってほしくないのにあたってしまう。
「敵が来るぞ。敵はワイバーンの群れだ——————」
それは、世界の変わり目のほんの始まりに過ぎなかった。
お待たせしてしまい申し訳ありません。
ご意見やご感想があればよろしくお願いします。




