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スプリングナイフの氷河  作者: 神通百力


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第六話 授業④

「私の裸を想像するなんてね。まぁ、いいわ。風呂に入った時にたっぷりと可愛がってあげるから、覚悟しなさい。さて、他にアイデアがある人はいるかしら?」

 たっぷりと可愛がってあげるだって? いったい俺に何をするつもりなんだ? まさか拷問でもするつもりじゃないだろうな? いや、さすがにそれはないか。しかし、明日香ならやりかねない。

「うむ、人形の話はどうだ?」

 次に提案したのは蘭だった。人形で遊ぶ話だろうか? もしくは人形が遊ぶ話だろうか? どちらにしても蘭らしいアイデアだ。

「それはどういう話なのかしら?」

「うむ、とある国に人形だけが暮らす街がある。人形たちはひっそりと暮らしたいと思っているが、世間がそれを許してくれないのだ」

 人形たちは本当にひっそりと暮らしているのだろうか? 樹木の例もある。実は世間にPRしまくっている可能性がある。まあ、蘭ならそんなことはしないか。さすがに続けてPRする話を提案したりしないだろうからな。

「うむ、人形たちがひっそりと暮らせないのには理由がある。それは人形たちの生活に密着するドキュメント番組を作れば視聴率が取れると考えた番組プロデューサーがいたからなのだ。その番組のせいで、街に足を運ぶ者が後を絶たないのだ」

 どうやら人形たちは本当にひっそりと暮らしたいと思っているようだな。しかし、番組プロデューサーか。何か嫌な予感がする。今までのことを考えれば、蘭も俺を登場させる可能性がある。ここでその流れに乗っからないと皆に空気読めよって表情をされかねないからな。

「うむ、ちなみに番組プロデューサーは氷河だ。人形たちを晒し者にするなんて氷河は酷い奴だ」

「やっぱり、その番組プロデューサーは俺か! 嫌な予感が当たってしまった! 蘭まで俺を登場させるなんて! そんなに皆は俺のことが好きなのかよ!」

 だとしたら俺は罪な男だ。女だけでなく、男まで魅了させちまうんだからな。言われなくても俺はちゃんと分かっている。俺のことが好きだから、小説内に登場させていることは分かっているんだ。罪な男で本当にすまない。

『ちっ』

 怒気を含んだ舌打ちが聞こえ、俺は泣きそうになった。嘘でもいいから、『うん』と言ってほしかった。そうでも思わなければ、皆のアイデアを聞いていられない。俺の扱いが雑すぎるから。もしかして俺は皆に嫌われているのか? だから俺の扱いが酷いのか?

「えっと氷河はふんどし男の話と」

 何も言っていないのに、勝手に明日香にアイデアを決められた。ってかふんどし男って俺のことじゃないのか? 明日香にふんどしにさせられたことがあるし、恐らくふんどし男は俺だろうな。まあ、目の痛みでアイデアを考えられなかったから、決めてくれたのは正直ありがたいところではある。

「さて最後は私ね。私のアイデアはある男女が人形で遊ぶ話よ。男の名は氷河、そして女の名は蘭よ」

「それって俺と蘭が人形で遊んだ時のことを言っているよな?」

「うむ、それはアイデアというより実話じゃないのか?」

 まさか実話をアイデアにするとは思ってもみなかった。俺だけではなく、蘭も被害に遭っているじゃないか。俺だけを登場させるルールじゃなかったのか? 巻き込まれた蘭が可哀想だ。

「あら実話はダメなんて言ってないわよ。それよりも誰のアイデアを採用する? え? 私のアイデアが一番良いですって? 奇遇ね、私もそう思っていたところよ」

『そんなこと一言も言ってな――』

闇の触手(ダークネステンタクル)

 突如、明日香の背後から闇が出現し、触手へと形成された。闇の触手は俺たちをぐるぐる巻きにした。まったく身動きが取れない。その間に明日香は原稿用紙に小説を書き始める。明日香は端から俺たちのアイデアを採用する気なんてなかったんだ。最初から自分のアイデアを採用するつもりだった。まあ、俺はアイデアを出していないから、皆に比べたらショックは少ない。しかし、皆はアイデアを出したのに採用されなかった。

 明日香はもう書き終わったらしく、飛炎先生に提出しに行った。他の班も書き終わったらしく、飛炎先生に提出していた。

「書いてもらった小説は冊子にして配るから、楽しみにしていろ」

 明日香が何を書いたのかは分かっているから楽しみではないが、他の班が何を書いたかは気になる。早く冊子を読んでみたいな。

感想頂けると幸いです。

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