第五話 薄弱に試着させちゃおう部⑤
「菫さん、蘭さん。薄弱君の恥ずかしい姿を見てあげてね」
菫たちは怪訝な表情を浮かべた。菫たちの表情を確認し、輪廻はすぐに薄弱のスカートを捲った。
「捲らないでくれ!」
薄弱は顔を真っ赤にして叫んだが、すでに純白の下着は露わになっていた。
「うむ、純白だと?」
「女物? 似合いすぎてて可愛い」
菫たちは一瞬呆気にとられたものの、すぐに頬を緩ませた。輪廻はその隙をついて、死の槍を放った。
「赤色の花による破壊」
すぐに反応した菫の目の前に赤色の花が出現し、輪を作った。その中心に高密度のエネルギーが発生し、赤色の光線となって放たれた。死の槍を消滅させながら、凄まじい勢いでこちらに向かってくる。
「死の壁」
輪廻は慌てて薄弱の前に立ち、手から霧に酷似した物質(死の現象)を出現させ、巨大な壁を形成する。
赤色の花による破壊はゴゴゴ、と轟音を響かせながら、死の壁に衝突した。
輪廻はその衝撃に耐えきれず、後退してしまう。だが、背中に何かの感触を感じると同時に動きも止まる。輪廻は背後を伺う。地面には死の槍が突き刺さっており、輪廻の体を支えていた。それは薄弱に渡していたものだった。
「ナイスフォローよ、薄弱君」
死の壁にヒビが入った瞬間、輪廻は新たな壁を形成した。しかし、ものの数秒でヒビが入ってしまう。輪廻はヒビが入ると同時に新たな壁を形成し続け、なんとか赤色の花による破壊を防いだ。
「人形の衝撃」
だが、死の壁を解除した瞬間、輪廻はいつの間にか迫ってきていた蘭の右腕を喰らってしまう。
「ぐわぁ!」
身体に衝撃が走り、輪廻は目が眩み、地面に倒れ込んだ。蘭はすかさず輪廻に馬乗りになり、さらに攻撃をしようとしたが、薄弱に蹴り飛ばされてしまう。
「大丈夫か、輪廻先輩」
「ありがとう、助かったわ」
薄弱は手を差し伸べた。輪廻はその手を掴み、立ち上がった。まだ衝撃が抜けきっておらず、足元がふらついていた。
「人形」
蘭の周りに無数の人形が出現した。正確な数は分からないが、確実に二十体以上は出現している。
「……数が多いな」
「私に任せてちょうだい。一瞬で片付けるわ」
輪廻は霧に酷似した物質(死の現象)を糸状に形成し、すべての人形の身体にしっかりと巻き付けた。
「食い込め、死の糸」
死の糸が人形の身体に食い込んでいく。ギチリと音を立てて人形はバラバラになった。バラバラに切断された人形の身体は地面に落ちて消滅した。
「やるね、輪廻先輩。でもこの勝負は私たちの勝ちだよ」
菫がニヤリとした瞬間、ゴゴゴ、と轟音がした。その直後、輪廻と薄弱の身体に耐えがたい衝撃が走った。二人は何が起きたのか理解できないまま、身体が吹き飛んだ。
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