第四話 遊園地①
私はカーテンの隙間から僅かに差し込んだ陽の光で目が覚めた。ベッドから身体を起こすと、窓に手を伸ばしてカーテンを開けた。瞬く間に陽の光が差し込んでくる。
「…………」
私は無言でそっとカーテンを閉じた。思ったよりも眩しかった。カーテンは閉じたままにしておこう。
ベッドに満遍なく敷いた学園長のパンツを思う存分に眺めてから、私は一階へと降りた。
☆☆
「あ、お姉ちゃん。おはよう」
「おはよう、菫」
私は椅子を引いて、菫の隣に座った。
「おはようあーちゃん」
「おはよう、女琉さん」
女琉さんはキッチンからリビングにやってくると、朝食を机に並べた。
「隠し味にあたしの愛情がたっぷり詰まった朝食だよ」
「愛情に味はないので、隠し味になりません。愛情がこもっていない料理と味は変わりません。愛情なんて込めるだけ無駄ですよ」
「だよね。言ってみただけだよあーちゃん」
女琉さんは笑う。それから女琉さんは私の正面に座った。
『いただきます』
私たちは手を合わせてから、朝食を食べ始めた。
女琉さんの作ってくれた朝食をゆっくりと味わう。今日は土曜日で学校はない。何をして過ごそうか。
『ごちそうさま』
女琉さんは自分と私たちの皿をキッチンに持っていく。キッチンから水の流れる音が聞こえてくる。
「暇だね。お姉ちゃん。何をして過ごす?」
菫は机に突っ伏し、腕をだらりと下げる。
私は手を伸ばして、菫の頭を撫でた。
「そうね。……どこかに遊びに行く?」
「いいね。遊びに行こう!」
菫は身体を起こして、こちらを見る。
「菫はどこへ遊びに行きたい?」
「う~ん、私は遊園地がいいな」
「いいわね。遊園地に行こっか」
「うん!」
嬉しそうに菫は頷く。
「何の話をしてるの? あーちゃん、すーちゃん?」
リビングに戻ってきた女琉さんが聞いてくる。
「今から遊園地に遊びに行こうという話です。女琉さんも一緒に行きませんか?」
私は女琉さんを誘ってみる。
「うん、行く! 着替えてくるから待っててね。あーちゃん、すーちゃん」
女琉さんはそう言うと、リビングの扉を開けて出て行った。階段を駆け上がる音が聞こえてくる。
「私たちも着替えようか」
私と菫も着替えるために自分の部屋に行った。ラフな格好に着替えると、急いでリビングに戻った。菫と女琉さんはもうリビングに来ていた。
「では、行きましょうか」
私たちは家を出た。
☆☆
遊園地の前に到着した。入場料を支払い、園内に足を踏み入れる。
休日だからか、園内には大勢の人がいた。家族連れやら、いちゃいちゃしているカップルなどが楽しそうに園内をうろうろしていた。
「お姉ちゃん、女琉さん。どれから行く?」
菫がウキウキした様子で聞いてくる。どれに乗ろうか。別にどれでもいいのだけれど。
「ねえ。ジェットコースターに乗ろうよあーちゃん、すーちゃん」
女琉さんはぎゃーぎゃーと喚く男女を乗せて、絶賛稼動中のジェットコースターを指差した。
「初っ端から、ジェットコースターはないでしょう。あとで乗るべきね」
私は女琉さんの提案を即切り捨てる。
「だよねぇ、初っ端からはないよね。ジェットコースターといえば遊園地の花形! それに最初から乗るのは私もどうかと思う」
菫も私同様に女琉さんの提案を切り捨てた。
「それもそうだね。ここは無難にマジックハウスにしようか」
女琉さんは頷き、即座に次の提案をする。
「一番初めに行くところとしては、悪くないチョイスね。マジックハウスに行きましょう」
私はマジックハウスがある場所へと歩を進める。菫と女琉さんは両隣に並んで付いてきた。
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