表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/36

第一話 水刃氷河VS魔道蘭①

 俺は窓から差し込む陽射しで目が覚めた。ベッドから降りると、クローゼットを開け、制服に着替えた。

 俺が通う青銅学園は能力システムを採用した学校だった。能力システムとは人物のあらゆる情報を読み取り、その人物に相応しい能力を与えるシステムである。

 階段を駆け下りてリビングに行くと、兄さんがテーブルに朝食を並べているところだった。

「おはよう、氷河ひょうが

 兄さんは俺に気付くと、笑顔で挨拶してきた。

「おはよう、兄さん」

 俺も笑顔で挨拶を返した。兄さんの名は水刃嵐河すいじんらんが。八年前に青銅学園に通っていた元生徒で、黒髪のウルフヘアに爽やかな顔立ちだった。黒髪の短髪で目付きが鋭い俺とは大違いだ。

 兄さんは当時、『旋風の嵐河』の通り名を持ち、かなり強かったようだ。能力は『嵐銃ストームショット』。両手の指先に小さな球状の嵐を形成し、銃弾の如く撃つ能力だ。

 俺は手早く朝食を食べ終えて兄さんと駄弁った後、玄関に向かった。

「それじゃ、兄さん行ってくるよ」

「ああ、いってらっしゃい」

 俺は玄関を出ると、蟹走りで学校へと向かった。近隣の人に変質者を見るような視線で見られた。オォ~ナゼソンナシセンデ、オレヲミルンデスカ。オレ、ヘンシツシャジャナイデス。マトモデスヨ。……こんな喋り方する時点で、まともではないか。まぁ、いっか。遊んでないで、さっさと行くか。うん、行くっきゃないぜ。さて能力を使って行くか。

水の(スプリング)放射ブースト!」

 俺はかかと周辺から水の渦を噴出させた。ブゥーンとハエが飛ぶ時のような音がした。俺の能力は『水刃スプリングナイフ』。水で形作った無数の刃を操る能力だ。水の(スプリング)放射ブーストは『水刃スプリングナイフ』の技の一つだ。

「風が当たって気持ちいいな」

「ちょっと、待ちなさい。そこの少年。服がずぶ濡れになったじゃない、どうしてくれんのよ!!」

「……いや~、本当気持ちいいな。はは」

「ははっじゃないわよ!! 待ちなさい。こら~!!」

 うおっ! 追いかけてきやがった。だが、俺のスピードについてこれるかな。何せ水の(スプリング)放射ブーストは加速する技だ。そう簡単には追いつかれまい。

「ククッ、ついてこれるものなら、ついてきな!」

 俺はそう息巻いたが、ほんの数秒ほどで追いつかれてしまった。数秒前にイキった自分が恥ずかしかった。

「ふぅ~、ようやく追いついたわ。覚悟しなさい」

「っぐ。馬鹿な追いつかれるだと!」

「そんなに驚くようなこと?」

「周辺に小さな竜巻が発生するほどの速さだぞ。それに、ついてこれるとはお前は何者だ?」

「ん? 私は青銅学園の三年生で図書委員長の死殺輪廻しさつりんねよ」

「なんだって!」

 なるほど、そりゃ追いつけるわな。圧倒的な実力を持つ者にしか与えられない役職の委員長ならな。

「ちなみに能力は『デス』。死という現象を様々な物に形成する能力よ」

「形成?」

「実際に見せてあげるわ。今から見せるのはさっき君にやった技なんだけど、死の(デス)ワイヤーという技よ。それじゃ、いくわよ。死の(デス)ワイヤー!」

 突如、輪廻先輩の手から、霧と酷似した物質(死の現象)が現れ、糸状に形成された。

「これを君の腕に巻きつけたのよ。縮め、死の(デス)ワイヤーと叫べば縮まっていき、追いつけるってわけ」

「ほほぅ、納得。そういや、まだ名前を言ってなかったな。俺の名は水刃氷河だ」

「氷河君か。いい名前ね。これも何かの縁、仲良くしてあげてもいいわよ」

 上から目線だと!? 先輩面しやがって! 別にいいけど。

「仲良くしてもらおうか。輪廻先輩」

「えぇ。私は、これで失礼させてもらうわ。じゃあね氷河君」

「じゃあな、輪廻先輩」

 俺は輪廻先輩に手を振った後、校門を通った。二学年になって今日で一週間だった。

 ……ん? あの後姿は、

「おはようございます。飛炎ひえん先生」

「ん? 氷河か。おはよう」

 飛炎先生のフルネームは岩流がんりゅう飛炎だ。飛炎先生の能力は『火炎爆弾ファイアボム』。火を操りすべてを燃やし尽くす能力であり、クラスの担任で青銅学園最強の男だ。

「それじゃ飛炎先生、これで失礼します」

「おう、あとでな」

 飛炎先生と別れ、忍者のように颯爽とかっこよく校舎に入り、教室を目指した。フッ。

感想頂けると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ