ホワイトマジシャンは規格外 【 Ifストーリー 】第153話 あり得た未来(過去)
この話は、パーティーから裏切られたホワイトマジシャンは規格外の本編、
第153話 再びパーティ崩壊 〜奪われた未来〜
この話の半分より下あたり、47階へ到達したところからの分岐になります。
塔の48階は、2026年5月現在、本編ではまだしばらく出てこないので、ネタバレにならないよう、ぼかして書いています。
タイトルは、153話から見た場合、「あり得た未来」
現在の26年5月の168話から見た場合、「あり得た過去」
という所からつけています。
では、どうぞお楽しみください。
東の塔47階。
「今度こそ、この階は‥‥‥」
ルナは拳を握る。
「私たちの出番だもん!!」
だが‥‥‥
全員がサーチ魔法を展開した瞬間、空気が変わる。
「このフロア」
フィリーネが眉を寄せる。
「中央から48階に上がる階段付近まで、反応がぼんやりしているわね」
「でもでも」
ルナは前向きに言う。
「真ん中まではモンスターもいないし、楽勝じゃない?」
「うん」
runaも頷く。
「ぼんやり見えるのも、そんなに強くなさそうだよ」
「それでも、罠がある可能性は捨てきれないよ」
シオンが静かに制し、一行は慎重に歩き出した。
サーチ魔法が通用しない、曖昧な領域の手前までたどり着くと、やる気満々の2人にフィリーネが釘を刺す。
「あなたたち、攻撃したくてウズウズしてるのは分かるわ。でも、未知の階層だからこそ慎重に行くわよ」
ルナとrunaは声を合わせて首を振る。
「「やだもん!!」」
フィリーネは肩を落として、小さく呟く。
「はぁ‥‥‥。子どもを相手にしてるみたいだわ」
シオンは少し考え込むと、悪戯っぽく微笑んで2人に提案した。
「慎重に行って無事にクリアできたら今晩、お兄ちゃんが食べ放題おごってくれるって!」
ジャンは驚きの声を上げる。
「はぁ!? ちょっと待て、シオン!」
だが、もう遅い。
ルナの目が一気に輝いた。
「え? ほんとっ!? やったぁ! うん、私、慎重に行くよーーっ!」
runaも目を輝かせて身を乗り出す。
「じゃあ、私は甘いもの食べ放題ね!」
シオンは笑顔で頷く。
「うん、じゃあそれで決定!」
ルナとrunaは再びぴったり声を揃える。
「「やったー!!」」
跳ねて喜ぶルナの笑顔を見て、ジャンは複雑な顔のまま、結局何も言えなくなってしまった。
フィリーネは呆れ半分、微笑半分で呟いた。
「はぁ、やっぱり子どもね」
そんなやり取りをしていた、その時だった。
角の向こうから、何かがこちらへ向かって曲がってくる。
床に伸びる影が、不自然に揺れた。
「来るよ!」
ルナが鋭く声を張り上げ、全員が即座に構える。
角から姿を現したモンスターを見て、フィリーネが目を見開いた。
「あれは!? ブラッド・クラウンよ」
ブラッド・クラウンは5人を視認した瞬間、一直線に突進してくる。
同時に、フィリーネの詠唱が塔内へ響いた。
「マナ・ケージ!」
シオンが叫ぶ。
「今だよ!!」
ルナとrunaは同時に詠唱した。
「「エクスプロージョン!!」」
同時に声が重なる。
轟音と共に、凄まじい爆炎が通路を飲み込む。
衝撃が吹き荒れるが、マナ・ケージが5人を守り切った。
そして。
「ルナ!」
runaがルナの手を掴み、ぶんぶんと上下に振り回す。
「やったよ!! 今の、完璧!! タイミングばっちり!!」
「ほんとだね!」
ルナもされるがまま、笑顔で応える。
「その調子だよ!!」
ジャン、フィリーネ、シオンは、そんな2人をどこか温かい目で見ていた。
しばらくして、ジャンが小さく笑いながら声をかける。
「この調子で、この階も攻略するぞ」
ルナとrunaは今日一番の元気な声で応えた。
「「うん!」」
その後の2人は、まるで46階で活躍できなかった鬱憤を晴らすかのようだった。
ブラッド・クラウンが現れるたび、息の合った同時詠唱で次々と吹き飛ばしていく。
そして魔法のタイミングがぴたりと重なるたびに、2人は顔を見合わせて声を上げて笑い合っていた。
こうして5人は、危なげなく47階を突破した。
48階に到達した一行は、安全地帯の先を見た瞬間、言葉を失った。
ジャンが呆然と呟く。
「どうやって‥‥‥、進むんだよ、これ」
ルナも乾いた笑いを漏らした。
「さすがにムリだよ」
シオンもフィリーネも、険しい表情のまま黙り込んでいる。
そんな中。
runaだけが、しばらくきょとんとしていたかと思うと、突然ぱあっと目を輝かせた。
「簡単だよーっ!」
ジャン、ルナ、フィリーネ、シオンが、一斉にrunaを見る。
runaは満面の笑みで言った。
「こんな時はねーっ」
なぜか全員、続きを待ってしまう。
runaはニヤッと笑った。
「甘いもの食べ放題!!」
全員の目が点になった。
「はあぁっ?」
ジャンが思わず声を漏らす。
runaは楽しそうに続けた。
「だって、この状況さぁ。今日中の攻略ムリだよ? っていうか、このまま突っ込んだら下手すると全滅だもん!」
そして、隣のルナへ向き直る。
「だからねー、まず甘いもの食べ放題、行ってからのぉー、夜は夕食の食べ放題! これが一番いいと思うんだー!どう?」
ルナの目が一瞬で輝いた。
「うんっ!! それ最高だよーっ!!」
フィリーネは思わず吹き出す。
「ぷっ‥‥‥ふふふっ、全く、runaらしい発想ね」
ジャンは即座に突っ込んだ。
「いやフィリーネ、笑い事じゃないだろ! 昼食から、まだそんなに時間経ってないんだぞ!?」
runaはなぜか胸を張る。
「だからこそ、最初は甘いものなんだよ」
シオンまでもジャンの肩を叩いて同調する。
「私は食べる量控えてあげるからさっ」
「そういう問題じゃないだろ‥‥‥」
ジャンは頭を抱える。
一方、フィリーネは再び48階の先を見つめ、冷静に分析する。
「でも、そうね‥‥‥」
そう言って、ふっと微笑んだ。
「一度退いて、お茶でもしながら明日以降の作戦を練るのが賢明かもしれないわね」
ジャンはがっくり肩を落とす。
「はぁ‥‥‥フィリーネまで‥‥‥」
こうして5人は塔を出ると、そのまま甘いものを食べに向かった。
だが、夕食前の時点で、ジャンの財布はすでに空っぽになっていた。
「これじゃあ、夕食は‥‥‥」
ジャンが力なく呟く。
すると、ルナがその言葉を遮るように胸を張った。
「夕食分は、私が全員分出すよー!」
そして夕方。
ルナは満面の笑みで宣言する。
「さぁ、夕食食べ放題っ!!」
runaはげんなりした顔で椅子にもたれかかった。
「うぅ。あれだけ食べたのに、まだ食べられるなんて‥‥‥」
ルナは誇らしげに胸を張る。
「夕食のために、かなり抑えたからねー」
シオンが顔を青くする。
「ルナお姉ちゃん、あれで抑えてたの!? 信じられない‥‥‥」
フィリーネも深いため息をついた。
「時々、本気で見てみたくなるわね‥‥‥ルナの胃袋」
その後、上機嫌なルナはエヴァンたちも呼び出し、夕食会が始まった。
結局、夕食会に合流したエヴァンたちを前に、ジャン、runa、フィリーネ、シオンの4人はほとんど食事に手を付けられず、ひたすらルナの驚異的な食べっぷりを眺めるだけの『食傷気味な観客』と化していた。
「昼間に甘いものをたらふく食べた」という経緯を聞いたエヴァンたちも、さすがに目を丸くしていた。
そんな中、1人だけ内心でガッツポーズを決めている男がいた。
(勝った!)
エレオスは心の中で叫ぶ。
(今日はrunaもシオンも食べ過ぎで動けねぇ! つまり、焼かれる心配なし! 平和に飯が食える日ってことじゃん!!)
普段なら、軽口を叩けば即座に炎や氷が飛んでくる。
だが今日は違う。
runaもシオンも、すでに満腹でぐったりしている。
エレオスは幸福を噛み締めながら、ゆっくりと肉を頬張った。
「はぁー、平和って最高!!」
その幸せそうな顔を見たrunaが、じーっと目を細める。
「ねえ、シオン」
runaが小声で耳打ちすると、シオンの口元がニヤリと歪んだ。
かすかに聞こえてきた2人の物騒な会話に、リディアは思わず肩をすくめた。
「うわぁ‥‥‥」
食事が終わり、ルナが満足そうに椅子へもたれた。
「ふぅーっ! お腹いっぱいだよー!」
「まだ入る気がしてるの、私だけかしら?」
フィリーネが呟く。
ルナはお腹をさすりながら、得意げに答えた。
「頑張れば、あとちょっと食べれるよ!」
全員が絶句する。
しばらくすると、シオンがすっと立ち上がった。
「お先にー」
ひらひらと手を振り、そのまま店を出ていく。
ジャンが首をかしげた。
「あいつ、どうしたんだ?」
「さぁ?」
ルナも不思議そうに首を傾げる。
フィリーネも小さく目を細めるが、特に何も言わない。
すると今度は、runaがにやにやしながらエレオスへ身を乗り出した。
「ねえねえ! これから『2人きりで』広場、行こうよ!」
わざと強調された「2人きり」という言葉に、エレオスの顔が一瞬で輝く。
それを聞いていたリディアが、すぐに口を挟んだ。
「あのさ、エレオス」
だがエレオスは、最後まで聞かなかった。
「ははーん?」
得意げに髪をかき上げる。
「リディア、ヤキモチか? 君も少しは大人になりたまえ。運命の女神は僕を選んだのさ!」
「はぁ」
リディアはため息を吐くと肩を落とした。
「知らない。好きにしろ」
その横で、runaの目が怪しくキラリと光る。
だが舞い上がっているエレオスは、まったく気づかない。
それに全く気づかず
「ついに僕にも春が来たぁぁ!」
と独り言を漏らして鼻の下を伸ばすエレオスを、ジャンとルナは、まるで処刑台へ向かう者を見送るような哀れみの目で見つめていた。
「エレオス‥‥‥」
ジャンがぽつり。
「哀れだねぇ」
ルナもしみじみ頷く。
エヴァンは完全に無関心を装う。
ソフィアは「止めても無駄です」と言いたげに視線を逸らし、 フィリーネは静かにティーカップを口元へ運ぶ。
「じゃあ、行こっか♪」
runaは満面の笑みでエレオスの腕を引っ張った。
「お、おう!」
有頂天のエレオスは、そのまま嬉しそうについて行く。
誰1人、止めなかった。
店を出ていく2人を、残された面々は無言で見送る。
完全に姿が見えなくなってから、リディアがぽつりと呟いた。
「あいつ、runaに呼び出される意味、まだ学ばないのかね?」
広場には、すでにシオンが待っていた。
そしてその夜‥‥‥。
「ぎゃああああああああああっ!!」
「待っ、ちょっ、熱っ!? 痛っ!?」
「ごめんごめん、手元狂ったー!」
「狂ってないよね!? 絶対わざとだよねぇぇぇ!?」
「そっちに逃げると思ってたよー」
「ばっ! マジで死ぬって!!ぎゃあーーーっ」
ここでエレオスは、ようやく悟った。
(runaや、シオンに『2人きりで』と誘われた時は、絶対に断るべきだ)
と‥‥‥。
こうして、男性の悲鳴と、2人のきゃっきゃとはしゃぐ声が、夜遅くまでヒルダロアの街に響いていたとか。
深夜。
フィリーネが部屋の灯りを落とそうとしていた頃、部屋のドアが控えめにノックされた。
扉を開けると、そこには満面の笑顔を浮かべたrunaが立っていた。
「あー、スッキリしたよーっ!」
フィリーネは呆れたようにため息をつく。
「こんな時間まで、エレオスを追いかけ回していたの?」
「うん! だって、あいつ最近かわしたり迎撃したりするのが、すっごく上手くなってるんだもん! 狙い甲斐があるんだよっ!」
嬉しそうに語るハイテンションなrunaを、フィリーネは苦笑しながら部屋の中へと促した。
椅子へ腰掛けるなり、 「それでね!」 と語り始める。
エレオスが火球を紙一重で避けたこと。
調子に乗って挑発してきたこと。
そこへシオンがアイスアローを放ったこと。
最後は2人がかりで広場の噴水へ叩き込んだこと。
runaは身振り手振りを交えて楽しそうに笑っていた。
だが、話し終えてふっと静寂が訪れると、runaの顔からスッと色が消え、表情が曇り始める。
それを見届けてから、フィリーネは静かに口を開いた。
「ジャンのことね」
runaが弾かれたように目を見開く。
「昼間、フィリーネがここに来るように言ったとき、もう気づいてたんだよね?」
フィリーネは否定せず、深く頷いた。
「ええ。最近、ジャンを見つめるあなたの目、普通じゃなかったもの。いつからなの?」
「カイラスたちを罠から救った、あの日」
runaは消え入りそうな声で答え、少し震えながら続けた。
「時々、1人になるとね、ゾッとするような想いが湧いてくることがあるんだよ。ルナがいなくなればいいのにって‥‥‥」
部屋の空気が静まり返る。
「もし、本当にルナがいなくなったとして」
フィリーネの静かな問いに、runaの肩がビクッと跳ねた。
「ジャンは、あなたを見るかしら?」
runaは力なく俯き、長い沈黙のあと、辛そうに首を振った。
「ううん。私を見るんじゃない」
そして、自嘲するように小さく笑った。
「私を通して、ルナを探すと思う。私は、ルナの代わり」
「おそらく、そうね」
残酷なまでのフィリーネの肯定。
runaは顔を上げ、すがるように言葉を継いだ。
「だから‥‥‥だからね、変なこと考えないように、気を紛らわせるためにエレオスを追いかけてるんだ。特訓だよ、特訓! あいつ、もっと強くなるはずだもん」
フィリーネは静かに問う。
「エレオスに気があるの?」
「まさか!?」
runaは即座に首を振った。
「あいつには、リディアがいるもん」
その返答を聞いたフィリーネは、runaの瞳を真っ直ぐ見つめる。
優しく、けれど、逃がさない目だった。
「それを言うなら‥‥‥ジャンには、ルナがいるのよ?」
その言葉に、runaの唇が小さく震える。
一番突かれたくなかった部分だった。
runaの瞳に、じわりと熱が滲む。
「分かってるよ‥‥‥分かってる。ルナはいい子だもん」
runaは俯きながら続けた。
「私のオリジナルで‥‥‥私が大事にしたい人で‥‥‥ジャンの特別だもん」
ぎゅっと、自分の腕を抱き締める。
「壊したくないよ、そんなの‥‥‥っ」
runaは膝を抱えて丸くなった。
昼間に『食べ放題!』と、はしゃいでいた少女と同じとは思えないほど、その背中は弱々しい。
「ねえ、フィリーネ」
runaは顔を伏せたまま、絞り出すように続ける。
「私、どうすればいいの? このままじゃ、いつかルナも‥‥‥自分も、嫌いになっちゃいそうだよ」
フィリーネは椅子から立ち上がり、床に座り込むrunaの隣に腰を下ろした。
そして、その細い肩をそっと抱き寄せる。
「いい? runa。鏡を見て、映っている自分を『偽物』だと思わないことよ」
runaの肩が、ぴくりと揺れた。
「あなたはルナの影じゃないわ」
フィリーネは、はっきりと言い切る。
「!!」
runaの瞳が揺れた。
フィリーネは優しく続ける。
「その想いが苦しいのは、あなたがルナを大切に想ってるから。
自分の中の毒を、自分でちゃんと恐れている。
それは、あなたが誠実だって証拠よ」
フィリーネはrunaの頭を優しく撫でる。
「焦らなくていいわ。誰かを好きになること自体は、止められるものじゃないもの」
runaの目から、ぽろりと涙がこぼれる。
フィリーネは慈しむような目でrunaを見つめながら、話し続けた。
「今はただ、エレオスを追いかけ回して、シオンと笑って、美味しいものを食べて、そうやって心を、少しずつ逃がしてあげなさい」
そして、少しだけ柔らかな声になる。
「私も、いつでも話を聞いてあげるから」
runaは堪えきれなくなったように、フィリーネの胸へ顔を埋めた。
「うぅ‥‥‥、ひっく‥‥‥ぅぅ‥‥‥フィリーネ!」
フィリーネは何も言わず、ただ優しく頭を撫で続けた。
しばらくしてから、静かに告げる。
「あなたは、まだ大丈夫よ」
runaは顔を埋めたまま小さく聞いた。
「大丈夫、なのかな」
フィリーネは迷いなく頷く。
「ええ、本当に危ない人間は、誰にも相談せずに、ひとりで抱え込むものよ」
やがて、runaは鼻をすすりながら顔を上げる。
「ありがと、フィリーネ」
「あら、もういいの?」
フィリーネはからかうように笑った。
「うん。でもね」
お腹を押さえる。
「ちょっとだけ、お腹空いちゃった」
ペロッと舌を出すrunaにフィリーネは思わず吹き出す。
「ふふっ、さすがね」
そして、悪戯っぽく口元を緩める。
「明日の朝食はジャンの奢りにさせましょうか。今日の埋め合わせとしてね」
runaは少しだけ、いつもの悪戯っぽい笑顔を取り戻した。
「賛成! ジャン、絶対に『埋め合わせって何だよ!?』って言うよ」
フィリーネも笑う。
「ふふふっ。そうね」
部屋を出ていくrunaの足取りは、先ほどよりも少しだけ軽くなっていた。
フィリーネは窓の外、静まり返ったヒルダロアの夜景を見つめながら、独りごちた。
「全く‥‥‥。このパーティの恋模様は前途多難ね」
その声は、どこか優しく、楽しげに夜風へ溶けていった。
翌朝。
宿の食堂へ下りてきたジャンとルナ。
テーブルいっぱいに並べられた朝食を見て、ジャンが固まった。
「なんだこれ!?」
焼きたてのパン。
山盛りのサラダ。
湯気の立つスープ。
卵料理に、肉料理。
さらに食後用なのか、甘そうなデザートまで並んでいる。
ルナが目を輝かせる。
「わぁー! 豪華!!」
runaはニヤニヤしながらパンをかじる。
「ジャンのおごりだよー」
「は?」
ジャンの間抜けな声に、フィリーネが紅茶を口元へ運びながら微笑む。
「昨日の埋め合わせよ」
ジャンは驚く。
「埋め合わせって何だよ!?」
予想通りの返答。
runaが吹き出した。
「あはははっ、ほらやっぱり!」
フィリーネも肩を揺らして笑う。
「ふふふっ、言うと思ったわ」
自分だけ置いていかれている気がしたルナが慌てて身を乗り出した。
「え!? ジャン、2人に何したの!?」
「いや、オレは何もしてないぞ!?」
困惑するジャンに、ルナはむっと頬を膨らませる。
「2人に何したか忘れるなんて、最低だよー!」
ジャンは頭を抱える。
「いや、だから何もしてないって!」
シオンが静かにスープを飲みながら呟く。
「お兄ちゃん、最低」
「だーかーらー!!」
ジャンの、その一言にrunaとフィリーネは顔を見合わせ、小さく笑った。
本当は。
こんな日々が、続くはずだった‥‥‥。
ジャン「今回も最後まで読んでくれて、本当にありがとう。読者がいるからこそ、ここまでこれたんだ」
ルナ「100万文字達成記念の短編、どうだった!? 楽しんでもらえたかな!?」
runa「私は楽しかったよー! みんなでわちゃわちゃ出来たし♪」
フィリーネ「本編とは少し違う空気で、新鮮だったわね」
シオン「お兄ちゃんも、ちょっと穏やかな顔してた気がするよ」
ジャン「そうか?」
ルナ「してたよ! だって私もいたもん!」
runa「あー、それ大きいかも♪」
ジャン「お前らなー」
フィリーネ「ふふっ。でも、ああいう時間も大切だと思うわ」
ルナ「でしょでしょ!? だから本編も、もっとこういう感じにしようよ!」
ジャン「そう簡単にはいかないだろ」
ルナ「えーっ! だって本編、まだ私出てきてないし! つまんない!」
シオン「ルナお姉ちゃん、あとがきには出てるでしょ?」
ルナ「やだもん!」
フィリーネ「気持ちは分かるけれど、今は大事な流れの途中なのよ」
runa「ルナの出番も、ちゃんと来ると思うよー?」
ルナ「ほんとにー? 最近みんな、そう言ってごまかすんだもん!」
ジャン「ごまかしてるわけじゃない」
ルナ「じゃあ次回、私出る!?」
ジャン「それは言えないな」
ルナ「ほらーっ!!」
シオン「お兄ちゃん、今のは怪しかったよ」
フィリーネ「ふふ、ルナ。もう少しだけ待っていてちょうだい」
ルナ「むぅー」
runa「じゃあ締めるよー、みんな合わせてね、せーの」
全員「では、次回は本編を楽しんでー」
ルナ「うぅー! 次こそ絶対、本編で出るからねーっ!!」




