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SS2  初めてのお出かけデートの約束

初めてのお出かけデートを約束した日のお話。

高校1年生の時間軸です。


付き合ってから初めて、誠治朗とデートをすることになった。

そうしようと思ったのは、理由がある。



いつも家で料理して、飯食べて…。

俺はいいけど、多分あいつは、そういう…恋人らしいことに憧れている気がする。


あいつのクラスの前を通ったとき、

ちょうど、誠治朗が話しているのが聞こえた。


「んー、デートかぁ…家でも十分だけどな」


思わず、足を止めた。

壁際によって、少し耳をそばだてる。


「でも、彼女たまには外行きたいって言わねーの?」

「むこうがあんまり外行くの得意じゃないんだよ」

「んじゃ、それ抜きにして、尾浜は?」

「俺?」

「たまにはデートで行きたいとことかねーの?」

「んー、水族館とか、遊園地とか、ベタなとこもいいけど…しいて言うなら食べ歩きとか」

「あー、好きそう」

「尾浜なんでも美味そうに食べるからな」

「いいじゃん、誘ってみたら?」

「んー、まあそのうちな」


そこまで聞いて、その場を離れた。

…デート。いつもなんだかんだ家で一緒にいるのが心地よくて、あいつのことはあんまり考えてなかった。

確かに、家ばっかりじゃ、せっかく付き合ってるのにつまんないよな…。


食べ歩きか…。

それを言い出さないのは、俺のことを考えてのことだろう。

外食は、苦痛以外の何物でもない。

別に、俺が食べているところをじっと見てくる人なんていないと思うけど、あのガヤガヤとした空気の中で、食べていると意識するともう…気持ち悪い。


でも、あいつがいるなら…。

もしかしたら、平気なんじゃないか。

家で初めて一緒にカレーを食べた日。

きっかけはあいつだった。

あいつがいるなら、食べられるような気がした。


食べ歩きなら…。

一箇所に留まらないで、例えばテイクアウトとか。

それなら、俺が必ず食べなくても、あいつが好きなもの食べられる。

もし、人混みが無理になったら、その場を離れればいい。


そうか…それなら…。


その昼休み


「え?デート?」

「ああ、いつも家に来てばっかりだし。たまには…どう?」

「ど、どしたの浅緋。熱ある?」

「…人がせっかく提案してるのに…」

「あ、ごめんごめん。別に家でも楽しいよ?」

「…たまには、外でお前と一緒に過ごしてみたい」


もごもごと口ごもってしまう。

ふと誠治朗をみると、なんだか嬉しそうにしている。


「うん、じゃあそうしよう!待ち合わせして、どっか出かけよう」

「…そう、する」

「どうしようか。あ、映画とかにする?今何やってんだろ」


隣で、上映している映画を調べ始めた。


ああ、映画なら。

周りも暗くなるし、なにより、視線は必ずスクリーンに向く。

外食は行けなくても、遠出ができなくても、たまには家族で出かけようと、何度か映画館に連れて行ってもらった事がある。

映画をみて、まっすぐ家へ帰る。

そんな家族での外出の記憶だ。


「映画、いいな」

「だろ?浅緋どれみたい?俺はこれ気になるな…」


スマホの画面をみて、うきうきとしている。

楽しみにしてくれるんだ。


「ん?なに?」

「いや、別に」

「なんだよー。かっこよくて見とれちゃった?」

「…ばーか」


ふざける誠治朗に、そんな風に返したけど、馬鹿は俺だ。

こんなに楽しそうにするなら、もっと早くに言い出せばよかった。


「…そんなに見つめられるとちゅーしちゃうぞ」


誠治朗が口を尖らせる。


「やれるもんならやってみろ」

「え、いいのか、いいのかー」


たまには、悪くない。こんな日も。


「ん、どーぞ」


目を閉じて、 誠治朗を待つ。

ほんとにするのか、知らないけど。


「え、ほんとに…?」


何も言わない俺に、動揺しているのがわかる。


もう何十秒か、何もせずにいることにした。

どうするんだろうか。


少し、近くに気配を感じる。


「ん、」


目を開けると、真っ赤な顔した誠治朗が、俺にキスしていた。


「急にそういうことされると…ドキドキするんだけど…」

「たまにはいいかと思って」

「…ずるい」

「…もうしない」

「あ、それはだめ」


どっちなんだ、まったく。


結局、もう一度だけキスをして、映画の予定を決めた。


…何着ていけばいいんだ。

そんなことを考えながら。



ちょこっと裏話。

二人が付き合い始めたことは、特に周りにオープンしはしていません。

なので村上くんと風見くんは勝手に彼女だと思っています。そしてあえて否定しない誠治朗。

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