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SS1 幸せの立会人1

本編完結しましたが、サイドストーリーでウェディングフォトを撮影するまでの様子を未來くん視点でお送りしたいと思います。

よければお付き合いいただけたら嬉しいです。


僕が彼らと出会ったのは、大学に入学して、少ししてからだった。


先に知り合ったのは浅緋の方で、たまたま受けた講義で隣の席になった。

初めて会ったのに、なんだか少し、自分と雰囲気が似ているような、全然違うような、不思議な感覚。


話してみると、意外なことに料理をするのが趣味だと言うし、たまたまバイト先でお世話になっている中野先輩の後輩だとわかって、仲良くなった。


その後、誠治朗が浅緋に会いに来て、だんだん一緒に過ごすようになり、

浅緋のいう「ご飯を幸せそうに食べるやつ」とういうのがすぐにわかるくらい、明快で表情豊かな彼ともあっという間に仲良くなった。


出身校が同じとはいえ、随分仲のいい二人だと思ったのが、最初の印象。

笑いあう二人の纏うまとう雰囲気が余りにも素敵だったから、何度か写真を撮らせてもらった。





僕は幼い頃から、祖父の影響で写真を撮ることが趣味で。

四季折々の風景写真ももちろん好きなんだけど、楽しそうにしている人物写真を撮るほうが好きだから、二人はモデルにぴったりだった。



一度、二人をモデルに撮った写真を応募して賞をもらったこともある。

二人が向き合って、ご飯を食べている写真。

何気ない日常の一コマだけど、美味しそうに食べる誠治朗と、それを嬉しそうに眺める浅緋。


なんだかそれが、二人が一番幸せそうに見えて思わずシャッターを切った。

驚いていたけど、「ちゃんとイケメンに写ったか?」なんてノリノリで確認してくる誠治朗と、気恥ずかしそうにそっぽを向く浅緋の正反対さも二人の魅力のうちの一つだと思った。



そんな彼らから、実は恋人なんだと打ち明けられたのは、卒業間際だった。

なるほど、それは納得。


それから、定期的に連絡をとったり、たまに一緒にご飯を食べたり、変わらずの付き合いをしてきた。

お互い、就職をして、落ち着いた頃。


僕自身は、在学中から修行させてもらっていた撮影スタジオで経験を積み、卒業する少し前にそろそろ引退を考えているという祖父から店を継がないかと声をかけられた。昔ながらの、古いけど温かみのある写真館。

一人でやっていくにはまだもう少し、僕には自信がなくて。祖父には経営を学びながら、独り立ちを手伝ってくれるよう願い出た。

確かに、と承諾してくれた祖父に学びながら、フリーのウェディングカメラマンとしても仕事をし、ありがたいことに沢山の幸せな瞬間に立ち会うことが出来た。


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そんな時、浅緋から嬉しい連絡が来た。

誠治朗と、家族になるんだと。

随分嬉しかったんだろうなぁ。珍しく、二人のペアリングの写真まで添付されていた。

そして、僕に頼みがある、と相談を受けた。



「…二人のウェディングフォトを…僕が?」

「だめ…かな」

「もちろん、喜んで引き受けるよ!!いつ頃にしようか」

「ありがとう、未來。もし、スケジュールの都合がつくなら、この日がいいんだけど…」

「その日、何か特別な日なのかな?」

「…なんというか……結婚記念日、かな」


結婚記念日。色んなご夫婦の撮影の際、何度か「今日が結婚記念日なんです」と嬉しそうにお話してくださる方がいらっしゃった。

大安吉日、お誕生日、付き合って何年目の記念日…色々なタイミングや記念日の一瞬を何度も写させてもらったけど。


少し気まずそうに言う浅緋に、思わず声をかけた。


「それはぜひ、僕が撮りたい。ぜひ、その日に撮らせて!」



スケジュール調整で、どうしてもご希望の当日に撮影出来ないことがある。

丁寧に説明しつつ、内心そういう時は申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

でも、この仕事を始めて、自分から、この日どうしても撮らなければ後悔する、と思ったのは初めてだった。



「ありがとう、未來。…俺らは、一般的にはその…結婚、という名称ではないが、自分の中ではそう思っているから。あいつに直接言ったことはないんだ。ただ…」

「大丈夫、分かった。それで、誠治朗にはサプライズにしたい、ってことかな?」


「…未來にはなんでもお見通しだな。お手上げだ。その通り、サプライズで喜ばせてやりたくて」

「それなら、慎重に、かつ丁寧に準備していこう。衣装や当日のスタイリング等は僕の知り合いにお願いしても大丈夫?」

「ああ、そうしてもらえると助かる。考えだけ決めたが、全く詳しくないんだ。紹介してもらえるとありがたい」

「そうだよね。僕これまでもこの仕事楽しくやって来れてるんだけど、今すごくわくわくしてるよ!」

「…未來に相談して良かった」

「ふふ、浅緋、まだこれからだよ。決めなきゃいけないこと沢山あるからね。覚悟して」

「お手柔らかに頼みます」


それから、浅緋とは何度か打ち合わせを重ねた。

日取りや、小物、誠治朗の衣装の色。

そのあたりは決まっているのに、肝心な自分のことは、ものすごく悩んで…というかなんだか自信なさそうにする。

そんな時、一緒に打ち合わせに参加してくれたヘアメイク・スタイリストの斉藤崇彦さんと、立花唯世(ただせ)さんが浅緋に提案した。


「この色はどう?浅緋くんによく似合うと思うんだけど」

「うん、八束さんは細身で身長もあるし、お肌の色と相性が良いと思います。

彼が着るこの白にも合いますし、一度試着してみるのもおすすめですよ」


「そうで…しょうか」


「浅緋、どう?しっくりこなければ、違うものだってあるし、一度着てみたら?」

「それもそうか。一度、試着をお願いしてもよろしいでしょうか。立花さん、斉藤さん」

「もちろん!では、試着の日、誠治朗さんの普段着ている背広をお持ちいただいてもよろしいですか?念のため、サイズの確認をさせていただきたいと思います」

「わかりました」


別日。何着か、シャンパンゴールドを含めたタキシードを試着。


「どれも似合うけど、僕はこれがいいと思った」

「あ、それ僕も一番しっくりきたなあ」

「私も。デザインも色もよくお似合いです」

「あとは、浅緋次第。どれを着て、誠治朗の隣に立ちたいか…かな?」


浅緋は、もう一度ゆっくり全体を見て考えること、わずか数秒。


「俺もこれがいいと思った。これでお願いします」


そこからは、わりとサクサク決まって行って、サプライズパーティーの準備も並行して順調に進んだ。

当日まで、残り数週間、という頃。


「未來、最後に一つ、相談があるんだけど…」

「どうしたの?」

「プロとして仕事をしている未來にこんな事を言うのは失礼なんだが…恐らく、俺も誠治朗もどうしても構えてしまう気がするんだ。いつもの自然な瞬間を撮ってもらえるとは思っているんだけど…長年の勘というか…」


「ああ、そうだよね。確かに、他のクライアントと同じように、撮影しながら、二人のエピソード話してもらってほぐれてもらおうと思ってたけど…僕相手じゃちょっと恥ずかしいよね」

「…正直」

「んー、もし浅緋がよければなんだけど、撮影の時に助っ人呼ぶのはどうかな?」

「助っ人?」

「パーティーに、兵助と優くんも呼んでいるだろ?二人なら事情も知っているし、僕より長い付き合いだろうし。きっと二人の緊張をうまくほぐしてくれると思うんだけど」

「なるほど…」

「相談してみない?きっと喜んで引き受けてくれると思うんだけどな」

「…ああ、そうしよう」


兵助と優くんに相談すると、二人とも、二つ返事で引き受けてくれた。



残るは、当日を残すのみとなった。



ちょこっと裏話

①本編にはお名前登場していませんでしたが、浅緋のスタイリストさんは別にいらっしゃいました。

②お恥ずかしながら、浅緋のタキシードの色。イメージははっきりしているのに、色の名称がわからなくて、"ウェディング タキシード 色"で調べました。シャンパンゴールド。これだ!!と勉強になりました笑

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