一緒に…どうですか
二人とも25歳。
浅緋は福富製菓という大手の製菓会社へ、
誠治朗は広告代理店へ就職しました。
誠治朗と想いが通じて早数年。
高校、大学を経て、俺は"福富製菓"に就職した。
理由は…誠治朗がよく食べている菓子やらパンやらがここの商品のことが多くて、
趣味で洋菓子を作るときも製菓用品はここのが使いやすくて気に入っているから。
大学に進学にする時、一人暮らしをすることになった。
そうは言っても実家には電車で30分ほどだし、
月に何度か帰って、夕飯を作ることもあった。
一人暮らしとは名ばかりで、しょっちゅう誠治朗が泊まりにきては、部屋を荒らして帰っていく。
まあ、そういう…ことも色々済んで。
お互い就職もしたし、ほぼ毎日来るんだからもはや一緒に住めばいいんじゃないか…と
ここ数日一人で悶々と考えている。
とりあえず…そろそろ尾浜家にも挨拶に行きたいし…。
今日も結局帰ってくるであろう誠治朗の分も夕飯の支度をし、机の上を片付けていると…
♪♪♪
「あさひ、ただいま」
迎えに出るとヘロヘロの誠治朗。
「おかえり…」
ヘロヘロのくせに一瞬ぎゅっと抱きしめられて
軽くキスしてくる。
誠治朗なりのただいまのキスらしい。
「疲れた…もうやだ、なんなの…」
とても疲れているようだ。
「誠、風呂沸かしてあるから、先に入ってこい」
「誠ちゃん疲れすぎて一歩も動けません…」
リビングのソファに寝転がり、
完全に駄々っ子モードだ…。
「誠…スーツシワになるからはよ脱げ」
渋々起き上がりこちらに手を伸ばしてくる。
今日はよほど疲れているらしい。
目が開いてない。
とりあえずジャケットを脱がせるためにそばに立った瞬間
ものすごい勢いで抱きしめられた。
…今日はもうとにかく甘やかしてほしいらしい。
「誠、誠治朗さーん。頑張ってお風呂入ったら特大サービスのアイス、食べてもいいから」
「…浅緋がいい」
「ん?なに?」
「アイスじゃなくて、浅緋がいい」
「…そ、そうですか。わかった、甘やかしてやるから風呂に…」
「一緒に入ろうよ」
半ば強制的にジャケットを脱がし始めると、
急に意識がはっきりしたのか立ち上がって、
そのまま風呂場に連れ込まれた。
「せ、誠治朗さん。私は先ほどシャワー浴びてありますので…」
時すでに遅し。
強制的に一緒に風呂に入れられ、仕方ないので頭から体まで丁寧に洗ってやった。
本人は満足したらしい。
こんなに疲れてるんだったら、今日は温め直せるようにシチューとかにすればよかった。
そんなことをぼんやり考えてるうちに
うちの甘えた誠治朗はのぼせそうになってたので
「わ、こら。のぼせる前に上がる!誠!ほら」
顔の赤い誠治朗にアイスを渡して隣に座る。
「んま…」
しょぼしょぼの目で食べてる時すら、こいつは可愛い。
「あの…さ、誠治朗」
「んー?」
「その…」
「…ん?大事な話?」
「あ…まあ、うん」
「ちょっとだけ待ってて。すぐ食べる」
こういうところはやけに律儀というか…
「ゆっくりでいいよ、」
心の準備がいる。少し、緊張する。
「お待たせ。なに?」
「あのさ、誠治朗ほとんどうちに帰ってくるし…そろそろちゃんと一緒に住みたいな、と思ってるんだけど…」
付き合いだしてから、割と言いたいことが言い合える仲になっていたから、かしこまって言い出すとどうしてももごもご喋ってしまって情けない。
「…いいの?」
「いいから話してるんだけど」
「毎日…一緒にいていいの?」
「誠治朗が嫌じゃなければ」
「…っ」
「え、ごめん。そんなに嫌だった?」
「それって、浅緋も一緒にいたいって思ってくれてるってことだよね?」
「あ…」
言葉が足りなくて不安にさせてしまったのか。
座り直して、誠治朗の手を握る。
「ごめん、ちゃんと言う。俺が、誠治朗と一緒にいたいから、一緒に暮らしませんか」
返事は思いっきりのハグで返された。
「よろしくお願いします!」




