表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/39

浅緋と小さな兄妹


♪♪♪


インターホンが鳴った。


「いらっしゃい」

「悪い、浅緋」


謝る誠治朗の胸元には、小さな女の子と…

隣に、男の子が立っていた。


「こんちには!おはまことねです!」

「こ、こんにちは、尾浜陽光(はるひこ)です…」


「こんにちは、お兄ちゃんのお友達の浅緋です。どうぞ上がって。あ、一緒にお手々洗いに行こうか」


誠治朗の話では、俺の家に向かおうと最寄りの駅に着いたところ、後ろからことねちゃんの声がして、振り向いたら陽光くんと二人でついてきてしまったそうだ。

家に引き返そうとするも、ことねちゃんがぐずり、おろおろする陽光くんに預けて向かうのは可哀想だと思い、二人を連れてきていいかと確認の連絡が俺に入った。


「ごめん…ほんと…今日ほんとはねーちゃんが家でみててくれる予定だったんだけど急にバイトになったらしくて」

「いいよ全然。どうせ暇してたし。何して遊ぼうか」


「こと、お医者さんごっこするー」

「えと、あの…」

「陽光、おいで」


見たところ、琴音ちゃんは人見知りしない活発なタイプで、陽光くんはどちらかというと引っ込み思案なタイプのようだ。

陽光くんが慣れるまで、誠治朗に任せて俺は琴音ちゃんと遊ぶことにした。




−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


俺は4歳児の体力を甘く見ていた。

琴音ちゃんはとにかく元気、元気で…

一人っ子で、特に友達の少なかった俺にはなかなかハードで初めての体験ばかり。


一方、陽光くんはどちらかというと本を読んだり、静かに過ごすことのほうが好きらしく、俺が子供の頃に読んでいた本を取ってきて渡すと嬉しそうにかじりついて読んでいた。


気がつくと、琴音ちゃんは疲れたのかうとうとし始めた。

誠治朗が気づいて抱っこして寝かしつける。


なんか…ちょっと本当の家族みたいでそわそわした。

子供がいたら、こんな感じなのかな…。


「お、陽光も眠くなってきた?」


目をごしごしする陽光くんに、誠治朗が声を掛ける。


「んーん、僕平気」

「そっか」


俺はキッチンでおやつを作ることにした。

プリンなら食べられるかな。


「陽光くん、プリン食べられる?」

「うん!僕プリンすき!ことも好きだよ!」

「おっけー。んじゃ、ちょっと待っててね」


エプロンをつけて、準備をする。

じーっと、陽光くんの視線を感じる。


「…陽光くんもやってみる?」

「い、いいの?」

「いいよ、ちょっとまってて」


自分の部屋に戻り、あるものを取り出す。


「お待たせ。あっち向いて…うん、よし。おっけ」


陽光くんに、小学生の頃に使っていたエプロンを着けて、手を洗わせる。

これまた自分が使っていた踏み台も置いて。


誠治朗をみると、どうやら琴音ちゃんつられてうとうとしている。


「よし、やってみようか」

「うん!」


二人でゆっくり一緒に作る。

陽光くんは、初めてにしては筋がいい。


さすがに火を使う場面は少し離れて見ていてもらったけど

ずっと俺のエプロンの端をぎゅっと握って見守るところが

ものすごく可愛い。


「あれ、二人で何してんの?」

「にいちゃん、僕ね、プリン作ってるんだよ!浅緋兄ちゃんすごいんだよ!」


いつのまにか誠治朗がそばに来ていた。

陽光くんが興奮気味に誠治朗に話すところがとても可愛い。

俺にも兄弟がいたらこんな感じなんだろうか。


「ん、よかったなー陽光。エプロン似合ってるじゃん」


プリンを冷やしている間に、少し休憩する。

疲れたのか、隣で本を読んでいたはずの陽光くんは俺にくっついたままうたた寝をしていた。


「浅緋、ありがとな。二人の面倒みてくれて」

「俺も楽しいし。二人ともいい子だな」


陽光くんの頭を撫でると、俺の服をぎゅっとして、またすぅすぅ寝始めた。


「かわいい…」 


「なんかさ、二人が隣で楽しそうにおやつ作ってるの見ててさ」

「うん?」


しみじみと、勘右衛門が話し始める。


「俺たちに子供がいたら、こうなのかなぁ…ってちょっと夢見ちゃった。…まあ、無理だけどさ」


まさか、同じことを思っていたとは…。

思わず顔が熱くなる。


「浅緋?」


「いや、なんでもない」



15時を少し過ぎた頃、二人を起こして、プリンを食べた。

夕方、家から帰る頃には琴音ちゃんがぐずりだし、

一緒に尾浜家に向かうことにした。


「ほんとにごめんな、浅緋」

「いいって。ことちゃんまた遊んでくれる?」

「うん!あさひくんまたプリンつくってね!」

「いいよー。陽光くんも、また一緒におやつ作ろうね」

「うん!浅緋兄ちゃん、約束だよ!」



別れ際には二人ともにこにこして、

見えなくなるまでぶんぶん手を振ってくれた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ