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多分、最初のときめき 2ーside誠治朗

お弁当の感想より、嬉しい、楽しみ、浮かれてる の誠治朗を目一杯お届けです。


土曜日の余韻に浸りながら、ぼーっとしていたら、もう月曜日になっていた。

"昨日はありがとう、楽しかった!"

と来ないだろうと思って送ったメッセージには、

"こちらこそ。明日、午前終わったら準備室で"

と短い返信が届いた。


それを何度も見返していたら

「ちょっと誠治朗!遅刻するよ!!」

「あ、はい!!」


母親に声をかけられ、慌てて家を出た。

危ない、今日は絶対に遅れたくないし、出来れば朝もちょっと顔が見たいと思ってたのに…!!


そわそわと午前中の授業を過ごした。

いつもならわりと真面目に受けている授業も、なんだか全然頭に入ってこない。

「尾浜、おーい、尾浜」

「え、はい!」

「どした、授業終わったぞ」


隣の席の村上に声をかけられた。

気がついたら、午前の授業は終わっていた。


「あ、さんきゅ!ほんとありがと!」

「え?ああ、尾浜、大丈夫…って行っちゃった」


走らないように、でも急いで生物準備室へ向かった。


扉を開けると、既に浅緋が着いていた。


「八束ぁ!!」

「なんだよ…うるさい」


あれ、土曜日はあんなに楽しく過ごしたはずなのに…。


今日はもう、授業も記憶にないし、早弁なんてもってのほか。


「ありがとう、俺楽しみだった!!今日は昼まで我慢してたからめっちゃ腹減ったぁ!」

「わかったから、ほら」


ぽん、と弁当箱を渡された。

少しずっしりとした重さを感じる。


「…ね、隣にいてもいい?」



いつもは少し離れた場所でパンを食べている。

だけどなんか…今日は浅緋の隣に居たいと思った。

だから、断られるのを覚悟で尋ねた。


「静かに食えよ…」


思わぬOKに心が踊る。今日は隣にいてもいいんだ。

「わかった!」

返事をすると、もう一つ

「あと…あんま、こっち見ないでほしい…」


すごく言いづらそうに、そういわれた。

せっかくだから、見たい気もするけど。ぐっと我慢しよう。

「わかった、大丈夫」


いつもより近い距離。二人並んで、弁当箱を開ける。

唐揚げ、卵焼き、ミニトマト。ポテトサラダにブロッコリー。タコさんウィンナーまで入ってる。


「わぁ、美味そう…朝から揚げ物大変だったろ」

「今日仕事休みだからって母さんが揚げてくれた」


なるほど、それならこのタコさんもお母さんがやってくれたんだな。


「そうなんだ、いただきまーす」


人には見るなと言いながら、なんだかじっと視線を感じる。


手を合わせて、から揚げを食べる。

しっかり味が染みてて、冷めてるのに美味しい。


次は卵焼き。こんなに沢山入ってるのは贅沢。タイムセール頑張って良かった。

「…え、うま!これうま!…ちょっと…八束天才…」

もう一つ食べると、味が違う。さっきのは甘い味付けで、こっちはだし巻き卵だ。

「…え待って味違うじゃん。こっちもうまぁ」

思わず声が出る。うちとは違った味だけど、これがほんとに美味い。



「お前…静かに食えって言ったのに」

「あ、ごめ。だってさ、うまいんだもん!しょうがないじゃん?」

開き直ることにした。視線を送っていないだけ、ほめてほしい。

「まあ…そんなに美味そうに食うなら作った甲斐がある…かな」


つい、浅緋を見た。なんだか少し、頬が赤い気がする。


「八束も早く食べな、美味いから」

「俺が作ったんだけど」

「まあまあ、いいじゃん」


おかずも白飯も、俺より随分少ない浅緋の弁当箱。

大きさは違うのに、同じものが並んでる。

それがなんだか、すごく嬉しかった。


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食べ終わると、なんだか少し寂しさを感じた。

美味かった。ものすごく。

別に食べ終わったから、もう会えないみたいなことはないのに、一大イベントが終わってしまったような感覚。


浅緋にお礼を言うと、ちょっと堅い返事が帰ってきて、思わず笑った。


また、ああいう時間を一緒に過ごしたいな。


ふとそう思って、また遊びに行っていいか、なんて尋ねた。

いつものように素っ気なく。別にいいけど…なんて返ってくる。

あれ、なんだこれ。


買い物も、他所の家でのご飯も、トランプが楽しかったことも、余すことなく伝える。

話の流れで俺に兄弟がいることを伝えたら、意外そうな反応をされた。


そうして、次の週末の約束を取り付けて別れた。

午後は午後で、また昼の余韻が抜けなくて…。ノートがほどんど白くて後で兵助に写させてもらった。



「誠ちゃん、なんかすごい嬉しそうだね」

「え?そうかな」

「ご飯食べてるときと同じ顔してる」



どうやら相当浮かれているらしい。



家に帰ると、

「兄ちゃん、どしたの、お腹痛いの?」


「せいちゃん、こととおいしゃさんごっこ、ねえせいちゃん!!」


「ちょっと、誠治朗、具合でも悪いの?大丈夫?」


「誠治朗、早く風呂に入れ!」


大学で家を出たねーちゃん以外の家族に怒られたり心配されたり、様々な反応をされてしまった。




ちょこっと裏話

誠治朗には内緒なんですが、タコさんは浅緋が作りました…。

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