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File:008 ワンパンマン (第13話~第15話)






 ①13撃目 【スピード】


 激昂するハンマーヘッドを戦闘に、一斉にソニックへと

襲いかかる桃源団のメンバーたち。

 ――しかし、標的は一瞬の内に姿をくらまします。

 戸惑う彼らに吹きすさぶ、一陣の風。


 首を飛ばされる者、顔を切り刻まれる者…。

 風が吹き抜けたと感じた次の瞬間には、そんな惨状が

広がっている。

 何が起こっているかを理解できないまま、その攻撃は

ついにハンマーヘッドにも迫ります。


 咄嗟に地面を殴り、その振動と飛び散る土塊で

相手を牽制しようと試みるハンマーヘッドですが、

ソニックは余裕の表情を浮かべ、嘲ります。


 ”――威嚇のつもりか? 俺が見えないんだろう”

 ”…ッ! そこかぁ!!”


 ソニックの声を聞くや否や、その方向へ巨大な岩を

投げ飛ばすハンマーヘッド。

 投げた岩はその勢いのまま、大富豪ゼニールの住む

マンションへと激突します。


 一方のソニックは、軽やかに着地しながらも後方へと

下がるようにステップを踏む。

 そこへ上空から、追撃と思われる大岩が降ってきます。


 ”――なんと、逃げずに攻めてくるか”

 ”少しは頭が働くようだな”


 それまで余裕綽々だった表情が、僅かに強張ります。

 そして、第三撃、四撃と更なる大岩のシャワーが

降りしきる中、彼の口元には、『余裕』とはまた違う

凶悪な笑みが浮かんでいました。


 ”崇高な思想の下で戦うこの俺が――

犬に負けるとでも思ったか?”


 木々を倒しながら、ハンマーヘッドが姿を現します。

 今度は逆に、嘲るような態度を取られてしまう

ソニックですが、その思考は冷静でした。


 戦況を考えれば、ハンマーヘッドがここで姿を晒すことは

明らかな愚策です。

 この『挑発』には、何か裏がある。

 そう勘付いたソニックは、周囲の状況を見て、ハッとします。


 ”…なるほど。 わかりやすい”

 ”来る方向がわかっていれば、俺のスピードに対応できる

とでも思っているんだな”


 二つの直線状に並んだ岩と、その間にできた『道』を

見るや否や、相手の狙いを看破するソニック。

 岩を持ち上げ、尚も挑発を続けるハンマーヘッドに対し、

哀れみの視線を向けると、彼は静かに腰を落とします。


 ”正面から、真っ直ぐに――狩る!”


 相手の狙い通りに、あえてその『道』に沿って

突き進むソニック。

 そのスピードは凄まじく、来る方向がわかっていながらも、

ハンマーヘッドはその姿を捉えることはできません。


 ”だが――見えなくてもいい”


 しかし、それは予想の範疇のこと。 ハンマーヘッドは

すぐさま、手にしていた大木を力の限り振り下ろします。

 『道』を埋め尽くすようなその一撃に、彼は確かな

手応えを感じ、勝利を確信します。


 ――しかし、その刹那、彼の後頭部に何かが突き刺さります。

 それは忍者が使う投擲用の武器、くない。

 勝敗は呆気なく決し、ハンマーヘッドがその場に倒れ込む。


 『仕事』が片付いたことを電話で報告するソニック。

 しかし、何気なく視線を向けた先――そこには、さっきまで

『あった』筈の、ハンマーヘッドの死体がありませんでした。


 なんと、分厚い頭蓋骨のお陰で、ハンマーヘッドは

どうにか一命を取り留めていたようです。

 森を駆け抜け、逃走を試みるハンマーヘッドでしたが…

なんとそこに、『あの人物』が姿を現すのでした。




 ソニックVSハンマーヘッド。

 結果はおおよその予想通りであったものの、ハンマーヘッドが

思わぬ健闘ぶりを見せてくれたような印象です。


 後にとあるキャラクターが、ソニックに対し『戦闘能力だけで

いえば、間違いなくS級』と評価しているように、一対一の状況で

彼と善戦するのは、並大抵のことではありません。


 『B級賞金首』というのは、恐らくハンマーヘッドの素の状態

を考慮してのもので、今回に限っては、『バトルスーツ』という

装備品によって、本来のものよりも強さが上乗せされていた状態

…と見るべきなのでしょう。


 しかし、それを踏まえても、大胆不敵さというか、土壇場に

おいても案外、頭が回っている感じがありました。

 言動や雰囲気的に”雑魚っぽさ”は拭えないものの、

『戦闘巧者』と呼べるくらいの印象は受けます。






 ②14撃目 【お前など知らん】


 その男の頭部を見て、自分の指揮する桃源団への加入を

望むものでは――と察するハンマーヘッド。

 しかし、彼はあっけらかんとした態度で否定し、”お前たちを

ぶっ潰す”という言葉を返します。


 激昂し、渾身の右ストレートを顔面に叩き込むハンマーヘッド。

 しかし、それをまともに喰らったにも関わらず、その男は

平然としています。


 ついには、バトルスーツの『フルパワー』をも発動し、攻撃を

仕掛けてくるハンマーヘッドでしたが…その男、サイタマは

真正面から攻撃を受けきり、『一撃』でバトルスーツを

粉々に破壊しました。


 逃げ去るハンマーヘッドに、どこか自分と重なるものを感じ、

憂いの表情を見せるサイタマ。

 そこへ、『ヤツ』を仕留めきれなかったことに気付き、

追撃してきたと思われるソニックが姿を現します。


 サイタマを、今回の標的である桃源団の残党と判断した

ソニックは、問答無用で攻撃を仕掛けます。

 くないの投擲。 更に、それと同じ軌道を辿るかのような

剣による突き攻撃。


 二段構えのその攻撃をあっさりと捌くと、サイタマは

必死に弁明をはじめます。

 自分は桃源団などではなく、趣味でヒーローをやっている

者で、しかも割かし活躍していて…。


 ”――お前など、知らん”


 実にシンプルなその反応に、ショックを隠せないサイタマ。

 そんな彼の心情など知る由もなく、ソニックは改めて

目の前の相手に『宣戦布告』をします。


 自分の技を見切られ、プライドを傷つけられた怒りから

”許さない”と語るソニックでしたが、サイタマはそれが

本音ではないことを即座に悟ります。


 ”お前はただ、自分の技を試したいだけだろ?”


 今の自分に漲るのは、『怒り』ではなく『歓喜』なのだ――と。

 そう看破したサイタマに対し、ソニックはこれまでにない程の

凶悪な笑みを浮かべるのでした。




 ソニックと対峙し、奇襲と宣戦布告を受けるサイタマですが、

全く持って意に介していない様子。

 当然、実力の差もあってのことでしょうが…『余裕』とも

明らかに違う、その”関心の無さ”は、特にハンマーヘッドと

比較すれば、一目瞭然。


 今回、ソニックはサイタマの目を狙った攻撃を仕掛けして

いますが――これまでの描写から考えると、恐らくあれをまともに

喰らっても、何ともないことが予想されます。


 映画【スーパーマン】でも、主人公が”眼球に弾丸を受けても

大丈夫”という描写が印象的なシーンがありますが…

”物凄く強い”を通り越した、”傷付くことすら出来ない”といった

レベルの能力ともなると、もはや『人間』とは思えません。


 無論、”そんな能力を持ち続けた者”が一体どんな気持ちで

いるのかも、想像の域を出ることは叶わないわけですが…。

 果たしてこの作品の中で、主人公サイタマが、そういった部分を

分かち合えるような『誰か』に出会うことはあるのかどうか――

今後の展開に注目です。






 ③15撃目 【趣味と仕事】



 衝撃波を発しながら駆け出し、サイタマの周囲を文字通り

縦横無尽に移動し始めるソニック。

 『音速』の名に恥じぬ強烈なそのパフォーマンスも、

サイタマにとっては別段興味を惹くものではありません。


 頭上から強襲するソニックに対し、クルッと顔を向けるサイタマ。

 反射的に蹴りを繰り出すソニックでしたが、それがヒットする

よりも先に、サイタマの拳が相手の寸前で止まります。


 ――しかし、勢い余ってか、寸止めしたと思われた拳は

ソニックの急所に当たってしまいました。


 しばらく悶絶していた(と思われる)ソニックでしたが、やがて

落ち着きを取り戻すと、ビシッとサイタマを指差し、

”ライバル宣言”をします。 それを真摯に受け止めたサイタマが

”ああ、頑張れよ”と返し、その場は収束したようです。


 その後――自分の住むアパートの部屋で項垂れるサイタマ。

 テーブルを挟んだ向かい側には、サイタマを師と仰ぐ

サイボーグ戦士のジェノスの姿もあります。


 相も変わらず”強さの秘訣”を求めてか、サイタマに声をかける

ジェノスでしたが…彼の方は、まるで耳を傾けようとはしません。

 やがてサイタマの口から、彼が今抱える”最大の悩み”に

ついての話が語られます。


 それは――”知名度が低いこと”でした。

 ヒーローとしての活動を始めてから、これまでの3年間。

 その中で自分がしてきた『活躍』は、並大抵のものではなかった。


 それなのに、世間にはまるで認知されていないという現状。

 こんな寂れたアパートの一室で、細々と暮らしているという現状。

 そして――対峙した相手から、”お前など知らん”などと

言われてしまう――この現状。


 サイタマから語られるそんな内容の話を聞いたジェノスは、

しばしの思索の後、とある『可能性』に思い当たります。


 ”まさか、先生…。 ヒーロー名簿に登録してないんですか!?”


 全国にある『ヒーロー協会』の施設で様々なテストを受け、一定の

水準を超えた者には、ヒーローであることが『公式』に認められる。

 協会への募金から給料も支払われており、既に世間的には

ヒーローは『職業』の一つとして認知されているというのだ。


 逆を言えば、ヒーロー協会に認められていない人間は、

例えどんな活躍をしようとも――どれだけの成果を上げようとも、

正式に『ヒーロー』とは認定されない。 ただの”ヒーローっぽいことを

している人”としか、世間には受け取ってもらえないのである。


 ”――知らなかった”


 3年ほど前に出来たというその協会のことを、サイタマは今まで

知らずに過ごしてきた様子。 そして、ジェノスはその存在を

知りながらも、どうやら自身の登録は行っていないという。


 ”登録しようぜ!”

 ”一緒に登録してくれたら、弟子にしてやるから!”

 ”――いきましょう!”




 『ヒーロー協会』は、本作の数ある設定の中でも、今後、物語の

基盤としての役割を果たすほどに重要となってくる存在です。


 何をもって『ヒーロー』といえるのか。

 何を目指し、『ヒーロー』となったのか。

 各々が描くヒーロー像。 『大衆』が求めるヒーロー像とは…?

 それらの摩擦や、微妙な食い違いなどもまた、本作の見所かと思います。


 それにしても、飄々としてあっけらかんとした様子のサイタマと、

愚直で、ある意味では欲望に忠実ともいえるジェノスとの

掛け合いは、見ていて思わず和んでしまうようなものが多いです。


 サイタマから『音速のソニック』を名乗る者のことを聞いた時の、

”――誰ですか? その頭痛が痛いみたいな名前の人物は?”

…というジェノスの反応は、何度見てもクスリとくるものがあります。






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