残酷な世界に今日は祝福のインターホンを
湿った雨が降る東京。
決して、いい空気とは言えない朝が始まる。
今は梅雨真っ盛り。
今日も古いアパートのカーテンを開ける。
家中カビだらけ。プリントや食べ物が散乱している。
ウジ虫やハエが飛び交う。
家の中は、蒸し暑い。
「はぁ、苦しい。」
とてつもない息苦しさを、感じる。
両親は、どちらも他界した。
兄は、4ヶ月前、この家をでていった。
今、この家にあるのは、200万円と息苦しさだけだ。
俺は、まだ中学生。アルバイトもなにもできない。
昨日は、右隣の部屋から聞こえる、カップルのイチャイチャ音を子守唄に。
一昨日は、左隣の部屋から聞こえる、ゲーマーの叫び声を。
全く眠れない。不安にこころを押し潰されそうになりながらも、朝を迎える。
学校には、入学式から一回もいっていない。
何度か、自殺未遂をした。しかし、全部失敗に終わった。
自分は死ねない。こころの中でそう思っていた。
体中が痒い。ハエが自分の体にとまるのもなれてきた。
スマホを確認する。時計は7:40分。普通ならみんな登校している時間だが、俺はというと、まだ布団の中。
風呂を沸かそうにもおゆがでない。
ほんとは1000万円ほどあった両親の遺産も、兄に700万円ほどとられた。そこから1ヶ月で100万円を使った。
(ポタ…ポタ…)
雨漏りだ。
歩くだけでギシギシいう床を、さらに痛みつける。
俺が、寝返りをうつしゅんかん、インターホンがなった。
「ったく、学校かな?来んなよ。」
そう思いつつ、俺はインターホンからのカメラを見る。
そこには見知らぬスーツの男三人がたっていた。