表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/8

俺も自覚してるってそれくらい

 なんとかシャルを説得し、無駄な殺生をさせないようにしたわけだが、もっと他にも性格的な面で欠陥が出てきそうで怖いな。倫理観がぶっ飛んでるっていうのは今のところ何とかなってるっぽいからこの調子で気を付けておこう。


「ご主人様、このまま冒険者ギルドへ向こうと思いますが大丈夫ですか? どこかほかに希望がありましたら先にそちらに向かうように致しますが?」


「いや、まずは冒険者ギルドを目指そう。今の俺たちに必要なものは金と冒険者カードだ。身分を証明するものは持っておかないと後々困るだろうからな」


「わかりました。私のデータバンクにはボブロンの地図が記憶されていますのでついてきてください」


 道に迷わないで済むのは滅茶苦茶助かるな。

 シャルがいてくれるだけで、俺一人だったらつまずいていただろう出来事がすべて解決してしまう……おかしいな、俺がメインでシャルがサブっていう感じのはずなのに、これじゃあ、俺がシャルの金魚の糞状態じゃないか。必要ないを通り越して足を引っ張ってるまであるぞ。


 もう少し、役に立ちたいところだがシャルに伝えても、俺は今のままで大丈夫ですって言われるのがオチだ。しかし、俺の能力の関係上、自分を強化することはできない。巨大ロボットに搭乗して戦う予定だったら自分自身の強さは必要ないとかかっこつけたせいだ。今となっては、自分を強化する能力が一つもないことを後悔し始めている。


「ご主人様、表情が普段よりも23パーセントほど暗くなっていますがどうかしましたか? もしや、何か不快なことが? ご主人様の気分を害すなんて許されません。どこの誰がやったのか教えてください。私が今すぐに滅殺します」


「別に誰のせいとかじゃないから心配するな。ちょっと自己嫌悪に陥っていただけだ」


 俺の表情をパーセントで表現してくるとはな。

 それにしてもまた物騒なことを言ってるんだが、もう少し釘を刺しておくべきか? あんまり言いすぎるのもよくないと思うけど、人殺しになった後で説教したところで手遅れだしなぁ。シャルの自制心を信じて見るってことにしよう。


「ちょっとアンニョイなご主人様もカッコいいですが、ここは私が癒します。ってい」


 グッと、さっきみたいに俺の右手に抱き着いてくる。

 確かに、癒しにはなるけど、同時に緊張してしまうんだよこれ。


「人肌に触れるとリラックスしますからね。それに、私の外見はご主人様の好みをもとに作られていると創造主が教えてくれました。どうぞ、私で癒されてください」


「気を使ってもらって悪いが、これじゃあ、そんなに気分は休まらないんだよな」


「そんなぁ……では何をすればご主人様は元気になりますか?」


 落ち込んだような表情を浮かべるシャルに少し罪悪感を感じるが、女の子に対する耐性のない俺に外見は完璧なシャルに接近されるのは少々きつい。凄い可愛いけど、いろいろと大変なんだ。 顔も近いし。


「おい、あいつ見ろよ。すっげぇ可愛い子連れて歩いてるぞ。明らかに釣り合ってないだろ」


「ほんとだぜ。見せつけてくれやがってよ。彼女持ちは全員爆発しろ」


「若いってのはいいもんじゃのぅ。なあ、ばあさんや」


「私たちも若いころは人目もはばからず、イチャイチャしていましたね」


 ステルス機能は門を抜けた後に切っているので今の俺たちは白昼堂々町中でいちゃついてるバカップルだと思われてるんだろうな。シャルが美少女ってこともあるが、注目度合いが凄い。特に、男の怨念を感じるような視線が刺さる。


「ほら、変に注目されちまうだろ。一回離れてくれよシャル」


 俺も目立ちたがりというわけではないので、この状態は好ましくない。

 一度離れるようにシャルに促しながら顔を見ると、シャルの目が据わっていた。


「今、ご主人様を貶める発言が聞こえて来ましたが、どうやら死にたいカスが混じっているようですね。すぐに塵に返してあげます」


 やっばい、メッチャ怒ってるぞ。

 俺とシャルが釣り合ってないって言ってきた奴のほうを向いて凄い怒気を放っている。実際、俺とシャルなんて並んで歩いていたら誰だって同じように感じるだろうし、俺としても納得だから腹なんて立たないんだよ。


「ご主人様、今あのカスが明らかに悪意をもった発言をしていました。私にゴミを掃除する許可をください」


「ダメだからな。それくらいのことで殺してたら、俺はシャルと並んで歩けなくなるがそれでもいいのか?」


「え? どうしてそんな悲しいことを言うんですか? 誰に何を言われようが構いませんので私にご主人様の横を歩く権利を下さい」


「わかった、なら今回も気にしないでいいよな? 俺も気にしてないことでいちいちシャルが怒る必要ないんだ。所詮、何を言われようと他人からの評価何てどうでもいだろ?」


「流石はご主人様。器量が違います。わかりました、私もできる限りこらえるようにします」


 ほんとこの調子だと先が思いやられる。シャルの怒りが暴発しないよう、これからも気を付けていかないといけないな。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ