はは、とんでもない貰いものだ
「ご主人様……私はいらない子じゃありませんか? 一緒にいてもいいのですか?」
「もちろんだ。シャルはもう俺の家族なんだよ。何があっても手放したりしない!!」
シャルが目をうるませながら俺のほうを見てくる。
ロボットだというのに泣きそうになっているのがよくわかる。これがチート能力によって作られてロボットの性能か。そんなことよりもシャルを泣かせてしまうわけには行かない。
「ありがとうございます。私はこれからも誠心誠意、ご主人様のお世話をさせていただきます」
「ああ、まだ出会ったばかりだが、よろしく頼むよ。さてと、じいさんはシャルにこの世界のことを聞いてくれって言ってたけど、俺たちはこれからどうすればいいんだ? 魔王に挑むには相当の準備が必要だって話だし、まずは資金集めだよな」
「それでしたら、冒険者がおすすめです。私のデータバンクによればこの世界にはモンスターを討伐する冒険者という職業が存在するとのことです。危険が伴うこともあり、報酬は普通に働く場合とは比べものにならないほど高額です」
モンスターを倒す仕事か。シャルがいるなら特に問題なく稼げそうだな。まずは、シャルがどれくらい強いのか実際に見ておきたいところだ。神様から授かった一体目のロボットということもあり、俺の期待はかなり膨らんでいるがどれくらいのもんだろうな。
俺の見たところ、機械のように整った顔立ちの美少女でしかないもんな。
強いって言われてもにわかには信じられない。戦闘しているところを見れば一発だが、どうしても俺に危険が付きまというからな。
「なあ、シャルって強さで言ったらどれくらいのもんなんだ? 相当強いんだよな?」
「もちろんです。ご主人様の危険をすべて排除し、期待に応えるため、最高のスペックですから。魔王にすら引けを取らないと自負しております」
魔王と互角に戦えるということでいいのか?
もし本当なら、俺はいきなり魔王討伐の目標を達成できるかもしれないってことじゃないか。自分自身をよく見せたいって気持ちはわかるが、流石に話を盛ってるんだよな? マジで、そのレベルの強さなわけないよな。
「つまり、シャルはそこんじょそこらのモンスターじゃ相手にならないくらい強いってことでいいよな?」
シャルの強さなら、普段冒険者として戦う可能性があるようなモンスターなら楽勝に屠れるくらいってことだろう。
それならば、俺たちはかなり楽をして金を稼ぐことができるな。
「ちょっと聞いてもいいか?」
「なんなりとお申し付けください。私の答えられる範囲であればなんであろうとお答えします」
「さっき俺の能力でロボットの購入に必要なお金が100億ゴールドってなってたんだけど、冒険者になって稼ごうとしたらどれくらいかかりそうだ?」
すぐに貯められる程度の金額ではないことは何となくわかるんだが、それがどれくらいの時間をかけないといけないかなんてことはわからない。俺が必死にバイトをしたところで前世では年間100万くらいのもんだったろう。もし同じような感じならば、1万年単位で時間がかかることになってしまう。
「一流の冒険者になれば、年間で一億ゴールドは稼げると思うので、100年くらいですかね。私が別で稼ぐことのできるお金も合わせると、およそ二年と言ったところでしょうか」
冒険者では1億なのに、二年で貯められるって冒険者以外でぼろ儲けしてんじゃんか。でも二年で貯められるって言うのはかなり大きいな。もっと時間がかかることを覚悟していた身からすれば、飛び跳ねたいくらいには嬉しい。
「流石はシャルだな。1年で50億を稼ぐなんてシャル自身は一体、いくらくらいのもんなんだ?」
「え? 私ですか? どうでしょうか? おそらくご主人様の能力の保有ロボットのところに記載されていると思いますが、自分では申し訳ありませんがわかりかねます」
「いいんだよ。完全に興味本位で聞いただけだからさ。それじゃ、一応見ておくとするかな。スキルオープン」
俺の声と共に、透明な画面が表示される。
さっきは目に付かなかったが、確かに保有ロボットの欄があった。これで俺の持っているロボットを異空間に保管したりできるんだろうな。
どれどれ? シャルはいくらくらいの価値があるんだ?
「嘘だろ……10兆ゴールドだって……額が一気に跳ね上がってるんだけど」
俺の目がおかしくなったのかと思い、目をこすってから再度確認するが何度数えても0が大量に並んでいる。
俺が創造したマカロフシリーズ何てゴミに見えるほどの性能を持っているってことになるんだろうか。それも、マカロフシリーズは全長50メートルン巨大ロボットに対して、シャルは160センチにも満たないくらいの身長しかない。それでこの価格の違いは性能が段違いで化け物だってことだよな?
「ご主人様には申し訳ないですが、マカロフシリーズでは何機来ようが私の相手には不足していますね。私のビームで壊滅できます」
「じいさんはとんでもない子をよこしてくれてたんだな。俺の能力なんてゴミに見えるくらい凄いじゃないか。こりゃ能力が持ってこれてなくても変わらなかったんじゃないか?」