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グレートロビンソン、テイクオフ!!

 今日も一日秘蔵のロボットノートに最強のロボットを書くだけで終わってしまった。有り余るアイデアと熱量で気が付けばこの秘蔵ノートも13冊目に入っている。


「いくらアイデアを出しても、実現できるだけの技術力を身につけなければ机上の空論に過ぎないというのに……また俺は一日をこのノートに使ってしまった」


 嘆いたところで時間が戻ってくるわけでもないが、毎日の日課のようなものになりつつあるこの叫びを俺は繰り返す。ノートを埋め尽くすアイデアの波はとどまることを知らないが、俺のロボット政策の技術は止まってしかいない。最後に作ったものと言えば、小学生の頃の理科の電池で動くミニロボットだ。俺の中であれをロボットとしてカウントするのはプライドが許さないのでノーカンだ。となると俺は生まれてこの方アイデアだけの男ということだ。何て虚しいんだ、俺にはアイデアはあっても、それを実行するだけの力はない。せめて、頼れる相棒でもいればよかったんだが……。


「そろそろ帰るか。いつの間にか教室に俺だけになってるしさ。流石に熱中しすぎたか」


 教室の窓から外を見ると、既に太陽は沈んでおり、あたりは暗くなっていた。


 ふと、教室の時計を見ると、現在時刻は7時を指している。


 今日は7限までだったから、4時過ぎくらいには学校終わってるはずだ。それから3時間近くも一人で教室に残り、ノートを書き続けていたことになる。我ながらとんでもない集中力だな。


「あーあ、どっかの天才が俺のロボットを作ってくれないかな。思い切ってネットに俺のアイデアを投稿してみるのも一つの手なんじゃないか? いや、俺のアイデアは軽々しく世に出していい代物ではないな。世界を混沌へ叩き落してしまう程の想像力を秘めているはずだ」


 何て言い訳をしているが、ネットに投稿して叩かれるのが怖いってのが本心だ。

 自分の創造してものをけなされるのはきっと精神的にかなりの打撃を受けることになるんだろう。よく、ネットで誹謗中傷されて心を病んでる人を見かけるこのご時世でそんな勇気は持ち合わせてはいなかった。




 俺は、柴山第三高校を出て、自宅を目指す。


 俺の愛車の自立サポート付き自転車にまたがり、帰路につく。まあ、ただの電動自転車だ。この偉大なる電動アシストを一度体験してしまうと普通の自転車に戻ることなんてできない。坂道での快適さが段違いだ。親に頼み込んで値の張るこの自転車を買ってもらった過去の俺を未だにほめちぎっているほどだ。


「今日はまっすぐ帰るか。熱中してたせいですっかり暗くなってしまってるしな。早く帰らないと母ちゃんが心配するし」


 部活に入っていない俺は通常であれば、5時前後には家についている。しかし今日は、教室でノートを書くことに気を取られて既に7時を回っている。早く帰らないと母ちゃんに心配かけてしまう。


「少し疲れるが、たち漕ぎで爆走するしかないか」


 高校から俺の家まではおおよそ3キロほどだ。

 途中に坂があるとは言え、普通に帰ったとしても30分もかからないだろうが、今日はそこまで時間をかけるわけにはいかない。普通に漕いで30分なら全力で行けば、10分くらいで帰れるはずだ。一度も試したことはないが、俺には頼れる電動アシストがついている。こいつと俺の脚力を合わせればどんな坂でも走破することができる。つまり、最強だ。


「行くぞ、グレートロビンソン。俺たちの力の見せ所だ」


 勢いよく校門を飛びだし、通学路を爆走する。


 時速80キロは出ているだろうか。周囲の景色が飛ぶように移り変わっていく。こいつは坂以外では足を引っ張りがちだったが、今日の俺の本気度合いはいつもとは一味もふた味も違う。重い車体をものともせずに、足を回転させる。


「はぁ、はぁ、はぁ、風が気持ちいいぜ。このスピードならすぐに家に着いちまうな」


 一番の難所である急な坂を超え、一気に下る。


 さっきはスピードを相当持っていたが、今度は正真正銘80キロ位出ているんじゃないか? 坂をおりる自転車の速度に俺の足が追いつかず空回りしている。力を加えて、さらに加速したいが、俺の足ではこれが限界のようだ。


 すさまじいスピードで坂を下っていく。


「おうぇ!! 木がぁぁーー!!!」


 周囲は暗くなっているのにも関わらず、馬鹿みたいにスピードを出していた俺は、目の前に突如現れた木の枝にタイヤを乗り上げ、グレートロビンソンとともに宙を舞った。


「うわわぁぁぁーー!!!」


 ガシャン!!


 勢いのまま車道へ飛び出した俺は運の悪いことにちょうど走行していた大型トラックと正面から大激突した。

 俺とグレートロビンソンが勝つことはなく、大型トラックに粉砕される。


「グハッ!! 体が……一度はロボットに搭乗したかったな……」


 俺は最後にそんなことを考えながら静かに息を引き取った。






「起きるのじゃ!!」


 耳元ででかい声がする。反射的に意識が覚醒し、飛び起きる。


「うわっ!!」


「起きたようじゃな。突然じゃが、わしは神じゃ。特別におぬしを生き返らせて異世界へ転生させてやることになった。泣いて喜ぶといいぞい」


 ふぇ?


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