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カラーイメージシリーズ

分かり合えない者達

作者: リィズ・ブランディシュカ






 光が満ちる、輝かしい国。

 誰もが優しさを持ち、慈しみを忘れない国。


 そんなある国に、聖女がいた。


 どんな人にも慕われる、とても優しい聖女が。


 その聖女は、様々な行いをした。


 多くの人を助け、多くの傷ついた心を癒してきた。


 だから、聖女は思ったのだ。


 人と人は分かり合えると。


 彼女は、そう信じて疑わない。


 だから、聖女は一人でも多くの人を幸せにするために、国を飛び出した。







 彼女は純粋だった。


 そして、ひたむきだった。


 真面目で、どんな粘り強かった。


 だから、聖女になれたのかもしれない。


 しかし、それはその国の中だけの結果だった。


 国の外は、荒んでいた。


 多くの人が誰かを騙し、誰かから何かを奪い取っていた。


 聖女は何度も騙され、何度も何かを奪い取られた。


 しかしそれでも、聖女は信じていた。


 人と人は分かり合えると。


 しかし、それが皮肉な結果を生むことになる。








 ある日の事。


 闇族と光族。


 二つの争い合う種族を仲裁するために、聖女はとある場所に赴いた。


 それは、闇の国と光の国の間にある場所。


 戦場と呼ばれる場所だった。


 二つの種族は互いの命をかけて戦いあう。


 そこに、聖女は割り込んだ。


 そして、争いをやめるよう、説得を行った。


 しかし、聖女の言葉は聞き入れられない。


 争いは止まらなかった。


 そのうち、戦場に飛び込んだ聖女は争いにまきこまれて、命を落とした。


 しかし、生前の行いが評価されて、女神となった。


 神様は、聖女の心の優しさを快く思い、これからも人々を導いてほしいと言った。


 聖女はその期待に応えようとはりきった。









 そして、聖女は再び争い合う二つの種族の前に降り立った。


 かつて聖女だった女神は、死してなお、二つの種族に言葉をつくして、争いをやめさせようと手をつくそうとしたのだった。


 人と人は分かり合えると、信じつづけながら。


 しかし、二つの種族は互いを滅ぼすまで戦いをやめなかった。


 最後の生き残りが共に相打ちになるまで、聖女の言葉はどこにも通じることがなかった。


 聖女は理解できなかった。


 なぜ、分かり合えるはずの者達が、そこまで至らなかったのか。








 たとえ、


 二つの種族は、相手の力を奪う事でしか生きられないとしても。


 二つの種族は、互いの言葉を理解する事ができないとしても。


 それでも人と人は分かり合えるものだと、そう陣していたからだ。







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