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旅はこれから

「ルナ。卑弥呼の調子はどう?」


「あ、アマテラス様こんにちは。いつもと変わらずボーッとしてますよ。一応仕事はちゃんとこなしてるんですけどね」


「はぁ……」


 卑弥呼の何回目かわからない溜め息が、二人をうんざりさせる。


「ずっとこんな感じなので、僕も早く立ち直ってもらいたいんですけど」


「まぁ……今回ばかりは多目に見てあげましょう。なんせ卑弥呼は失恋ハートブレイクしたばかりなんですから」


「誰が失恋したですって!! あ、アマテラス様こんにちは。今誰かとても失礼なこと言いませんでした?」


「「いえいえ言ってませんよ」」


「そうですか……はぁ……」


「とまぁこんな感じで、テレビドラマで失恋なんて目にしようものなら、その瞬間に号泣するくらいに引きずってますね」


「ほんと困りましたねぇ」


「ジャンヌダルクがやって来たよー。ってあれ? 今日も空気が重いわね。いい加減元カレのことなんて忘れなさいよー」


「だから誰が元カレですか! ひん剥いてキャンプファイヤーの材料にでもしてやりましょうか」


「それだけはやめて!」


 三人はなんだかんだ言って卑弥呼を元気付けようとするのですが、ニートをなくした心の溝はマリアナ海溝くらい深く、いつまでたっても普段の明るさを取り戻すことはありませんでした。


「あのさ……そんなに寂しいなら今何してるのか下界を覗いてみたら?」


「しかし、余計に寂しくなるのではありませんか?」


「でも、ずっとグズグズしてもらうよりは良くない?」


「卑弥呼様。ずっと想い続けて苦しむのであれば、元気に暮らしてる姿を見たら案外踏ん切りがつくかもしれないですよ」


「そんなもんですかね……。そこまでみなが進めるのであれば、私も下界を覗くのは吝かではありません。平和な世界に転生させましたし、きっと約束通りに堅実に生きてるでしょう」


 卑弥呼はご存じの通り、ドがつくほどの天の邪鬼である。

 他人が勧めることで、やっと下界を覗き見ることができ内心喜んでいた。

 ただ、プライドの高さゆえ、誰にも悟られないよう秘密にしていたのだが、その浮かれた顔は見事に隠しきれていなく三人には瞬時に見破られていた。


「準備ができましたよ」

「「「はいはい」」」


 四人はなんの変哲もない一枚の鏡の前に集り、指先で鏡面に触れる。

すると、瞬く間にニートが転生したであろう世界が写し出されていった――


「……ちょっと、これ写す世界間違えてるでしょ」


「えー……そんなはずはないのですが」


 ジャンヌダルクの指摘通り、そこは平和とはかけ離れた世界だった。

 なんというか、新世界的なアレといえばわかるだろうか。

 ドラゴンやらエルフが剣と魔法の世界でドッカンバトルを繰り広げている。


「あ!! あれ見てください!!」


 ルナが指差す先に、一人の男が巨大なドラゴンから必死に逃げまどっている。

涙でグショグショな顔面は見てられない。


「くそーーー!! あの人望なし胸なしタブルスコアAA女神がー!! この世界のどこが平和だチクショ!ーーー!! 絶対復讐してやるーーー!!」


「…………ねぇ卑弥呼」


「な、なんですか? アマテラス様」


「これ、転生先間違えてるわよね」


「いやぁ~あはは……」


「あははじゃないわよ! どうするんですか! 今にもダーリンがパクっと食されてしまいますよ!」


「わーわー私はなにも知りません!」


「どうするのよ卑弥呼」


「どうするんですか? 卑弥呼様」


「ああ……もうしょうがないですね! こうなったら私も転生しちゃいましょうか」


「「「え!?」」」


「じゃあしばらく私は抜けてしまいますが、その間はよろしくお願いしますね」


「え、ちょっと、待ちなさいって!」


「大丈夫ですよ。最近は女神も散歩気分で下界に降りてますから」


「そういう問題じゃなくて、後釜は誰が、あっ! コラッ勝手に行くな!」





 ――さてさて、五月蠅い人達は置いといて、待っててくださいね。私達の旅はこれからですから。



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