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お前もか

「で、勢いあまって様子を見に来たまではいいとして、これからどうしますの?」


 草むらからひょっこり顔を覗かせている四人組。

 アマテラス、ジャンヌダルク、ルナ、そして卑弥呼。

 視線の先には、休日デートか何か知らないが、テラス席で一つのドリンクを飲みあっているアスカとニートが。


「ねえ、やっぱ帰ろうよ。こんなとこ見つかったら、同僚になんて言われるか……」


「五月蝿いですね。ここまで来て日和ってんじゃありませんよ。るからには勝つ。勝って支配する。ただそれだけですよ」


「何処かの吸血鬼みたいな行動原理ですね」


「アンタ達少し黙りなさいよ。ほら、標的ターゲットに動きがありましたよ」


 本人達は隠れているつもりでも、かしましい四人がわいわい騒いでいれば、それは誰からもバレてるわけで、しかしその事に気付く者はいなかった。


「ああ! ダーリンに、あ、あ、アーンなんてしてますよ! 許せないっ!!」


「ちょっと、しゃがんでって! バレたらどうすんのさ」


「皆さん……あの、少し落ち着きましょう。よーく見てください」


 ルナがそういうと、三人は首をかしげた。


「何を見たらいいんです? アスカに差し出されたケーキを頬張ってるだけじゃないですか」


「そうですね……ダーリンも拒否しませんし、これはなかなかに不味い展開ですよ」


「ねぇ……私だけ帰っちゃダメ?」


「見てください。あれがデートを楽しんでる男性の顔に見えますか?」


「確かに……そう言われるとダーリンの顔が少し冴えないかもしれませんわね」


「そうですか? いつもあんな感じのイラつく顔な気がしますけど」


「ねぇ……帰っちゃダメ?」


「とにかく、もう少し様子を見てから逐次戦力を投下しましょう」




「ふふ。生前では経験したことないですけど、デートって存外楽しいものですね」


「俺もデートってやつはゲームのなかでしか攻略したことねえけどよ。自分でいうのもなんだが俺で良かったのか? アスカなら世間的にも美人の範疇だろうし、それに……監査部で浮きに浮きまくっている俺のどこがいいのか、さっぱりわからないんだが。この一週間椅子に座ってるしか出来なかったぞ。借りてきたニート状態だったな」


「そんな卑下なさらないでください。有象無象の眼なんて気にしなくてもいいんですから。それに……前世ではひたすら改革に追われていた私は、恋にかまけている暇なんてこれっぽっちもありませんでしたし、恋をするならあなたが相手だと決めてましたから」


 そんなことを恥ずかしげもなく伝えるアスカから、思わず眼を逸らした。

 これじゃあ、まるで童貞野郎じゃねぇか。

 まぁ……童貞なんだけども。



「それで、考えてくれましたか?」


「へ? あ、いや、まだ待ってもらえると有り難いんだが……」


「そうですか……急いては事を仕損じるって昔から言いますもんね。死ななきゃ直らないとはいいますけど、なかなか難しいものです」


 無理に笑っているのは、さすがの俺でもわかった。突然の告白を受け、それにすぐ答えるわけにもいかず、こうしてただ無為に返答を先延ばしにしていたのだが――

 気まずい空気が辺りに漂うなか、足元にビニールボールが転がってきたことに気付いた。


「なんだこれ?」


 思わず手に取ると、待ち構えていたかのように幼い声が聴こえてきた。


「おじちゃ~ん。そのボール取ってぇ~」


「はぅっ!?」


「どうしたの? あら、可愛いお嬢ちゃんね」


 てとてとと走ってきたのは、外見が六、七歳の幼女ロリだった。満面の笑みでニートを見上げる。キラキラした視線は、魔貫光殺砲に貫かれたラディッツのごとく、ニートの心臓を貫く。


「……ぐっ」


「ど、どうしたの? 体調でも悪い?」


 突然膝をついて倒れ込むものだから、困惑せずにはいられない。

 もしや病気なのでは? 死んだ身が病気にかかるわけもないのだが、アスカは心配した。

 そしてその予想はあながち間違いではなかった。

 重篤な変態ロリコンなのだから。


「見てください。効果は抜群ですよ。やはりロリコンには幼女をぶつけるのが最良のようですね。この日のために、わざわざ子役を抜擢して正解でしたね」


 遠くから悶える男を見つめ、卑弥呼は喝采をあげていた。


「まあ、作戦自体に物言いはしたいけれども、これでダーリンの裏の顔に気付くことでしょうから心証は下がるはずですわよ」


「そのはずなんですが……どうやら敵は一枚上手のようですよ」


 ルナだけは、手放しで喜んではいられなかった。ナニか――大きな過ちを見落としているような気がしていた。



「まさか……子供が好きだったなんて」


「やっとわかってくれたか。俺は小さき子供が大好きだってことをよ。どうだ、軽蔑しただろ」


 アスカには申し訳ないが、一般的に犯罪者と同一視される性癖を持っていることを隠さずにはいられなかった。

 むしろ、想いを断ち切らせるために伝えるしかない。そう判断して、突然のハプニングを利用したのだが――まるで予想外の事をアスカは口にした。


「まさか……私と《《同じ》》趣味をお持ちだったなんて」


「は?」


「そうですね。隠し事なんていけませんよね。でしたら、私もハッキリとお伝えします」


「え、いや、別に言わなくても……」


「なにを隠そうこの私も、ちっちゃい子供が大好きなんです!! それも小学生以下の女の子が!!」


 聞くに耐えない咆哮《魂の叫び》がカフェテラスに虚しく響く。

 もちろん卑弥呼達のもとにも、その欲望の叫びは届いた。


「ちょ、ちょっと! あの女とんでもないこと言ってのけましたよ!」


「まさか……おねロリ枠でくるとは……」


「ジャンヌダルク。頷いてるんじゃありませんよ。よくよく考えたらこの作品特殊性癖の持主が多くありませんか?」


「卑弥呼様の部屋にも男の子(ショタ)の薄い本が沢山ありますもんね」


「ルナ!? どうしてそれを知ってるんですか!」


「「「別にみんな知ってることだけど?」」」



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