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闇のゲーム 前編

「卑弥呼様! 一緒にゲームしませんか?」


「おやおや、この闇の二重人格カードゲームマニア《遊戯王》と呼ばれて久しい私に勝負をけしかけるなんて……あなたも命知らずですね。ですがその意気やよし。受けてたちましょう。何で勝負しますか? ヴァンガード? 遊戯王? それともマジックザギャザリングですか?」


「カードゲームしかねえな。本家の遊戯王でも初期は双六とかやってたぞ」


「ああ、懐かしいですね。まだ方向性が定まっていない感がぷんぷん漂ってましたが、あれはあれで可愛らしくて好きでしたよ」


「すみません……。カードじゃないんですけど、これならみんなで楽しめるかなと思って持ってきました」


 ルナが用意していたのは、現世では誰もが知るボードゲームである「人生ゲーム」だった。

 懐かしいな――正月に従兄弟が集まって人生ゲームに興じる空気を、壁越しに感じていたあの日々を昨日のことのように思い出すぜ。


「あなたは既にニートのマスに止まってたんですものね」


「じゃかあしいわ」


 てか、二人で人生ゲームはないだろ。


「なあ、俺も混ぜてくれよルナ」


「いいですよ」


「ええ……あなたも入るんですか? どうせ借金こさえて独身、いえ、童貞のまま一人寂しく人生を終える未来しか見えないと、この卑弥呼が予言しますよ」


「なんで人生ゲームのなかでも童貞じゃないといけないんだ。いや、童貞じゃないけども。てか童貞のまま死ぬとかそんなマス無いだろ。もっとエンターテイメント性のあるゲームのはずだが。ゲームの中くらい夢を見させてほしい」


「いえいえ。この人生ゲームを舐めてもらっては困ります。あぐらもマスもかかないでくださいね。これはただの量産品ではないんですよ」


 ほら、と卑弥呼がパッケージを指差すと、そこには「超現実版リアル」と記されていた。


「超現実って、普通のとなにがどう違うんだよ」


「良いですか? これは巷に溢れているようなただのボードゲームではないんです。このマス一つ一つが、この先《《本当に起こる》》ことしか書かれていないのです。例えば借金一億円を背負うというマスに止まるとしましょう。すると、経緯はさておき、本当に一億円の借金を背負うことになるのです。そして怖いのが、止まったマスの指示は、神であっても絶対に避けられないのです」


「それって……控えめに言って闇のゲームだよな」


「逆にお金持ちになるマスに止まれば大金持ちになることも容易いですし、ゴールしたときにプラスとなっていれば万々歳じゃないですか。さぁ、お互いの人生をベットして遊びに興じようじゃありませんか」


 眼が賭け狂っていた。ハァハァ言ってらっしゃる。ダメだ、こいつカジノに行ったら一晩で破産するタイプだ。


「おい……ルナ。こんなゲームやるのは頭イカれてる奴だけだぞ」


「で、ですよね。僕もそう思います。やっぱりやめましょう」


「何してるんですか? もう設定は済ませましたから、さっさと始めましょう(賭け狂いましょう)


 そういうと、マスの上に三人の姿を模した小さな人形が現れた。


「おい、何してくれるんだ」


「卑弥呼様……あの、やっぱ止めませんか?」


「ああ、ちなみに設定を済ませるとゲーム終了まで止められませんから」


 その鬼畜仕様に魂が震えた。


「はあ、しゃあない。やるしかないか」


「ええ! でも、僕やったことありませんし……」


「大丈夫だ。このゲームに攻略法なんてない。トータルでプラスになるように祈るしかないんだよ」


「うぅ……もっと愉しく遊ぶつもりだったのに」


「さあ! 準備は良いですか? それでは始めましょう」



まぁなんとかなるだろう――

この時、俺達はまだこのゲームの恐ろしさを甘く見ていたのだ。

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