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ヤル気スイッチ

 なんとかして雨を降らせなければ、恵みの雨じゃなく血の雨が降る半歩手前だった。

常軌を逸した民によって危うく狩られる寸前だったが、そこはギリギリのところで顕現した神の手によってなんとか助けられたのだが――

 え? もちろん俺のことだよ。言わせんなよ……恥ずかしい。



「まったく、調子に乗るからいけないんですよ」


 今現在、俺は正座をさせられていた。

 くどくどと長ったらしいだけの説教をかましてくるアマテラスに、普段なら罵倒の一つや二つお見舞いするのはご愛敬なのだが、今回だけは頭が上がらなかった。

 それどころか下げに下げて、とうとう五体投地をしたところでやっと顔を上げるお許しを得た。

 このポンコツ女神のおかげで命を救われたのだから致し方なし。いや、正確には死んでるから救われたとは違うか。まあどうでもいい。閑話休題。


「妾が神パワーで雨を降らさなければ、いったいどうなっていたことやら。これに懲りたら二度と神様なんて名乗るんじゃありませんよ。神を自称したところで何の得もないんですから。ただの自傷行為です――自称なだけに」


「全然上手くないが、身に染みてよーくわかったよ。周囲の人間に神と認識された瞬間に恐ろしいほどの重責プレッシャーがのし掛かったわ。みんなもれなく正気度チェックが必要だったぞ。あんなことを平気でやってたのか卑弥呼は」


「その通りです。ただの人間の身でありながら、そこいらの十把一絡げ、八百万の神とは比較にならない神通力を持ち、自らを神と名乗り国を統治する。そんな役割を彼女は生まれたその時から宿命付けられていたのです」


「そうだったのか……。しかしよ、卑弥呼が生前凄かったのはわかるんだけどよ、卑弥呼を助ける理由ってのはわからないんだが。助けてくれたついでに理由も教えてくれよ」


「それは、教えられません。そもそも私がここまで卑弥呼に介入するのだって規則違反なんですから。こうしてダーリンに会いに来てるのも神の眼を盗んでやってきてるくらいなのです。鬼の居ぬ間にならぬ神の居ぬ間にですね」


「さっきからいちいち上手く例えようとするな。中途半端なクオリティーで俺に仕事をさせるな。こんな突っ込みをさせられるくらいならいっそ俺は貝になりたい」


「なられても困りますのでヒントだけ差し上げます。卑弥呼の弟はご存じですよね?」


「ああ。なんだか他人のような気がしない奴だな」


「あの二人、デキてるんですよ」


「……は? だって兄弟だろ? そんな薄い本が厚くなりそうな話が本当にあるのかよ。完全に事案じゃねぇか」


「姉弟といっても実際のところ血は繋がってないですし、まぐわってもないんです。この時代はおおらかだったんですよ。開けっぴろげとも言いますけどね」


いろんなところがね――と付け加えるのを忘れないアマテラス。


「良くも悪くも自由フリーダムな時代だったんです。で、これから倭の国は未曾有の危機に陥ります。その最中に卑弥呼が処罰を受け入れた理由が隠されてるのです」


「はー……。なんだか俺にできることなんてなにもない気がするけどな。こんな俺が卑弥呼を救えると思うか?」


「救えるかどうかはわかりません。ただ、彼女の悩みを真に共有できるのは、悔しいですがダーリンしかいないんですよ。だからお願いします」


 太陽神と崇められているアマテラスが深々と頭を下げた。ただのニートに。


「真実を思い出して、卑弥呼に会いに行ってください。貴方しか救うことはできないのです」


 正直そこまで頼まれて断るほど冷淡な人間ではない。しかし「喜んで!」と居酒屋の店員並みに簡単にも引き受けられない。

 そんな社交性があるならニートなんかやってないしな。

 だからここは要求をしよう。


「特別手当は期待していいんだろうな」


 アマテラスは太陽の名に恥じない笑顔を見せた。


「はい! 喜んで!」


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