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まさかのテコ入れ?

 今日も今日とて仕事は忙しく、万年自宅警備員だった俺はとうに体力を使い果たして机に突っ伏していた。


「ぶぶぶぶー」


 思考力も低下していたので、唇を震わせて遊んでいた。


「ぶぶぶぶー」


「あら、大きな赤ちゃんですね。ダーリン」


「ぶぶぶー?」


 いつの間にかアマテラスが横に立っていたではないか。何用だと思考力が無くなった頭で考えてみたが、別にどうでもよかったのでそのうち考えることを止めた。


「ぶぶぶぶー」


 今は唇を震わせてるのが面白い。それだけで十分だ。


「目を合わせてくださいな。意思疏通してくださいよ。私、またバルサン臭い部屋に閉じ籠りますよ? 廃ゲーマーに返り咲きますよ?」


「ぶぶぶぶー(はよ帰れ)」


「脳内に直接語りかけないでください。そんな意志疎通は求めてません。あの……話があるんですよ」


 なんだ、いつもより真面目な顔してるじゃないか。一体なんだって言うんだよ。


「なんだようるさいな。しょうもないことだったら……あんなことやこんなことしてやんぞ」


「それはそれで是非ともお願いしたいところですが、今は泣く泣く置いておきましょう。枕元にでも。実は卑弥呼のことなんですが」


「ああ……そのことか。どうしたんだよ卑弥呼の奴。最近辛辣(しんらつ)が過ぎてそういうプレイも悪くないと思い始めてきてるぞ」


「ダーリンの性癖も気になるところですが、それも置いておきましょう。今日は以前訪れた際に言いそびれたことを伝えに来たのですよ」


「なんだったっけ?」


「ですから、卑弥呼の悩み事についてですって。あれはあれで生前《《特殊な》》人生を歩んでるもんでして、少々ひねくれてるんです。だから他人に相談とかするキャラじゃないんですが、同じひねくれ者のダーリンならわかるのでは?」


「だからなにが言いたいんだよ。悪いが卑弥呼のことについてはなんも知らねえ

って。教科書にだってろくに書かれてない人間だったからな」


「それじゃあこれを期に知ろうとしてください。卑弥呼の事を。そして、救ってやってください」


「救う? どういうことだ」


 少しの間押し黙っていたアマテラスは、天岩戸を開いたときよりも重く口を開いた。


「妾もまさかとは思ったのですが、 卑弥呼は――天界から処分を受けるつもりなのです」


「処分って……何か不祥事でもやらかしたのか? 確かに帳簿の書き換えだとか出張とか言ってアイドルのコンサートに出向いたりだとか酒代は必要経費だと言ってはばからない神だったが……」


「それはちょっと初耳ですが、それも置いておきましょう。いや、あとで必ず問題に取り上げますけども」


 それも無事に帰ってくればの話ですけどね、とアマテラスは淋しそうに呟く。


「ええい回りくどい。さっさと話しやがれ。その処分ってなんなんだよ」


「幽閉です」


「幽閉って……牢屋に閉じ込められる的な?」


「そうですよ。なんとかパパ……イザナギ様も上に掛け合ったのですが、既に処分は下されてしまったようで、打つ手がないのです」


「おいおいおい。いつの間にそんな大事になってるんだよ。なんで卑弥呼がそんな大袈裟な事態に巻き込まれてるんだ」


「だから言ってるじゃありませんか。卑弥呼のことを知ってくださいと。ダーリンはそもそも知ってるはずなんでよ、卑弥呼の事を。そして、その記憶の中にこそこの度の騒動の真実が隠されているのです」


「ま、待て! なんだかこれから長大なシリアスパートに突入しそうだと俺の脳内の漫画達(アカシックレコード)が警報を鳴らしている! それ以上喋るなよ!?」


「残念ですが……私が話せるのはここまでです。後はご自身で思い出してください」


 そう言うとアマテラスは両手を宙にかざし、何やら呪文めいた言葉を呟く――すると、宙に人一人が通れるようなゲートが現れた。

 真っ暗な渦を巻く空間が、ゲートの中を埋め尽くしている。

 そっと背中に手を当てたアマテラスは、少しずつそのゲートに俺を押し入れるように力を込めた。


「お、おい、押すなよ。絶対に押すなよ」


「それは振りというやつですね。知ってますよ」


「ちがっ、やめっ、この場合は本気の――」


 とん――――あああああぁぁぁぁぁ……


「逝ってらっしゃいませ☆どうか卑弥呼のことをよろしくお願いしますね」



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