第9話 ギルド に 登録しよう!
投稿が飛んでしまい申し訳ありません。
木を売れる場所がどこか町をうろつくことにした。
が…
「…なんか、子供が寄ってきてないか?」
俺の後ろをネルが音楽、とまではいかないものの、笛を鳴らしながらついてきているが、それにつられてNPCの子供がワラワラと…
ネルはネルで楽しそうに笛を吹いているが、まだまだ演奏は上手にはなっていない。
それでも子供が楽しそうに周りについてきているのを邪見にせず楽しそうに笛を吹いている。
「そうだ、この木で笛でも作ってあげたらどうだ?」
せっかくだし、余っている木材を有効活用してみよう。
俺が取り出した木材をネルは受け取り、早速笛を同じように作っていく。
作ったそれを子供に渡していくと、子供たちは嬉しそうに受け取っていた。
生憎全員に行き渡らなかったが、それでも子供たちは楽しそうに笛を吹いたりしていて、それを見てネルも嬉しそうだ。
「じゃあ、改めて木を売るところ探すか」
※※※※※※※※※※
なんとか子供たちと別れ、町を歩き回りつつNPCに木を売れる場所を訪ねてみたところ、どうやら木工ギルドというものがあるらしい。
そこでは木材を取り扱っていることから、そこで売り払ったらいいとのことだ。
ということで早速、場所を確認した俺は木工ギルドを訪れた。
「ここでいいのか」
目の前には1件のレンガつくりの建物。
だが、それは他の建物とは違って一回り大きく、軒先には鋸と斧が交差した看板が吊り下がっている。
教わった通りの看板が掲げられていたのでその中に入ってみると、人がまばらにいる程度でそこまで混んでいないようだ。
中には1つ1つ、スペースが大きいカウンターが3つほど並んでおり、カウンターの脇には掲示板が備え付けられていた。
今回は木を売るのが目的なので、空いているカウンターの受付の人に話しかけてみることに。
「ようこそ木工ギルドへ」
「すみません、こちらで木材を買い取ってもらえると聞いてやってきたのですが」
「木材の買い取りですね。失礼ですが、現物のほうを確認したいのでこちらに出せますか?」
幸いカウンターのスペースが大きいからか、木材を出すことはできた。
というより、木材を取り出すことを前提にこの大きさなのかもしれない。
「これらになるのですが、どれくらいでしょうか?」
「確認しますので少々お待ちください」
受付の男性はそう言って木材を引き取ると、奥のほうに引っ込んでしまった。
待っている間手持無沙汰なので、いろいろと周りを見てみるか。
「お、なんかあるか?」
カウンターの横に備え付けられてある掲示板をネルが眺めているので、隣に立って一緒に見てみる。
掲示板には紙が所狭しと貼られており、そこには木材を納品する依頼が数多くあった。
特に加工した木材を指定の大きさにして納品したほうがお金はたくさんもらえるようになっているようだ。
と、掲示板を見ていると先ほどの受付の人が戻ってきた。
「木材の確認が終わりました。値段はこちらになりますがよろしいでしょうか?」
差し出された紙には板状の木材5つで250Cという金額。
板状だと1つ50Cといったところらしい。
まあ、まだ品質もクオリティも低いからこんなものなんだろう。
「はい、問題ありません。ところで、こちらの掲示板に貼られている依頼というものは受けることができますか?」
「こちらの依頼については、当ギルドに入会していただくと受注できるようになります」
説明を聞いていくと、どうやらギルドとして登録することで依頼をする、または受注するということができるようだ。
登録についてはお金がかかることなく、むしろこれらの依頼を受けたほうが稼ぎやすいらしい。
プレイヤーでも、木材を使って色々作っている人たちはここで依頼できるということだろう。
「なら、登録のほうお願いします」
「はい、かしこまりました」
世界観には合わないが、これもゲームだからだろう。
透明な板が出てきたので、受付の人に言われた通り手のひらをそこに置くと、それだけで登録完了した。
登録完了とともに、ウィンドウが出現して
『木工ギルドに登録しました。ギルドへ依頼の申請・受注が可能となりました』
木工ギルドの一員となったことがこれで確認できた。
「これで登録完了しました。次に、ギルドに所属されたことで”階級”が付与されますので、それについて説明します」
ギルドの人が言うには、達成した依頼に応じて階級が上昇するらしい。
依頼を申請することでも上がることはできるが、依頼を受注して達成したほうが上がり幅は高いらしい。
階級のほうは下から、”青銅”、”鉄”、”銅”、”銀”、”金”の5階級らしい。
木工ギルドっぽくない階級だが、他のギルドと足並みを揃えた結果だそうだ。
たしかに、ここで変に木の種類とかをあてられてもわかりづらかっただろう。
そして登録したては青銅のランクになるということで、俺もここからスタートということだ。
「次の階級に上がるまで、あと5つの依頼を達成すれば上がりますので、是非とも依頼を達成してください」
※※※※※※※※※※
ギルドに登録したので改めて掲示板を見てみると、特定の木材を所定の大きさに加工して納品するものが多いようだ。
基本はこの町の周囲の木材で問題ないようなので、先ほど伐採していたところで木を切ればいいだろう。
「何個か依頼を受けておこうか」
木材の大きさが違って依頼を達成できませんでしたとならないよう、ここは依頼を受けておこう。
加工するのが簡単そうな板状の木材関連の納品を3個ほど受けることにして、俺は再び先ほどの森に向かうことに。
で、ギルドを出たのだが…
「…子供に人気だなぁ」
ギルドを出たら、またもやネルが子供に囲まれてしまった。
それを嫌がることなく、ネルは嬉しそうに笛を取り出しては笛を吹き始めた。
すると、
『ネルのスキル「芸術」のレベルが2に上がりました』
どうやら笛を吹くこともレベルアップにつながるらしい。
そしてレベルアップの効果はほどなく現れ、
「お、さっきよりも上手になったな」
「―――♪」
子供が頑張って吹いている笛のような音だったものが、先ほどとは違って音楽になっていた。
ということは、レベルが上がることで練度も上昇して、聞くことが出来る音楽になっていくのか。
囲っている子供たちは、ネルの音楽を楽しそうに聞きながらはしゃいでいる。
うーむ、これは依頼以外にも木材を取っておいて、配るように笛を用意しないといけないかもしれないなぁ…
俺たちは相変わらず音楽を演奏しながら、子供たちをゾロゾロと引き連れながら、森のほうへと向かうことにした。
当然のように、子供は町の門番に止められていたから、こっちとしては助かった…
お読みいただきありがとうございました。
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