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第7話 道具 を 買おう!

※2022年3月6日2200変更


 マーカーについて一部変更

 プレイヤー:青

 NPC:緑

 敵:赤(この話では出てきませんが、このような設定になっています。)

 ―――ログインしました。


 仕事が終わったので、飯と風呂をさっさと済ませて今日もログインすることに。

 ゲームを開始すると、やはりそこはいつもの町、それも昼間の町並みだった。

 視界の隅のミニマップを見てみると、どうやらここは『ウヌの町』という名前だったらしい。


 そしてログインしたということは、その町の中央にある噴水付近に出てくるということで。

 俺がログインして噴水の傍に立っていると、少し遅れてネルも出現した。

 彼女は相も変わらずニコニコと微笑んでこちらを見ているので、挨拶をしてから周囲を見渡してみた。


「昨日は追っかけられてアレだったが、今日は何もないな」


 若干警戒して見渡してみたが、こちらを見ている人はいるものの、囲まれたり追っかけまわされたりといったことはないようだ。

 一応、昨日やっていた『設定』で、プレイヤーかNPCか区別するよう逆三角のマーカーを出現させている。

 プレイヤーは”青”、NPCは”緑”で表示されるので、今周りで俺らを見ている人の上にはもれなく青いマーカーが浮かんでいる。


「うーん、これならプライバシー設定をしなくてもよかったか?まあ、何もされないようだったら後で変更しておくか」


 ひとまず、今日はやることがある。

 木材を伐採する道具を手に入れるのだ。

 『チュートリアル』をクリアして少しお金がもらえたので、それだけで買えるかわからないが、ひとまず町を散策してみよう。



※※※※※※※※※※



 視界の隅に表示させているミニマップは、どうやらプレイヤーが歩いた部分しか表示されないようで、歩いていない部分は黒くなっていた。

 昨日1時間追っかけまわされてこの町をだいぶ歩いたと思ったが、どうやらまだまだ見きれていなかったらしい。

 今も黒く塗りつぶされてわからない町を右へ左へ、時にまっすぐ進んでいる。


「こうやって町の中をぶらぶら歩くのもいいなぁ」


 ゲームをやろうと思ったきっかけ、それが壮大な世界を体感できるというもの。

 ここはプレイヤーが最初に行きつく町ではあるが、その町中を歩き回るのもなかなか面白い。

 NPCやプレイヤーが行き交う町は、レンガ造りの家の景観とマッチしており、違和感を感じさせないのもいい。

 実際に外国の町並みを歩いているかのような感じを体験しつつ、俺は町の中をぶらつく。


 途中、屋台のようなものがあったので、そこで売られていたものを買って歩きながら食べることに。

 どうやらNPCがやっているもので、串焼きを2本買ってみた。

 なぜ伐採道具じゃなく、食べ物を買っているかというと。


「『満腹度』ってのは時間経過とともに減っていくのか」


 ステータスにあった『満腹度』が減少して、ちょっとふらついていたからだ。

 これが減少すると空腹状態となりステータスが若干下がるらしく、0%まで下がるとステータスは最大値の半分まで下がるそうだ。

 と、満腹度が減ったことで、急に『チュートリアル』が始まったためわかったことだ。


「幸いなのは、減る量としてはそこまで早くないから金がそこまでかからなくて済むってことか」


 今はまだ手持ちのお金が心許ない。なので、頻繁に買い足さないといけない状態はなるべく避けたいところだ。


 串焼きは2本。1本は自分用で買ったが、もう1本をネル用に買ってみた。

 テイムしたモンスターもどうやら食事はするようで、俺が串焼きを渡すと喜んで食べ始めた。


 神様が串焼きを頬張るってのは、なんともすごい絵面なもんだ。


「さて、そろそろ本腰入れて店を探してみるか」


 概ね大通りも裏通りも歩き、マップの黒い部分が埋まってきた。

 どうやらこの町は大通りが東西南北に町を分けており、大きく商店が集中している区域と住宅街が集中している区域に分かれていた。

 商店が集中している区域は町の北東側に集まっているようなので、町の散策を一旦止めて北東側へ行くことに。



※※※※※※※※※※



「プレイヤーがやっている店とNPCがやっている店があるのか」


 商店がある区域は、他の大通りよりも更に横幅をとっていた。

 レンガ造りの店構えもあるが、大通りの両脇には露店も出ているためだろう。

 店の邪魔にならないよう配置されているようで、店の邪魔にならないよう露店は配置されていた。


「ざっと見て、伐採用の道具を売っているところを探してみよう」


 プレイヤーの店に入るにしても、プライバシー設定で近づけないってことになりそうな気がしたので、プライバシー設定をオフにして早速見て回る。


「NPCの店は種類が豊富で、プレイヤーの店は質がいいって感じかな?」


 歩いていると、店の傾向が見えてきた。

 NPCの店はとにかく種類と数量が豊富に思える。対してプレイヤーが出している店は数は少ないものの、品質がいい物がある気がした。


「うーむ、あまりお金がないから良い物は買えななぁ」


 そして値段の傾向であるが、ざっと見た感じプレイヤーの店のほうが値段は高くなっていた。

 品質がいいということで、値段が若干跳ね上がるのだろう。


「ん、どうした?」


 どこで買うか悩んでいると、ネルが肩をぽんぽんと叩いてきた。

 どうやら気になった店を見つけたようで、とある露店を指さしている。


「あれは…プレイヤーの店か」


 露店を出しているそのキャラクターの上には青いマーカーが表示されている。

 売り子をしているのは女性プレイヤーのようで、敷物の上には欲しかった伐採用の道具である斧などが並べられている。


「気になったなら寄ってみるか」


 どこにするか悩んでいたので、物は試しに寄ってみることに。


「すみません」


「はー…いっ!?」


 どうも何かを見ていたようで、横を向いていた彼女に声をかけると、こちらを見て驚いていた。

 まあ、後ろに女神様を連れた人が目の前にいたら、そら驚くわな。


「ちょっと物を見せてもらってもいいですか?」


「え、えぇ。どうぞ…もしかしなくても、昨日のあのプレイヤーよね…」


 何か呟いているが、とりあえず許可を得たので店先に並んでいるものを見てみることに。

 斧はどうやら石のものと青銅のもの、鉄のものがあるようで、軒先に並べられた商品は詳細を見ることが出来た。


――――――――――


 名称:石の斧

 レアリティ:☆1

 品質:F

 耐久値:55

 能力:攻撃力+1

 説明:木を伐採することが出来る。攻撃も一応は可能。

 売値:100C


――――――――――


 名称:青銅の斧

 レアリティ:☆1

 品質:F

 耐久値:90

 能力:攻撃力+2

 説明:木を伐採することが出来る。石の斧より頑丈であり、攻撃も一応は可能。

 売値:300C


――――――――――


 名称:鉄の斧

 レアリティ:☆1

 品質:F

 耐久値:170

 能力:攻撃力+4

 説明:木を伐採することが出来る。青銅の斧より頑丈であり、攻撃も可能。

 売値:700C


――――――――――


 やはりプレイヤーがやっている店だけあって品物は品質がよく、耐久値も高いものだった。

 試しにNPCがやっている店を覗いたが、そこにあった石の斧はこんな感じだった。


――――――――――


 名称:石の斧

 レアリティ:☆1

 品質:G

 耐久値:50

 能力:攻撃力+1

 説明:木を伐採することが出来る。攻撃も一応は可能。

 売値:75C


――――――――――


 耐久値という奴が違うことから、品質は能力に影響を与えているかもしれない。


 そうなってくると、プレイヤーの店で買うのはいいとして、気になるのは値段だ。

 『チュートリアル』をやったことで、お金が1000C、単位は『クロム』というらしいが、手に入った。

 先ほど串焼き2本で100Cだったから、残り900Cとなる。品質が良くて攻撃力もある鉄の斧のほうがいいかもしれないが、そうなってくると今度は空腹になってしまう。


「うーん、ここは青銅の斧にするか」


 耐久値が高いから、頻繁に買い替えることもないだろうから、これで伐採しておけばいいだろう。

 ということで、俺が話かけてからぶつぶつと独り言を呟いているお店の人に声をかける。


「すみません、青銅の斧を1つください」


「いやいやいや、それは流石に…え?えっと…これですか?」


 青銅の斧を指さすので、それに頷きつつお金を出して購入する。

 よし、これで伐採ができるな。

 ゲームをやってるのに木を切るってのはどうかと思ったが、こんなこと現実では滅多に経験しないからいいだろう。

 受け取った斧はどうやら『装備』欄に収納されるらしい。町の外に出たら確認しないとな。


「それじゃあ、ありがとうございました」


「あ、はい、こちらこそ」


 店員さんが何か言いたげな感じでネルのほうを見ていたから、あまり突っ込まれないうちにここは去ろう。

 とりあえず町の中にいても騒がれるだけだし、買うべきものを買ったから今度は木を切っていくとしよう。

お読みいただきありがとうございました。


次の投稿は連続になりますが、3月28日22時を予定しています。


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