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第1話 ゲーム を 買おう!

短編で一度載せたものを連載にして掲載してみました。

短編のものから若干加筆・修正しています。


※当初「『スキル』を選択する」という旨記載していましたが、「『スキル』を習得している」というものに変更しました。

 ゲーム開始後は最低限の『スキル』しかもっていない状態になります。

 その日、たまたま、ネットで動画を見ていた時だったか。

 最近発売されて巷で話題となっているゲーム、VRMMORPG『Free Adventure ONLINE』の広告が流れた。

 タイトルの通り、プレイヤーは自由な冒険者となって、現実では味わえない壮大な世界を現実と同様に体験できるという謳い文句である。そのプレイ動画とムービーに少し興味を惹かれ、最近忙しくて使いどころがなかった給料を使って買ってみた。

 とは言ったものの、今まであまりゲームをやっていなかったし、あくまで仮想現実ってのを体験してみて、今の忙しい仕事の合間に雄大な景色とか眺めつつのんびり自由を感じてみたいなぁくらいの気持ちだ。


 若干ゲームの値段やらVR機器の値段に目を剥いたものの早速ネット通販でゲームとVR機器を買ってみた。が、ゲームについてはダウンロードだったこともありすぐに購入できたが、VR機器については後日配送とのことだった。

 早くて明日、平日ではあるが届きますとのことなので、帰宅後にプレイできるよう配送日時指定をして、ゲームプレイを待つことに。



※※※※※※※※※※



 今日は結構順調に仕事が終わった。定時からはちょっと過ぎているものの、昨日頼んでおいたVR機器が届く時間には間に合いそうだ。

 流石にこんだけ高い買い物は早々してこなかったこともあり、電車に揺られる間、駅から帰宅する足も気持ち浮かれてそわそわしてしまった。若干早足になりつつも帰宅し、VR機器が届くまでの準備をする。

 スーツをハンガーにかけ、風呂にも入って部屋着に着替え夕食も済まし、あとは配送業者を待つだけだ。


 ――ピンポーン


「お、来たか」


 なんだかあっという間だったが、どうやらVR機器が届けられたらしい。

 玄関を開けると、大人が一抱えするくらいの段ボールを持った業者がいたので、無事にそれを受け取る。


「さて、それじゃあ早速準備するか」


 段ボールを開けると、そこにはフルフェイス型のデバイスと付属している取扱説明書が鎮座していた。

 取扱説明書を見てみると、デバイスを使用している間の注意事項が書かれていた。

 装着している間、VR世界へ没入することとなり、思考するだけで行動ができるとのことだ。

 そのため、現実での対応が困難となることから、装着する際はベッドに寝そべって無理のない体勢にすること、通信機器との紐づけを行うことが推奨されていること、ゲーム等をプレイしている間は食事やトイレをゲームで体験していても現実に置き換わることがないので定期的に行うようにということが書かれている。

 初めてのVR機器だったので注意事項に目を通していくと、VR機器のセッティングとゲームのインストール方法が書かれているところまできた。


「装着して起動すると早速セッティングとダウンロードができる、か。なら寝室にいくか」


 寝室のベッドに横になり、早速VR機器を装着して起動してみる。


「よし、では早速」


 起動ボタンを押すと、ポーンという機械音とともに、それまで真っ暗だった視界から何もない白い空間が現れた。

 どうやら白い空間の真ん中に放り出されたようで、説明書どおりならばここからがVR空間になるようだ。当初ここでセッティングやらをやっていき、インストールしているソフロウェアに接続するようだ。


『それでは、早速本VR機器、「ソーク」のセッティングを行います。まずは―――』


 音声ガイダンスが流れると、個人情報の入力、アバターの作成、通信機器への紐づけ、機器本体のアップデートなんかが次々と行われていった。

 驚いたのが、本当に思考するだけでよかったようで、声に出すことなく自分の名前やら住所、通信機器の登録なんかができていたし、アバターなんかは個人情報登録をしたときの写真なんかを参考にしたのか、現実の俺そっくりな姿で作られていた。

 いやー、まさに時代の最先端って感じだ。

 最初は思考するだけでいいとはわかっていたもの、ベッドの上で身体を動かしてしまって四苦八苦していたが、アバターを操作するチュートリアルを通してようやく操作にもなれてきた。


 ガイダンスに従ってVR機器をセッティングし、『セットアップ完了』というウィンドウが目の前の空中に表示された。

 さて、この後はゲームのインストールか。

 なんとか慣れてきた操作でタッチすると、VR空間には『ようこそ、ソークの世界へ』という文字とともに、取扱説明書にあったホーム画面が表示された。


 メニュー画面が一面に広がっているため、そこからソフトウェアのインストールを実施すればいいらしい。


「購入したゲームをダウンロードして…って、もうダウンロード終わってるじゃん」


 視界の隅ではすでに購入したゲームである『Free Adventure ONLINE』がインストール中であることが表示されていた。

 あと数十秒でインストールが終わり、起動できるということなのでアバターを動かしつつ待っていると、『インストールが完了しました。』の文字が表示された。


「いよいよ起動か」


 実はプレイする前、VR機器が届くまでの間、どういうものだったのかネットで調べてみた。

 発売からもうすぐ2か月経つとのことだったが、その熱狂ぶりは過熱しているようで、ネットで検索したら数多くのサイトが引っかかったので簡単に情報収集できた。

 そこから初心者向けかつVR機器も不慣れなものに優しいサイトをピックアップして、軽く通読しておいた。


「まずは、『種族』を選択、そこから『キャラクター作成』をして、そこから『名前』を入力するのか」


 どうも、『種族』の選択、『キャラクター作成』というもので、ゲームで動かすキャラクターの外見を作成するらしい。

 『種族』というものはどうやらかなりの数があるようで、人間やらに近しい外見、人間からかけ離れたモンスターっぽいものなんかもあるようで、多種多様な生物でゲームをプレイできるというのも売りのひとつのようだ。

 いろいろな種族をやってみたいとも思ったが、今回はのんびりいい景色でも見てみたいっていうのが第一目標なので、ここは無難に『人間』でいいか。


「で、そこまで作成したら今度は『職業』ってのを選ぶのか」


 『職業』も結構あるようで、なかには『種族』の特性に応じたものもあるようだ。

 そのサイトを見ていると、ゲームがアップデートされていくことでどんどん追加されてもいるし、何よりまだまだ新たな『職業』が発見されているとのことで、2か月経った今でも把握しきれていないのではないかとのことだ。


「『職業』を選ぶと、それに関連した『スキル』が習得できるのか」


 『職業』にはそれぞれ『スキル』というものがあるらしい。

 『スキル』というものは生活を補助する物から、ゲームならではの戦闘を補助する物まで多種多様にあるようで、中には「これは役に立たないのでは?」と思わしきスキルもあるそうだ。

 役に立つものから立たないものまで、様々なものがある『スキル』であるが、最初は最低限のものしか覚えていないようだが、ゲームを進めていくことでスキルが追加、派生されていくそうだ。


「なるほど、プレイヤーの『レベル』と職業の『レベル』ってのがあって、それが上がればこの『スキル』ってのも成長していくのか」


 『レベル』は2種類、プレイヤーの『レベル』と職業の『レベル』があるようで、ともに『経験値』を取得することで上昇するようだ。

 『経験値』は通常の経験値と職業経験値が別個に設定されていて、『プレイヤーレベル』が上がればステータス全般が、『職業レベル』が上がればスキルの習得や派生、職業に応じたステータスが上がるそうだ。


「で、ステータスってのは…結構あるな」


 ゲームの中では体力を示す『HP』、『魔法』を使用するための『MP』、攻撃力を示す『ATK』などなど、様々な数値があるようだ。


「ま、ここはそんなに気にしなくていいか」


 最悪、のんびりできる空間があればいいのだ。

 なので、そんなに焦ることなく、いろんなところにいくために最低限のものがあればいいだろう。


 ちょうどそこまで目を通したところでVR機器が届き、セッティングを始めたというところである。


 インストールも終わり、『プレイ可能』の文字が表示された。

 飯も食ったし風呂も入った。トイレにも行っておいたから大丈夫だろう。


「それじゃあ、夢のような世界に」


 行ってきますか。

お読みいただきありがとうございました。


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