第二訓:ありえない設定の小説って萎える
俺は、今、愕然とした心境の中で校長室にいる。
その理由は……。
「ということでのぅ、これからは、この学校、女子高になるから」
校長は、テヘッと舌を出しながら、お茶目に言った。
ここ美都第二高校は、つい先程までは、共学だった。
しかし、年々、女生徒ばかりが増え、男子生徒が減るという現状が続いてきた。
そのせいで、遂には、俺の学年で男は、一人。
つまり、俺のみ。
そこから下の学年は、全員女子という最悪且つ、欲望に忠実な人には、パラダイスな状況となってしまった。
しかし、俺は、どちらかというと奥手な大和撫子ならぬ大和撫夫であり、こんな女子に囲まれた、村八分みたいなことになりかねん状況は、地獄でしかない。
「ちょっと待ってくださいよ、マジ勘弁してください、女子高に男の俺がいるってヤバいっしょ?なんなんすか、俺変態みたいじゃないですか、せめて俺が卒業してからにしてくださいよ」
俺は、必死に懇願した。
校長ならわかってくれる、そう信じて。
「却下」
「こんの糞爺ぃがぁぁぁぁぁ!」
遂に堪忍袋の尾が切れた。
てめぇハゲじじい、さっきから、舌をペロペロ出してんじゃねぇよ。
あれか?お前はペコちゃんか?サーティワンか?ミルキーはママの味ですかコノヤロー。
全然チャーミングじゃねぇんだよ。
むしろ顎あたりに唾液が滴ってて、妖怪みたいなんだよ。
「まぁまぁ、わしだって何も考えずに、女子高にするわけではないわい。お主の対応も考えとる」
「なんだよ、対応って」
俺が尋ねると、校長の目がカッと開いた。
「お主を生徒会長に認ずる!」
…………。
「はぁぁぁぁぁぁ!?」
いやいやいや、意味わからねぇよ。
「お主が生徒会長になれば、生徒に慕われる。つまりおなご全員から慕われるってことじゃ、嬉しいじゃろ?」
「うれしくねぇよ!」
つか、じじいてめぇ生徒会長この間の集会で決まらなかったから、俺にしただけだろ!
めんどいからだろ!
騙されねぇぞ、全世界の地球人が信じても、俺一人疑ってやるぜ!
疑心暗鬼になりやすい性格舐めんなよ!
「まぁ、つーかもう決定事項だから、今更何言ったって無理」
こうして、最終的には気の弱い俺は生徒会長という、大層似合わない仕事に就くことになった。
これが俺の高三のとき、つまり今から1ヶ月前の出来事である。