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お狐様が異世界を征服するそうです@わひっ!?  作者: 大南
1章 「幼少期は幼馴染フラグを作る重要な時期」
5/20

05 「キツネ、テレパシれない」

 

 僕の一日。基本寝る。起きたら妹と追いかけっこをして、お腹が減ったらご飯を食べ、疲れたら眠る。


 うん、充実した毎日だ。とはいえ、僕はそこらのキツネとは違う化け狐だ。それ以外のことだってするんだよ。


 今はお勉強タイム。


「これはー?」

「これはリンゴよ」

「りんごー、あかいのー、みどりはー?」

「ふふ、こっちもりんごよ」

「りんごー?」


 色違いのリンゴに首をかしげる妹。

 

 うむ、めがっさカワイイ!

 

 お母さんが妹と僕に言葉を優しく教えてくれる。その教え方がいいのもあるのだろうけど、うちの妹、あっという間に言葉をマスターしていくんだ。


 まじ妹天才!


 僕も言葉をほぼマスターしたよ。何たって転生者だからね。もともと言葉を知っているから、後はそれが何と対比するか覚えるだけだしね。

 

 簡単なんだけど、それにしても簡単過ぎてちょっと違和感が。何て言ったらいいのだろうか、お母さんの知識が勝手に流れ込んでくる感じ? 


 いや、気のせいか。


 というわけで、僕たちはあっという間に言葉に不自由しなくなった。


 うむ、僕も妹も天才だね!

 

 緑のりんごにがぶりと噛みつく妹にお母さんは微笑みながら、美味しいかしら? と、聞く。おいしー、と妹がりんごをモグモグしながら答える。

 

 ちなみに、この間、誰もしゃべっていない。なんと会話はすべてテレパシーなのである。

 

 頭の中に直接言葉が響いてくる不思議感覚。動物はテレパシーで会話してたんだね。

 

 うん、知らなかった。


 ……なん……だと。

 

 ゴクリ。


 ま、まぁ、いい、これで僕も妹とキャッキャウフフできるのだ。万々歳だね。

 

 妹とお母さんが楽しそうにテレパシってる。僕はそれを静かに聞く。


 僕も必死にテレパシってるんだけどさ。なぜかまったく通じないんだよ。

 

「…………! …っ! …………!!! ……!!!!」


 うぅぅ、まったくテレパシれないぞぉ! 


「アレンは無口なのね」

「むくちー? って、なぁに?」

「おしゃべりがあんまり好きじゃない子ってことよ」

「そうなんだぁ」


 無邪気に頷く妹。絶対に何も分かっていないアホ顔、うむ、かわゆす。


 いやいやいや、ちょっと待って。


 僕は慌てて違うよ、と何度もテレパシる。けどやっぱりまったく通じない。


 このままでは無口キャラになってしまう。


 うぉおおおおおおお、そんなのイヤだぁ!!


「ご飯できましたよ」


 サリーの言葉に妹がテレパシーで答える。


「……お腹いっぱい」


 うん、リンゴ食べてたもんね。仕方ないね。


 サリーの緑色の目が、妹を優しく見つめた後、それから、お母さんに向けられる。


 じぃーと無言でお母さんを見つめるサリー。


 その視線を受け止めるお母さん。そして、数十秒のち、お母さんがギブアップし、ごめんなさいと、サリーに謝る。


 今後は食事前に間食させないよう気を付けると約束して一件落着。


 お母さんとサリーがおかしそうに笑い合う。それにつられたのか妹も楽しそうに笑う。


 それを無言で見つめる僕。


 そ、疎外感半端ないっすよぉ!


 うぅぅ……テレパシーの練習だ!!


「くぉおおお~ん!」


 僕の魂の叫びが辺り一面に響いた。


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